ホームジャパンなぜ?没個性社会ニッポンで奇抜なファッションが生まれる7つの理由

なぜ?没個性社会ニッポンで奇抜なファッションが生まれる7つの理由

  「外国の人っておしゃれでしょう?」とよく日本人の友達に聞かれますが、個人的には日本人の方がよっぽどおしゃれだと思います。“おしゃれ”の基準は人それぞれなので、日本と海外のどちらがおしゃれかを比べることはできません。ただ1つ確実に言えるのは、日本人は欧米人に比べてファッションに気を使う人が多いということ。そのせいもあってなのか、日本では海外ではあまりない“奇抜なファッションをする人”をよく見かけます。没個性社会だと揶揄されることも多い日本社会ですが、ガングロ、デコラちゃん、ロリータ、ゴスロリなどの奇抜なファッションはどのようにして生まれるのでしょうか。反対に、なぜ欧米ではこのような派手なファッションが受け入れられないのでしょうか。そこで今回は、一見すると個性がないように捉えられてしまう日本社会で、奇抜なファッションが生まれる理由を7つご紹介します。

 

1. 日本の学校制服

なぜ?没個性社会ニッポンで奇抜なファッションが生まれる7つの理由

 日本を訪れる外国人は「日本の学校制服」が理由で、派手なファッションが生まれるのではないか?と語る人が多いです。というのも、海外では幼稚園から大学まで制服のない学校が一般的で、髪型などの校則もさほど厳しくありません。大学卒業後の就職先でも社員の風紀については日本の企業ほど厳しくなく、制服や髪形の決まりは欧米ではとても“ゆるい”ようです。

反対に日本では、中学校、高等学校の制服が全国的に導入されています。日本の子どもは学校では制服を着なくてはいけないという“ルール”があり、自由に自分の個性(私服)を披露できる機会がありません。就職後も、会社や職種によって髪の毛の色や爪の長さなどを細かく規定される場合が多いです。そのため、日本人が自由な服装や髪形をできる期間は大学や短大に通う2~4年間のみに限定させられてしまいます。服装に関する決まりが多い日本だからこそ、「今のうちに髪を染めよう!」、「今のうちにかわいい格好をたくさんしよう!」と考える人が多く、“おしゃれ”がエスカレートしていくのではないでしょうか。

逆に、学校制服のない欧米では子どもの頃から好きなものを着ているため、「好きな服装をするなら今しかない!」と考えることもありません。日本の大学生が海外の大学生に比べて、服装や髪形が派手なのは日本の学校制服が背後にあるのではないでしょうか。日本も海外と同様に服装に関する規定がゆるかった場合、強烈な個性のファッションは生まれなかったのかもしれません。

 

2. 若者のお小遣い(収入)が多い

なぜ?没個性社会ニッポンで奇抜なファッションが生まれる7つの理由

 海外版ウィキペディアで「Japanese street fashion」のページを調べてみると、日本の派手なファッションが生まれる理由として、若者が自由に使えるお金が多いと書かれています。そこで、お小遣い額を海外と日本で比較してみると、確かに日本の子どもは海外の子どもに比べて多くのお金(お小遣い)をもらっているようです。

 例えばフランスでは、7歳から11歳の子どもが1か月にもらうお金の平均は12ユーロ(約1488円)、日本では1,122円とフランスの子どもの方が若干多くもらっていますが、中学生になるとフランスの子どもは16ユーロ(約1984円)、日本の子どもは2,738円と少し開きが出てきます。高校生ではフランスの子どもは30ユーロ(約3722円)、日本では5,590円とかなりの違いがでてくることがわかります(参照:allabout仏サイト)。そして、特筆すべきは日本のお小遣いの計算ではお年玉が含まれていないという点です。反対にフランスのお小遣いの計算は、年間に子どもにあげた総金額を単純に12で割った数字であり、実際にはさらにお小遣いの額に開きがでるのではないかと思われます。また、海外では高校卒業後にお小遣いをあげる家庭がほとんどないといいます。派手なファッションをする人の大半が中高生や大学生などの若者ですが、日本では諸外国に比べて若者が使えるお金が多いため、洋服やファッションに出費することを可能にしているのです。

 

3. ストリートファッション発祥の地、原宿

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奇抜なファッションの代名詞、ストリートファッションが日本で最初に生まれたのは原宿だったと言います。1970年代、ファッションを中心とする若者文化は、従来の新宿より次第に原宿から渋谷方面へと推移していきました。1970年に創刊された『アンアン』と翌年創刊の同じく女性向けファッション雑誌である『non-no』は挙って原宿をお洒落な街として取り上げました。やがてそれらの雑誌を片手に原宿を闊歩する若い女性達のことをアンノン族と呼ぶようになり、これが日本のストリートファッションの始まりだという説があります。街にたむろする若者たちのなかから自然発生的に生まれたファッションだからこそ、派手さやオリジナリティーを重視する傾向が強まったのではないでしょうか。そんな原宿は現在も、デコラちゃん、ロリータなどのポップで奇抜なファッションが多く目立ちます。

 

5. タブーが破られたバブル期

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 世界的に見ても稀な好景気に日本中が沸いていた頃、ヨーロッパ発祥の「ボディコン」と呼ばれる非常にタイトでボディラインを強調したワンピース、スーツに身を包んだ女性が登場するようになりました。このような露出の激しい派手なファッションはそれまでの日本では受け入れられなかったのですが、日本経済が潤沢な時期でもあったためにこうしたファッションが人気になったそうです。このようにバブル期では、日本で最初にファッションのタブーを破ることになりました。

