最新の世論調査で約7割のフランス国民がサルコジ大統領を支持していないことが明らかになった。その原因として彼の息子の「身内びいき」や、カーラ夫人とのダブル不倫スキャンダルなどが挙げられるが、それはさておきこの大統領が就任したときの政策の1つは「シラク政権のイラク戦争反対により冷え込んだ対米関係の改善」とある。彼の政策を語る上ではずせないのが、このイラク戦争である。
それではイラク戦争当時のフランスはどんな状態だったのだろう?
簡単に言えば・・・
2003年、多国間主義&国連主義のフランスは国連安保理を無視してイラク戦争に踏み切ったアメリカの単独行動を批判。それ以降、フランスメディアはフランス政府の主張の正当性を強調し、政府を後押しするような報道とともに、アメリカを皮肉る表現が見られ、反米色の強い報道内容となった。このような報道は世論への影響も大きくフランス国内での反戦・反米ムードは盛り上がっていった。これを受け、アメリカ国内ではフライドポテトの名称を「フレンチフライ」から「リバティーフライ」に変えたという話が流れた。
おもしろいのは当時のフランスメディアのアメリカを皮肉るジョークである。
↓このムービーは、USAフォーの“We are the world”の替え歌である。見にくいので大画面で見てください。Les guignols de l’info(レ・ギニョール・ド・ランフォ)という当時のCanal+チャンネルで放送された番組。ギニョールは左翼派と庶民の味方であり、現代社会と政治を皮肉をこめて、ものすごく簡略化した批評パペットコントである。反米意識を皮肉ってジョークにしてしまうところが何ともフランス人らしい。
フランス語訳の上に日本語訳を書いたので、ちょっと読みづらくてごめんなさい。We fuck the world, We fuck the childrenの“fuck”の意味は「だます」、「めちゃくちゃにする」、「欺く」を合わせて強い言葉にしたものだと思って下さい。(いい日本語訳が見つからなかったので・・・)
イラク戦争から6年経った現在、「親米派」と言われていたサルコジ大統領の支持率が大低落。このままだと2012年に行われる次期大統領選でサルコジが選ばれることはなくなるだろう。どうする、サルコジ?これから先のサルコジさんと時期大統領選が非常に楽しみだ。
そもそもフランス人はアメリカのことをどう思っているのか?
これは人それぞれである。ちなみに私の旦那はガッツリ反米派、彼の父親はどちらかというと親米派、彼の母親はどっちでもいい派である。しかし、ただひとつ確かに言えることはフランス人は大国アメリカにも媚びず「自分が一番」という意識が高いことである。つまり、経済大国であろうが世界に与える影響が大きかろうが、アメリカはただ1つの国でしかなく、フランスと同等とみなすのだ。だから、日本に来たフランス人はショックを受ける。「まさかこんなに日本がアメリカナイズされているなんて思ってもいなかった」と・・・。
反米意識をジョークにしてしまうフランスの強さは、長らくアメリカに思いやり予算を与える日本も見習うべきところがあるのではないか?と、私は思う。