気軽に海外生活を体験する方法として団塊世代を中心に最近増えているのがロングステイ。「長期滞在型余暇旅行」という位置づけのロングステイだが、これをきっかけにして、ゆくゆくは海外に移住したいと考えている人も少なくないのではないだろうか。
どうせ行くなら健康的な暮らしができる国でのんびりしたい!長生きできる国・都市に引っ越したい!
そこで今回は海外の旅行サイトで紹介されていた『海外移住して長生きできる国トップ10』を紹介する。住むだけで長生きできるような場所があるかどうかは疑わしいという見方をする人もいるが、世界に点在する「健康的で快適な老後暮らしができる都市」を“ブルーゾーン”を定めている団体もあるそうだ。ブルーゾーンに認定されるためには、その土地の食生活や老人の社会的統合性、身体活動レベルや人生観などの点で優れていると判断されなければならない。
どれだけ長生きするかは遺伝子によるところも大きいが、専門家は長生きの要因の75%はライフスタイルに起因するという見方をしている。それでは、長生きできる環境が整っている国や都市は世界のどこにあるのだろうか。日本ではあまり聞きなれない国もブルーゾーンとして挙げられているので、是非ご覧になって下さい。
1. 沖縄県、日本
世界一の長寿国として、海外に知られる日本。なかでも沖縄は最近までずっと日本一の長寿県だった。現在では食生活の変化と共に平均寿命日本一は男女ともに沖縄ではなくなったが、それでもアルツハイマーや心臓発作、乳がんにかかる人の割合が低く、心臓発作とがんの発生率はアメリカよりも80%低い。
しかし最近では「長寿県おきなわ」とイメージはなくなりつつある。元々沖縄県が長寿県とされていた理由は、1)豚肉を毎日食べていた、2)緑黄色野菜を多く摂っていた、3)塩分控えめな食事などが挙げられていた。生活習慣や食習慣の変化により、沖縄県民も運動不足やファーストフードを食べる機会が多くなり、肥満による糖尿病患者が増えていると報告されている。最近は“長寿”のイメージが薄れつつある沖縄県だが、まだまだ世界的に見れば長寿で有名な地域のようだ。
2. アンドラ公国
スペインとフランスの間に位置する国、通称アンドラは人口約7万人の小さな国。ピレネー山中にあるこの国は言わずと知れた長寿国のひとつであり、その秘密はきれいでおいしい水と最高の医療制度、地中海食事にあるといわれている。アンドラを取り巻く社会情勢が安定しているため、国民のストレスレベルも低いとされている。敵対する国家も存在しない上、近年まで外交をスペインとフランスにゆだねていたこともあり、軍隊は持たず、国防に関してはフランス及びスペインに委託している。
3. イカリア島、ギリシャ
ギリシャ神話に登場するイカロスが、付近の海に転落したという逸話から、島の名前が付いたと言われているイカリア島。90歳まで生きるお年寄りの割合はアメリカ人の4倍である。イカリア島民の長寿の秘訣は、身体活動のレベルとゆったりしたライフスタイルにある。島民はのんびりとした時間間隔をもっており、昼寝を習慣としているそうだ。食生活は肉や魚、糖類を摂ることが少なく、穀物やじゃがいも、緑野菜をよく摂る食事が中心。島民は日常的にヤギミルクやハーブティーをよく飲む習慣がある。
4. ニコヤ半島、 コスタリカ
ビーチで知られる人気の観光地であるニコヤ半島では、島民同士の結びつきも強く、野菜中心の食生活と適度な運動(仕事)を日常的に行っている。島民の多くはサバネロ(牧場にいるカウボーイ)であり、牧場労働者だ。地元民はメソアメリカンの伝統的な食事をすることが多く、コーンのトルティーヤや豆類、かぼちゃをよく食べる。水はミネラルが豊富で、骨の健康に役立っている。気候はドライで晴れている日が多く、ビタミンDを多く摂取し、呼吸器系の疾患にかかる患者が少ない。
5. フンザバレー、パキスタン
ヒマラヤ山脈に囲まれたパキスタン北部に位置するこの街は、小説『失われた地平線』に登場する理想郷、シャングリラなのではないかと言われている。小説のなかでは、シャングリラに住む人々は普通の人々よりはるかに長生きし、老いる速さは非常に遅いとされていたが、これはフンザバレーの人々にも共通しているらしい。適度な運動と野菜中心の食事を摂り、小麦やオオムギ、チェリーやスモモなどが有名だ。起伏の多い地形のため自然とそこに住む人は足腰が強くなり、運動不足にもなりにくい。フンザバレーの住民は人生をポジティブに捉えている人の割合も高く、家族同士の結びつきも強い。
