自由な国というと、一番に想像するのはアメリカではないだろうか。確かに私たち日本人は「自由」という言葉を聞くと、アメリカを初めとする欧米諸国をイメージしがちである。しかしこうして海外で生活して思うのは、日本は本当は諸外国に比べ自由な面が多いということである。
“自由”とは?なんていう物凄く大きなテーマを扱うとそれこそ収拾がつかないが、ここで私が言及する“自由”とは「治安の良さからくる自由」である。日本に住んでいると当たり前だと思っていたことも、治安の悪い国や地域で“不自由”を感じることにより、初めてそのありがたさがわかるというものだ。
例えば、日本では以下ような行動をしてもさほど危険ではないが、フランス(特にパリのような大都市)では絶対にやめたほうがいいものである。
1. ヴィトンやシャネルのバックを持ち歩く。
2. 最新の携帯電話やスマートフォン、タブレットPCなどを電車のなかで使う。
3. ひもの細いショルダーバックをさげて街を歩く。
4. 女性が夜道を歩く。
5. 酔っぱらった男性が1人で夜中に帰る。
6. 短いスカートとハイヒールを合わせて街を歩く。
1は「私はお金を持ってる」と言って歩いているようなもので、スリで儲けたお金で生活する人たちのカモである。 2は、ひったくられる可能性が高い。携帯電話で誰かと話している最中に盗られるというケースはよくある。 また、3のショルダーバックはひもが細いとはさみで切られてひったくられるかもしれない。 4と5は、襲われる可能性が高い。男性でもよった状態で人気のない夜道を歩くのは危険である。 6の短いスカートとハイヒールという組み合わせは、欧米では「尻軽ばかオンナです」と公言しているようなもので、しつこいナンパに付きまとわれる可能性もある。フランスに限らず、欧米諸国の大都市ではこれらの行為をしないというのは常識であり、知らないと被害に遭ってしまうかもしれない。骨格が華奢なアジア人女性は特に注意すべき項目だ。
言い方を換えると、海外では上記に挙げたような行動をとる自由を奪われているとも言える。
シャネルが大好きなあなたが新作のバックを手に入れても、使う度に「盗まれないか?」とひやひやしながら持たなくてはならない。やっと手に入れたタブレットPCで、外の景色を写真に撮りたいと思っても、盗られることが心配でなかなか外に持っていけない。女性なら、ミニスカートもハイヒールも好きファッションがしたいと思うが、それも制限されてしまう。
日本人は海外では自由を制限されがちだ。あなたが身長180センチ以上で体格もよく、見るからに強そうならそこまで注意しなくてもいいのかもしれないが、ほとんどの人の場合、海外で不自由さを経験するのではないだろうか。
海外に住んで初めて気が付くことというのはたくさんあるが、治安の良い日本の素晴らしさというのはその1つである。それまでは当たり前として捉えていた“安全な日本”も、そうじゃない国で暮らしてみることで初めてそのありがたさがわかるというものだ。