海外で活躍している日本人っていうと、社交的で人付き合いが上手な外向型の人が多い気がしませんか?
しかし、実際はそんなことはありません。海外で自立した生活を送っている日本人のなかには、内向的な人間ももちろんたくさんいます。かくいう筆者も、自分は外交的だと勘違いしていた内向的人間です。
そこで今回は、内向的な傾向をもつ人が海外で人間関係をゼロから作り上げる際に、知っておくとためになる考え方を3つ紹介します。これを読めば、「私は内気な性格だから…」と自分を責めている人も、少し考え方が楽になれるかもしれません。
方法1 :自分の傾向を知って話しやすい環境をつくる
まず大前提として、外向的な人のほうが内向的な人よりも優れているというわけではありません。そのまた逆もしかりで、どちらかがダメという話ではないのです。外向的・内向的の性格分類は、単純に『どこからエネルギーを得ているか』という分類で、
- 内向型は、社交で疲弊し、元気を得るために孤独を必要とする。
- 外向型は、独りになると不安になり、社交から元気を得る。
と言われています。しかし、実際には完全にどちらかのみに当てはまるわけではありません。ほとんどの人はその中間に位置し、両方の行動を示します。この間を行ったり来たりするわけです。なかにはどちらの傾向にもあてはまらない両向型の人もいます。
そこで、自分の外向的・内向的性質を思いつくだけ書き出してみます。ちなみに、筆者の例がこちら。
(外向的性質)
| (内向的性質)
|
こんな感じでどちらの性質も持っていることがわかると思います。大切なのは、自分がどちらのタイプなのかという二者択一の選択に縛られるのではなく、どちらの性質をどのように持っているのかを自分で分析してみることです。このように箇条書きにしてみると、自分の言動の傾向がわかりやすくなります。
この自己分析を活用して、次はコミュニケーションで自分が苦手とするところを補う方法はないかを探ってみます。筆者の場合は、会議や話し合いなど目的がはっきりとした会話ではよく発言するのに、方向性が見えないおしゃべりが苦手という特徴がありました。
これから導き出せることは、「会話の目的や方向性を明確にすれば話しやすい」ということ。
これに気がついてからは、世間話やおしゃべりでも目的(例えば、相手をもっと知って仲良くなるなど)を意識するようにしました。すると、以前より話したいことが頭に浮かぶようになりました。
このように自分だけの外向的・内向的傾向の特徴を知って、それをどう活かせれば自分の話しやすい環境が作れるのかを分析してみると、人づきあいやコミュニケーションが楽になると思います。
方法2 :外向的な人=コミュニケーション上手ではないと知る
外向的な傾向が強い人は、いつも人の中心にいて冗談を言って人を笑わしたり、興味深いことを言って人の注目を引きつけたりする「社交上手」のイメージを持っている人が多いのではないでしょうか。しかし、実際は外向的な人が、必ずしもコミュニケーション上手というわけではありません。
私のアメリカ人の友人で、超外向的なマックスがその例です。彼はいつも自分の思いついたことを次々に話し、ジョークを言って話の中心に入っていくタイプの人でした。アメリカではそれでも良かったのかもしれませんが、日本に来て、「空気を理解しよう」という心構えの人たちと接してみると、コミュニケーションがちぐはぐになってしまいました。彼の言動は前に出すぎで、日本人を圧倒し、日本人に居心地の悪さを与えてしまっていたのです。
つまり、単純に話し上手になればいいというわけではないのです。相手や状況によって、外向的にも内向的にもなれるというのが、本当のコミュニケーション上手なのではないでしょうか。外向的だから人づきあいが上手いというわけではないのです。
外向的・内向的という分類は、『どこからエネルギーを得ているか』という分類です。これは好みの違いであって、「スキル」の違いではありません。マックスの場合、社交からエネルギーを得ていて、話すことが大好きでした。
「好きこそものの上手なれ」とはよく言ったもので、外向的の人は話すのが好きだから、話すことが上手くなっていきます。しかし、反対に相手の話を聞くのが苦手で、内向的な人の立場に立って状況を判断するという点を意識していませんでした。相手に質問をして話をふる、話しながら間をとるというようなコミュニケーションを心がけていれば、日本人を怖がらせるようなことにはなっていなかったと思います。
方法3 :コンフォートゾーンを出る
マックスから私たちが学べることは、自分の気の向かない要素を伸ばしていく努力が、コミュニケーション上手への第一歩だということです。例えば、筆者の場合は、人と話している時、自分の話をしたい!という欲求があまりなく、必要のないことは話したくないし、人の話を聞いているほうが気が楽です。しかし、これでは何を考えているのか相手には伝わらず、話や相手に興味がないと勘違いされてしまうかもしれません。
コミュニケーション上手になるためには、話さないでいられる=楽でいられるコンフォートゾーンを出て、自分の考えていることがまとまっていなくても、ちょっとずつでも発言する訓練をしていけばいいのかなと思います。
自分の弱点を知り、コンフォートゾーンを出ることを意識して、訓練の場数を踏む。これが、内向的な人が海外でも人づきあいでうまくやっていくために必要な考え方なのではないでしょうか。
ちなみに、筆者は内向的ですが人前で話すことは苦手ではありません。これは、これまでにそういった機会が多かったからだと思います。苦手意識がないのは、これまでに何度も「人前で話してうまくいった」経験があるからで、人前で話す能力が高いからではありません。人前で話すのは苦手ではないですが、かと言って好きでもないので、やはり自分は内向的な人間なんだなと思います。
要するに、外向的な人も内向的な人も、「苦手ではないが、かと言って好きでもない」要素を増やしていけばいいのではないかと思います。
- 無駄なおしゃべりが苦手ではないけど、好きでもない。
- テンションを上げて話さなくちゃいけないのは苦手ではないけど、好きでもない。
- 初めての人に会うのは苦手ではないけど、好きでもない。
- 自分の話をするのは苦手ではないけど、好きでもない。
こんな風に「苦手」を減らしていくように場数を踏んでチャレンジすることが、コミュニケーション上手への第一歩なのではないでしょうか。
別に、なにも人と話すことを好きにならなくてもいいんです。
そう考えると、少し気が楽になりませんか?
おわりに
タイトルに「海外で」と入れたわりには、内容のほとんどが日本で使える方法になったしましました。これから海外に行こうと考えている方は、日本にいる今のうちからこれら3つの方法を試してみることをおすすめします。
ちなみに内向的な筆者は、「内向的なコミュニケーション上手」を目指しています。芸能人で言うと、タモリさんのような人です。明石家さんまさんのような人ではなく、目指すはタモリさん!頑張りましょう。