日本からパリへ旅行に来た人はよく「パリの人=パリジャンは感じが悪かった」と言います。なかには、パリジャンが原因でフランスに悪いイメージを持ってしまう人も。
これは何も日本人旅行者に限った話でなく、アメリカ人やイギリス人、カナダ人、インド人、中国人、韓国人なども同じで、みな声を合わせて、「パリは街並みも綺麗だし、食事は美味しいし、ショッピングにも最高だけど、人がダメだ」と言います。そう、パリジャンは世界の旅行客にすこぶる評判が悪いのです。
パリジャンを嫌いなのは何も、海外の人に限りません。パリ以外の地方都市に住むフランス人にも評判が悪いのです。
仏紙「フィガロ」の5千人を対象にしたアンケート調査では、フランス地方都市出身者にパリジャンに対する印象を聞きました。その結果、パリジャンを「思い上がっている」と答えた人は42%、「失礼な人」が14%、「気取り屋」13%、「飲み騒ぐ人」12%でした。
なぜ、こんなにパリジャンは嫌われるのでしょうか。そこで今回は、パリジャンの評判の悪さの原因を、地方のフランス人と比べて説明してみます。あなたはパリジャンにどんなイメージを持っていますか?
1.パリジャンは笑わない
パリジャンは笑いません。愛想が悪いのが普通で、感じのいい笑顔で接してくれるほうが珍しいです。筆者は以前、グルノーブルとニースに住んでいた頃があり、旦那の実家や祖父母宅がある地方都市にもちょくちょく行くことがあるのですが、やはりざっと見ると、地方のフランス人のほうが愛想よく、微笑みかけてくれるように感じます(これも誰に当たるかによりますが)。
パリジャンは無愛想なのがスタンダードなので、むしろニコッと笑顔で対応してくれたら「ラッキー」ぐらいに思っているといいです。パリ在住が長くなり、冷たい対応になれると自然と気にならなくなります。
2.パリジャンは忙しい
パリと地方都市では、明らかに時間の流れが違います。パリジャンはとにかく忙しい、と自分で思っている人が多いです(実際はそーでもなかったりする)。
例えば、地方都市のホームセンターで買い物をした場合。「家の水道の蛇口を取り換えたいんですけど、どこにありますか?」と質問したら、その場所まで案内してくれ、「今はどんな形状の蛇口なの?」、「どんなものがほしいの?」と質問してくれて、店員さんと一緒に選ぶことができます。しかし、パリの場合は、「ここですよ」と案内されて終わりです。
パリでは自分から突っ込んだ質問をしたり、頼んだりしなければ、いくら店員とはいえ動いてはくれません。おしゃべり好きなフランス人とのコミュニケーションでは「無駄話」が醍醐味で、仲良くなる近道なのですが、人が多く忙しいパリでは時間をとって話をするのも難しく、これがフランス人には非常にウケが悪い原因です。
特に、夜18-19時はパリじゅうの人が血相を変えて家路に急ぐ時間帯なので、18時前のピリピリした時間のパリジャンには注意しましょう。
3.パリジャンは外国人嫌い
外人が嫌いというか、フランス語を話せない外国人観光客が嫌いです。
パリは世界で最も観光客が多い都市。一年中いつでも、どこにでも外国人観光客がいます。パリジャンがこれを歓迎するはずがなく、「邪魔」「面倒な存在」ぐらいにしか思っていません。
- 休日にアイスクリーム屋に行ったら外国人の行列があって買えなかった
- 観光客の大群が道をふさいで歩きにくかった
- 外国人にわけの分からない言葉で話しかけられて困った
こんなパリジャンの不平不満を耳にすることも珍しくないです。はっきり言って、パリは「おもてなし」とは対極の都市。パリに来るなら来れば?でも私たちの邪魔しないでね!というのが基本スタンスです。
4.パリジャンは、パリジャンも嫌い
パリジャンはよそ者が嫌いですが、なら内輪のパリジャンを好きなのかというとそうでもないです。パリジャンは、パリジャンも嫌いなのです。パリジャンはよく言います。
「パリジャンって本当いやな奴ら多いよねぇー。(俺以外のみんなは)」
結局のところ、フランスで言われる「嫌なパリジャン」のステレオタイプにはまっていると自覚しているパリジャンはいませんw。みんな、「嫌なパリジャンはたくさんいるけど、俺は違うよ」と心の中で思っています。これはある意味公平(?)なのですが、みんながみんな「パリジャンは嫌だね」と言っている光景というのは、何とも滑稽です。
5.パリジャンは一見さんに冷たい
以前の記事、「なぜパリ旅行に来た日本人は、人種差別の被害者になるのか?」でも紹介しましたが、フランスではサービス業の「お客さんに対する差別」は当たり前で、日常茶飯事。特にパリは外国人観光客が多く、店側が努力しなくても次から次へとお客さんが入ってくれるので、いちいち良いサービスを提供しようと努力はしません。
フランスのサービス業には、店側からすれば客の階級があり、客側もお店の階級があります。一度きりで二度と来ることがなく、チップもくれない観光客(フランス人観光客も含める)の一見さんに対しては、店側は努力しません。これが観光客の少ないフランスの地方都市に行くと、店側も嬉しくなって「ここはこれが有名なんだよ、食べてみる?」なんてサービスもしてくれるのですが、パリではありえないでしょう。パリジャンの態度の悪さの背後にはいつも、「観光客の多さ」があるのです。
まとめ
ここまでパリジャンの悪口を延々と書き連ねたので、ここでひとつ、パリジャンを擁護しますと、
パリジャンは話してみると意外とイイ奴
だったりします。「なんだよコイツ、態度悪いな」と第一印象があまりよくないパリジャンでも、ある日のふとしたことをきっかけに仲良くなって、「なんだ、話してみると案外イイ奴じゃん」と思うことがよくあります。
また、感じ悪いなーと思って文句を言うと、案外「あら、そういう意味じゃないの」とすぐに態度を変える人もいます。おそらく、1日に多くの人に接するパリジャンは、いちいち自分の第一印象を良くしようと考えていないのではないか?と思います。これが、パリジャン大不評につながっているのかな?と。
とはいえ、パリジャンと言ってもいろいろです。すごく親切で素敵なパリジャンももちろんいますし、不親切な地方のフランス人もいます。ま、これはどこの国でもそうですね。
パリに旅行に来る人は、パリジャンに冷たい態度をされたとしても、気にしないのが一番です。気にするだけ損です。図太くいきましょう~♪
アメリカの映画で「パリは嫌いだ」というセリフを何度か見かけたので調べてみてこの記事を発見したので参考になりました。