6. ビルカバンバ、エクアドル
ビルカバンバは『長寿の谷』として世界的に有名であり、世界三大長寿の地域に数えられ、高齢でもいつまでも元気に過ごしている。1950年代初め、慢性疾患が低く120歳まで生きると言われていたビルカバンバ村民は専門機関に研究対象とされた。当時の研究者はビルカバンバ村民の長寿説は誇張されたものが多いと指摘したものの、村民の日常の運動量と食生活は極めて健康的であると報告した。
ビルカバンバ村の一日のカロリー摂取量は1200~1900kcal。比較的バラエティー豊かな野菜や果物を多く食べる食習慣(ビタミン摂取)となっている。ヤギや羊の肉、牛乳などの比較的淡白な動物性脂肪を食すること、また豊富な運動量と合わせて健康で長生きできる環境が自然生活に存在していることが長寿の秘訣と言えるそうだ。
7. サルデーニャ、イタリア
平均寿命は女性の方が長く、男性の方が短いのが一般的である。しかし、イタリア領のこの島では世界でも珍しいことに男女の平均寿命がほぼ同じなのである。さらに、サルデーニャでは100歳に達する人口数が世界平均に比べて2倍だそうだ。このイタリアの島でよく知られる言い習わしで” kent’ annos”という言葉があるが、これは「100歳まで生きられますように」という意味だ。豊富な海産物や、島において牧畜される羊の肉などが主要な食材として用いられる。
サルデーニャ人は家族の関係が強く、サルデーニャ以外の人と結婚する人はあまりいないことから、サルデーニャ人の長寿は遺伝子が関係しているという研究結果もある。
8. アブハジア共和国
紛争の続く地域であるため正式な統計は存在しないが、2003年に行われた国勢調査では人口は215,972人であった。そのうち山岳地方に住む人口は約10万人で、この地方に住む人は150歳まで生きると噂されているほど、長寿で有名だという。病気や疾患にかかる人の割合が比較的低く、質の高い生活を楽しんでいる。
アブハジアでの食生活は地元で育てられた野菜や豆、穀物が中心で、肉や魚、糖分の摂取は少ない。彼らは強い家族のつながりがあり、ストレスの減少に繋がっていると言う人もいる。社会的地位や財力や業績によって判断されるのではなく、年齢によって判断される。
9. マカオ、中華人民共和国
ブルーゾーンには認定されていないものの、マカオもまた長寿国としてしられている。マカオ人口の平均寿命は 84.38歳で、世界で最も長生きする都市のひとつである。旧ポルトガル植民地であったこの国では、ポルトガルの文化が現在でも色濃く残っている。そんなマカオ民の食事は魚介類ベースで、中国とポルトガル両国の伝統料理が食されている。現在はカジノや世界遺産を中心とした世界的観光地としても知られるマカオでは、一人あたりのGDPは非常に高く、また税収も潤沢であるため、マカオ市民には一人あたり年間約10万円相当の年金が支払われる。さらに教育、医療費は無料であり、医者の数も多く、人口千人当たり1.5人の医師がいる。
10. サンマリノ共和国
サンマリノは周囲は全てイタリアに囲まれた、世界で5番目に小さな国である。調査によると、サンマリノに住む男性の平均寿命は81歳。失業率は1.4パーセント(2007年)と非常に低く、一人当たりの支出レベルや生活水準はイタリアとほぼ同様である。ストレスレベルが低いことで有名なこの国では、経済規模が大きすぎず、また離婚率も少ない。また、お年寄りの社会活動も盛んに行われている。お年寄りは老人ホームなどで生活するのではなく、子供夫婦と暮らしている人がサンマリノでは多い。
他にも…
ブルーゾーンには認定されていないものの、平均寿命が長いとされている国にはモナコやガーンジー(イギリス王室属領)、シンガポール、香港、オーストラリア、スウェーデン、スイス、カナダなどがある。
これら長生きする国の共通点は、野菜中心の生活と適度な運動が挙げられる。ブルーゾーンへの移住を考えている人もそうじゃない人も、このような地域に一度旅行に行ってみて、地元民の長寿の秘訣を探ってみるというのも面白そうだ。