少し前に、東京に住む友人からこんな相談をもちかけられた。
「子どもと公園行ったら、そこに外国人のママがいてね。何か英語で話しかけられたんだけど、何てこたえればいいかわからなかった。でも何となくジェスチャーで何言ってるのか察しがつたんだけど、英語で返せなかった。日本語で話して良かったのかなぁ?」
彼女のように街で外国人に話しかけられたという人は多いようである。2009年、ロゼッタストーンジャパンによる20~30代の男女500人を対象とした実態調査によると、「街で外国人に英語で話しかけられて、うまく聞き取れなかった経験がある人」は8割に上った。
また、「早口で分からなかったので逃げた」(兵庫県の38歳女性)といったように、「外国人に英語で話しかけられて、聞こえないフリ、または逃げた経験がある人」は 8%いた。
私の友人のように、日本人の大多数は街で外国人に英語で話しかけられてもうまく返せない。日本人の英語力は置いておくとして、街で英語で話しかけられたらどうするべきなのだろうか?
先ほどの質問をしてきた友人に、当時の私は「わかりやすい日本語で話してあげればいいんだよ」と伝えた。理由は2つあった。
1つは、日本では外国人も日本語を話すべきだと思っていたからである。私たち日本人がアメリカやイギリスに旅行にいったら何語を話すか?たとえ下手でも英語でコミュニケーションをとろうとする人が大半ではないかと思う。アメリカでは英語、フランスではフランス語を話そうとするように、外国へ行けばその国の言葉を話すのがルールだと思ったからだ。
もう1つの理由は、日本で生活する外国人の立場からくるものだ。私はこれまで頑張って日本語を勉強している外国人から「日本人は僕と話すときは英語で話したがる」という愚痴を散々聞かされてきた。外国人の日本語力より、明らかに日本人の英語力の方が低い場合が多々ある。そういった状況で英語で話せば、英語で話すことを強いられたように感じ、英語学習のおつきあいをしてあげているような気持ちになる外国人もいる。
そういった理由からどこで何語を話すべきか?というルールを勝手に作り上げていたが、フランスで生活するようになって「少し違うのかも?」と思うようになった。
フランス人はよくプライドの高い人だと言われる。ヨーロッパ周遊旅行に行った人などはよくこんなことを言う。
「ヨーロッパのどこの国の人も英語が通じたけど、フランス人は英語が通じない場合が多かった。特に田舎では、英語で話すと嫌な顔をされた。」
こんな理由から、相手が外国人であってもフランス語を話そうとするフランス人は自国の言葉に誇りを持っており、よってプライドも高いとジャッジされる。事実、私のマンションの隣に住むスウェーデン人夫婦はフランスに来て英語が通じないので困っているようだ。「フランス人はフランス語が世界共通語だと思っているからね!」と皮肉をこめてジョークを言っていたのを覚えている。
自慢かよ!と言われるかもしれないが、私の旦那はネイティブ並みの英会話力がある。TOEICは960点。これは彼自身言っていたことだが、英語ができるフランス人はフランス人として思われなくなるらしい。人種が同じだからというのもあるのだろうが、たいていの場合イギリス人だと誤解されるようである。
個人的にはフランスでフランス語を話すわけだから何も問題はないと思うのだが、そうでもないようである。ヨーロッパの国のなかでも、英語ができないと批判されるフランス人。こうなると、日本で外国人に英語で話しかけられたら日本語と英語のどちらを話せばいいのかわからなくなる。
結果として、外国人に何語で話すべきか?という質問の答えは、相手の外国人のとり方による部分が大きいのではないか。英語で話して不快に思う人もいれば、日本語で話して批判される場合もあるということ。大切なのはコミュニケーションを成立させることであって、英語と日本語のどちらで話すかは後から来るものだという気がしてならない。英語でも日本語でもいい、身振り手振りで何とか伝えようとすることが重要なのだ。少なくとも、街で外国人に英語で話しかけられて聞こえないふりをしたり、逃げ出したりする日本人の8%に入らなければいい。
こんにちは!
いつも興味深いお話をありがとうございます。
今日のお話は特に耳に痛いものがありました。
と言いますのも、英語を再度勉強し始めてから、時々かなり自分なりに大きな勘違いなことをしてきたからです。英語学習に対しての若気の至りと言いましょうか(苦笑)。上達したいという気持ちが先にたって、かなり場違いなことをしてきたと思います。
今でこそ街で外国人を見つけても英語で話しかけてみたい!と思わなくなりましたが、それでも外国人を見ると共通語は英語と勝手に思い込んでいますね。
先日もコンビニで。
私は宅急便をいくつか出すために列に並んでいたのですが、すぐ後ろに背の高い外国人風の男性が並んでいることに気が付きました。見ると手にペットボトルのジュースが。私の方があきらかに時間がかかる場合、いつも後ろの人に順番を譲るのですが、そのときは一瞬、日本語で話しかけようか、それともやっぱり英語にしようか、とっさに考えていました。
で結局私が取った行動は、英語で話しかけるというものでした。
久しぶりに英語を口にしたいという気持ちが先に立ってしまいました。もしも相手が上手な日本語で返してくれたらそれはそれでいいか!という気持ちもあって、ちょっと試してみたい!という好奇心からではありましたが(昔ほどあまり力まずに)。
後から考えると私の英語はちょっと文法が微妙に間違ってました。
通じるけど、ネイティブのドラマとかのセリフをよく見ていると、学校で習う感じのというよりはやっぱりちょっとこなれた使い方をするけど・・・あ~~やっぱり私の英語を聞けば、どこかネイティブっぽくないというのはこういうところなんだろうなぁと思ってしまいました。
まぁ、そんなことでもないと、なかなか気付く機会がないのですが。
その背の高い外国人風の人は、笑顔で”Thank you”と言って去って行きましたが、私の「英語試したい!」の空気を読んで付きあってくれたのかもなぁ・・とも思いますね。
日本にいても日本語を話さない外国人もいる中で、日本で日本人が英語(に限らず他の外国語でも)を使う機会を得る、英語環境にいると実感(もしくは疑似体験?)できる状況に身を置くというのは、なかなか難しいものだなぁと、今日のお話を拝見して思いました。
・・以前こちらでコメントさせていただいたときに、ネイティブのドラマが一番自然な言い回しを学べる材料だというお話をいただいたので、その後『デスパレートな妻たち』を毎日観ているのですが、観れば観るほど、自分はどうがんばったらこんな自然な会話ができるようになるんだろう?(ちょっと半ば呆れた気分で)と途方に暮れています。
英語を始めたばっかりの頃に、好奇心でどんな状況でも利用して英語を使ってみたい!と意気込んでいたころが何だか懐かしい思いです。今はいろんなことがわかってきてしまった分、ヘンに分相応になってしまいました(苦笑)。
とても長いコメントですみません!
語学の上達は一生続くものですね。
諦めずに楽しんで行けたらいいなと思います。
これからもお話を楽しみにしています。
ありがとうございます。
全然困らないです 名古屋駅で時間があると路線図や地図の前で困っている外国人探してこちらから話しかけて道案内したりしてます 皆だいたい大須のflea marketとかに行きたがっていて、行く場所決まっているから案内の文句も暗記してしまっていたりして(笑)
それにしても日本人って信じられないくらい英語ダメですね。何であんなに逃げるんだろう