シリーズで書き続けた国際ラブストーリーも、とうとうプロポーズの回になりました。最初に言っておきます。この回は自分でも書いててちょっと恥ずかしくなるような、完全なるノロケ話です。
東京研修から同棲中の福岡のアパートに帰った私。部屋にある机の引き出しを何気なく開けた。そこに決して見てはいけないものがあった。翌日貰うはずの婚約指輪がひっそりとそこにあった。
やべぇ!見ちゃった!!私は小さいころから変な観察力のようなものがあって、自分が家にいない間にどんな郵便物が届いたかとか、冷蔵庫に何が増えたか、どんな物が動いたかなど家の中の変化に気がつくのが早い。家族に感心されるほどだった。でも、今回は本当に見てはいけないものを見つけてしまった。でも幸運なことに彼は気づいていない。見ていないことにしなくちゃ。この指輪は明日、初めて見るはずのものだ。
「いや、だめ!怪我してるんでしょ。」
そんなやり取りを30分ほど続けて、彼は言った。「あぁ!ヤバイ!夕日に間に合わない!」
夕日?
「もういいや、ここで歌うね。」そう言って彼は、私が東京にいた間に一生懸命練習したレミオロメンの「3月9日」を歌った。私を肩車しながら、時々メモを取り出し歌う彼。彼の優しい歌声がそよ風に乗り、オレンジ色になった世界に舞う。
淡く、優しく私の耳に届く。彼の踏み出す一歩一歩に私の体と心が揺れる。時間が止まったみたいだった。こんなに穏やかな世界があったんだ。こんなに優しい世界があったんだ。
歌い終わった彼は、「本当は神社で夕日を一緒に見ながら歌うつもりだったんだ」と残念そうに言った。いろんなサプライズを考えながらも、いつもの通りに少し遅れてしまう彼が何とも愛おしかった。彼はいつだってそうだった。彼の愛情はいつも少し遅れて私に届く。
「次はこの近くの本格フレンチレストランに行くよ!」気を取り直して言った彼。ところが、携帯の地図と何度睨めっこしてもそのレストランは見つからない。通りかかる人に道を聞いて何とかたどり着いたが、そのレストランは閉まっていた。「何で?何で?ネットでは今日開いてるって書いてあったのに!」何度もつぶやく彼。もう何だか見ていられなくて、落胆する彼に言った。
「よし!あたしマリノアシティー(観覧車のある福岡のアウトレットモール)に行きたい!あそこにあたしが福岡で一番好きなレストランがあるんだ!2人で観覧車にも乗りたい!今から行こうよ!」
なんとしてでも彼のプロポーズ大作戦を成功させたかった。彼がこんなに頑張ってるんだから。それに早くプロポーズの言葉が聞きたい!
マリノアシティーに着いた私たちは、私が福岡で一番好きな海を見渡せるレストランで食事をとり、夜の観覧車に乗った。夜の観覧車は玉手箱のようだった。周りのビルや街頭がキラキラ光り、宝石のようだった。
はしゃぐ私の隣で、いつも饒舌の彼は黙りこくり、やたらとソワソワしていた。何ともいえない雰囲気の漂う私たちを乗せた観覧車は、ゆっくり、ゆっくりと上昇する。そしてちょうど頂上に着いたころ、意を決したように彼が言った。
「今までいろいろありましたね。僕はこれからもずっとリリーと一緒にいたいです。リリーを幸せにしたいです。リリーを幸せにすることが僕の幸せだと気がつきました。リリーと一緒に僕らの子供を一緒に育てて、一緒に仲のいいおじいさんとおばあさんになりたいです。僕と結婚してくれますか?」
嬉しかった。今まで生きてきた中で、こんなに嬉しい瞬間はなかった。嬉しくて目が潤んだ。彼の純粋で綺麗な心が伝わってきて、もう世界に彼がいてくれればそれだけでいいと思った。
彼だけがいてくれればいい。彼の腕の中に飛び込んで、「はい。」と答えた。彼は指輪の箱を開け、ダイアモンドの付いた婚約指輪を私にはめた。世界で一番きれいなその指輪は、サイズを聞き出せなかったせいか私にはブカブカだった。その大きすぎる指輪を見つめながら、私は嬉しいのと同時に安心して肩の力が抜けた。
あぁ~、終わった。これで無事に終わった。良かったぁ~。そう思っていたら、彼が聞いてきた。
「もしかして、知ってた?」
彼は鋭い。私の言動から私が何を考えているか、いつも言い当てる(私がわかりやすいから?)。そしてそう簡単に嘘をつける相手ではない。観念して、全てを告白した。彼は少しがっかりした表情を見せた後、大笑いした。それから2人でずいぶん長い間、大笑いした。
彼:「何だ!知ってたの?」
私:「だって色んなヒントくれるんだもん!」
そんなこんなで、最後の最後まで「予想外」なことが立て続けに続いた彼のプロポーズ大作戦は幕を閉じた。私たちの一生に一度のプロポーズは、何とも「私たちらしい」ものだった。
結婚を約束した私たちはその後、膨らむ夢と厳しい現実の狭間で揺れることなる。
[国際ラブストーリー7~婚約後に深まる2人の溝] に続く・・・
銀行強盗かいw
読んでてドキドキした~!
超素敵なプロポーズやね♪
プリクラの機械まで調べとるとか可愛すぎ♪
そのときの気持ちを忘れずにいつまでも仲良くね☆
3月9日初めて聴いたけどいい歌やね~。
そうやねぇ!プロポーズとか大切な日のことは日記とかに書いてたほうがいいかもね。
そしたら結婚後~十年しても、その時のことを思い出せるし。
もう超!感動して涙でてくる~
泣けました。