 また、その後バブルが崩壊して高級なファッションが淘汰されるようになった後も、安室奈美恵登場によって、彼女の装いを特に影響されたアムラーが続出しました。彼女の登場によって見られた特に大きな変化は、当時の日本人にはあまり馴染みがなかった茶髪に対する抵抗感がなくなったこと。このファッションの流れを汲むのが狭義でのギャルの原点であるというのが定説になっています。コギャルという言葉が生まれたのもこの時代です。その後、ガングロギャルやヤマンバ、キグルミン、姫ロリなど様々な奇抜なファッションを生んできた日本のギャルたちですが、ギャルの誕生はバブル期前後という説が一般的のようです。

 

6. お手本としての「ファッション雑誌」

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  海外のファッション雑誌を見たことがある女性は気が付くでしょうが、海外のファッション誌と日本のファッション誌ではその「目的」に大きな違いがあるように思います。日本の女性ファッション誌の特徴は、ファッションの「お手本」を目的としている点です。雑誌で実際に人気モデルが着ていた服は飛ぶように売れますが、これは雑誌を普段着のお手本にしている女性が多いということ。そのため日本のファッション誌には「銀座OL基本の10着で30日着回し」、「かわいいデート服20選」のような読者が明日にでも真似できそうなコーディネイトを載せている雑誌が多いです。それに比べて、海外のファッション誌はとても普段着れないような“アート”な服装が多く記載されてあり、“マネする”というよりも“インスピレーションの参考にする”といった目的のものが多いです。海外では「雑誌のファッションと普段着は別物」と考える女性が大半です。

このようにファッション雑誌の位置づけの違いが海外と日本のおしゃれの仕方に違いを生むのではないでしょうか。雑誌にあるそのままのコーディネイトをするという発想がない欧米人は、“無難なもの”に走りやすく、突飛なものを選びにくい傾向にあるように感じます。逆に日本では、雑誌そのままのコーディネイトを真似しようとする人が多いので、洋服選びで“冒険しやすい”環境だといえます。その結果、より多くジャンルのファッション誌が生まれ、日本のファッションが多様化したのではないでしょうか。

 

7. 人口過密な大都会が生み出す無関心

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 なぜ多様化した日本のファッションが“度を越す”のか。日本でおしゃれがエスカレートしてしまうのは、世界的に見ても稀なほど人口が集中している東京からくるのではないでしょうか。人混みの多い大都会では、一般に他人に無関心だといいます。そのため少々派手な服装をしたところで、大勢のなかで目立つことはありません。周りの人に注目してもらいたい願望がある人は「少々派手な服装」ではなく、「ものすごく奇抜な服装」をしなければ注目してもらえず、これがより奇抜なファッションへとエスカレートしていく原因ではないでしょうか。現に日本国内でも、ヤマンバやロリータなどのファッションは地方の田舎に行くとほぼ皆無です。

そしてこのように人口過密な都心であれば、とても派手な服装をしていても変に話しかけられることがない点も「自分の好きなファッション」を貫ける理由なのかもしれません。知らない人とは余計な会話をしない日本では、海外のように知らない人でも友達のようにフランクに話しかけてくる人があまりいません。派手な服装で都会を歩いても周りの人に何かを言われるわけでもなく、静かに“注目”してくれるので、派手な服装をする人はある種の「興奮」と「満足感」を得ることができるのではないでしょうか。おしゃれの基準が「他人からの評価」ではなく「自己満足」になってしまうのは、都会が生み出す“無関心”の賜物と言えるのかもしれません。

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9 コメント

  1. 同感です。もう1つ付け加えさせて頂けるならば、
    和服のバランスと洋服のバランスとで組み合わせや相性などを比較・相対化出来る
    文化的環境もあると思います。
    ウエストマークとか言うのかな?重心の位置からして違うものを組み合わせていく楽しさを
    味わえるのは、西洋とは違った服飾文化を保持する国だけ。
    選択肢を更に豊かにしていると思います。

  2. 懐かしいなぁ〜、小さい頃は時々ホント奇抜で恥ずかしい格好してました。しかも海外で(笑)今思うとホント恥ずかしいわぁw でもそういう日本のポップカルチャーが大好きでしたし、いい経験でした。

    海外に住んでる知り合いの多くは日本の奇抜なファッションを見て、アニメのキャラクターと言う印象を受けてるそうです。(普通のファッションも清潔感があるのは大好評。)やっぱり漫画やアニメが広く受け入れられる国では、それっぽい「キャラクター性」を取り入れるファッションも広い客層から受け入れられるのかな〜と思います。

  3. 若者がお金を持っているのは、小遣いが多いだけでなく、アルバイトなどで稼げるというのも大きいとおもう。
    フランスだと、高校生がバイトをしにくいのでは、、、。

  4. >和服のバランスと洋服のバランスとで組み合わせや相性などを比較・相対化出来る
    文化的環境
    これにも同感します。奇抜なマンガ・ルックと同じく日本ファッションの特徴といわれるのが薄い上着を何枚も着る『レイヤードスタイル』。言うまでもなく着物の『かさね』のフュージョンです。
    その昔、過激な風体で練り歩くストリートギャングを『傾き者』と呼びましたが
    写真のような子達は『お洒落番長』と呼ばれるあたり、伝統は脈々と受け継がれているのかもしれません。

  5. 同調圧力に対する反発。そして、みんな抑圧を感じているからその反発にも寛容。規律と自由の良い所取り。上手く調和していると思う。欧米も含めて他国ではそうはいかない。

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