8月11日に開催された「ブラック企業大賞 2013」では、入社2カ月の女性社員を自殺に追い込み問題となったワタミフードサービスが大賞を受賞した。以前から日本の社会問題として挙げられる過労死。そろそろ国が問題解決に向けて動き出さなければいけない時なのではないか?
しかし、日本の労働環境における問題点は何もブラック企業に限った話ではない。日本で働いたことのある外国人の多くは日本社会全体、日本人一人一人の意識を変えていく必要があると語る。そこで今回は、日本事情に詳しい外国人が集まるサイトJapanTodayより「なぜ日本人はこんなに長く働くのか?」に寄せられた意見のなかから、外国人が挙げる「日本人の労働」の問題点を5つにまとめてみた。外国人の意見は「外から見た客観的な見方」を示してくれるという意味で、とても興味深い。あなたは「海外から見た日本の労働環境の問題点」をどのように思うだろうか。
問題点1. 愛社精神
より良い待遇を求めて転職をするのが一般的な欧米社会に比べて、終身雇用制度が一般的だった日本にはいまだに「愛社精神」を重んじる風土がある。愛社精神という言葉ではなく、「チームスピリット」や「チームワーク」といった言葉を用いる会社もあるが要は同じことである。
「残業時間にする仕事がたとえ生産性のない仕事であっても、愛社スピリットを見せるために働かざるを得ないんだと思う。」(paulinusaさん)
「日本の会社で2年ほど働いた。僕の会社ではデスクで寝ている社員も多かったけど、これは“仕事で疲れています”アピールをするためだと言う同僚もいて驚いた。基本的に上司より先には帰れないし、理解できないおかしな空気があった。」(Kakukakushikajikaさん)
自分のスキルアップのために他の会社に移る外国人から見ると、自分の会社をよくしたい、自分の会社が好きだ、この会社で働けて誇りであるという日本人の“愛社精神”は奇妙に映るようだ。
問題点2. 仕事の効率が悪い
日本人は仕事の効率が悪いという指摘も多い。そもそも定時までに仕事を終わらせようとしている人が少ないという。
「日本の労働時間は長いと言うけれど、喫煙休憩やトイレ休憩、隠れた私用電話の時間やお昼休憩などを除いた実質の労働時間は5-6時間なんじゃないの?要領が悪いよね。」(Daniel Sullivanさん)
「日本人は自分から進んで残業しているのだと思う。本当に早く帰りたいと思うなら、だらだらとエクセルしたり、意味のない会議に出席しなければいいんだよ。それでも忙しくて帰れないっていうんだったら同情の余地があるけど、実際は違うよね。」(Saxon Saluteさん)
よっぽどのことがない限り定時で帰る外国人と比べると、日本人は「時間内に仕事を終わらせる」という意識が薄いのかもしれない。
問題点3. そもそも“残業”していない
「仕事の効率が悪い」という指摘よりも多かった意見がこれである。そもそも長い時間“働いている”のではなく、“会社に残っている”だけだという人が多かった。
「オーストラリアのシドニーで勤務経験がある日本人男性と日本の労働問題について話したことがあります。日本人は仕事ばかりの人生がどんだけ大変かと愚痴をこぼすけど、そんなのはたわごとだと彼は言っていました。彼曰く、オーストラリア人は仕事を5時までに終わらせて家に帰れるようにするために、日本人以上に一生懸命働くので感心したと語っていました。日本人はだらだらと仕事して時間を無駄にしている、だから職場に何時間もいなくちゃいけないんだと。私自身、日本で仕事した時はオフィスで寝る社員をたくさん見てきましたが、同情する気にはなれませんでした。」(Tamaramaさん)
問題点4. 人生の楽しみ方を知らない
外国人から見ると、働きすぎで仕事ばかりの人生を送る日本人。こんなに働かされているのにストライキなどの行動にでないのは、仕事以外の人生の楽しみ方を知らないからではないか?と考える人もいる。
「日本人は趣味がない。結婚も愛があっての結婚ではないから、そんなパートナーと時間を過ごしたくないので家庭から逃げる男性が多いのではないか。そして何より、日本人がこんなにも働く原因の一つは仕事以外の人生を知らないからだと思う。日本人は子どものころから学校と部活と塾に明け暮れた毎日を送ってきているから、暇な時間に何をしていいのかわからないのではないだろうか。」(bgaudryさん)
「なぜ日本人は人生を楽しもうとしないの?僕の会社にいる40代の日本人女性の多くがいまだに親と同居していて、子供もいないし、家庭も築いていない。何で自分一人で生活しないの?なぜ自分ひとりで考えられないの?なぜもっと効率よく働こうとしない?自分の人生は一度きりなのに…。習慣の問題だよね。変わるべきだと思う。」(warewarenihonjinさん)
問題点5. 恐れ
日本人が仕事の犠牲になるのは、それぞれが抱えている“恐れ”が強く関係しているという意見も多い。
「日本人は残業しているからと言って、人一倍多く働いているというわけではない。結局、みんな各々が“恐れ”ているんだと思う。もし仕事で成功できなかったら、それは仕事に十分な時間を割いてないからだと批判されるのが怖いのだ。」(yabitsさん)
「日本の不景気と仕事を失う恐れが深く関係しているように思う。それに日本は”ステーショナリーカルチャー(静置培養)”の国。個人の人生は職業によって定義されるため、家族や趣味、個人的な目標などはあまり重要視されない。だから転職も遠慮しがちなんだ。仕事が人生において重要な意味をもつから、残業でプライベートが犠牲になったとしてもさほど重要な問題ではないんだよ。だからその分、失業に対する恐れも大きいのだと思う。」(Thomas Proskowさん)
まとめ
日本の労働環境に対する批判は多いが、日本での勤務経験がある外国人が決まって言うのは「日本人の誰一人としてこんなに長く働かなくてはいけないことを嬉しく思っていない」ということだ。
誰もが早く仕事から解放されたいと思いつつ、誰もが職場から離れられない…。日本人労働者のその意識そのものが、日本の労働環境の問題を映し出している気がしてならない。
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