海外で働く人、結婚する人、子育てする人、学ぶ人にはそれぞれいろんなドラマがある!海外で頑張る日本人のドラマを「これから海外に行こう」と考えている人に伝えたいと思い、海外在住者にインタビューしていきます。第2回目の今回は、最近テレビや雑誌で何かとフィーチャーされがちなハーフについて。フランス人とのハーフとして日本で育ったかやさん(22)に日本人がハーフに対してもつイメージと現実のギャップについて聞いてみました。 |
-ハーフタレントやハーフモデルなど、ハーフに対して華やかなイメージを持っている人も多いですが、日本人が抱くイメージと現実との間にギャップってありますか?

かや ギャップしかありません!(笑) 日本人ってハーフって聞くと、アジア人ではなくヨーロッパかアメリカ人とのハーフで、英語が話せるって思ってるけど、これって全て偏見ですから。一目でハーフだってわかる見た目の人は、生まれた時からずーーーっと同じ質問されてきてるんです。「お父さん、お母さんはどこの人?」から始まって、「英語話せるの?」、「何年日本に住んでるの?」、「国にはいつ帰るの?」っていうこの4つの質問は今まで生きてきて何度質問されたことか…。「ハーフはキレイでいいよねー」みたいなどうやってリアクションとればいいかわからないことを言われたり、正直困ります。ハーフの友だちとも話してるんですけど、初めて誰かに会う時は頭から自己紹介のプラカードぶらさげようかなーって言ってます。それぐらい、いつもいつも同じ質問されて、これからも一生こういう質問に答えていくのかと思うと、疲れちゃいますよね。
-そういうよくある日本人のリアクションって正直どう思いますか?
かや 私っていう一人の人間として見てもらえてない気がすると、やっぱり不快ですね。普通なら、「仕事何やってんの?」とか「休みの日は何してるの?」とか、私っていう人間に対する質問がくるんでしょうけど、さっきも言ったように初対面の人にはハーフに関する質問ばかりされちゃうんです。ハーフが前提で会話が進んで、あぁハーフだねってことで会話が終わるというか。バイト初めても、仕事初めても、何しても、どこにいっても初対面はそれだけです。「ハーフのかやちゃん」でしかなく、私の中身を見てくれない。そんな人とはどうしても疎遠になってしまいますね。中高の頃つきあっていた彼氏が友達に私を紹介するとき、「○○高校のかやちゃん」ではなくて「ハーフのかやちゃん」って言ってるのを聞いた時はショックでしたね。何というか、もうフツ―に接してほしいんです。ハーフとか関係なく。まぁ、珍しいから難しいのかもしれませんが。
-自分がハーフだってことをどう思っていますか?
かや 高校卒業したあたりからハーフがフィーチャーされ始めて、その頃から「ハーフもまぁいいかな」なんて思えるようになったんですけど、小さいときはやっぱり嫌でしたね。とにかく周りと違うことが嫌でたまらなかったんです。「なんで私のお母さんは外国人なんだろう?」、「なんでお母さんは学校でもらったプリントが読めないんだろう?」って何度も思いました。今思えばひどいことしたなって思うけど、お母さんに「友だちの前でフランス語で話さないで!」と言ったこともありました。
-周りの日本人とは違った扱いを受けていたことも多いと語るかやさん。印象的な出来事ってありますか?
かや 中学生の頃のまつげ事件とピアス事件ですね!中学入りたての時、友だちに誘われて部活の1日体験に行ったんですけど、そこの顧問の男性教師にいきなりまつげを引っ張られたんです。私、地まつ毛が長いんですけど、「このまつ毛は本物なのか?偽物か?」、「明日マスカラ落してこい!」って言われて。すごいショックで悲しくて泣きながらママに訴えました。ピアスも本当に小さいころからあけてるんですけど(ヨーロッパでは小さなうちにピアスを開ける親が多い)、これが学校で問題になって、全校集会の時に前に立たされて「この子はピアス開けてるけど、親が外国人でハーフだからいいんだ、しょーがない」みたいなことをみんなの前で言われたりとか。くやしい思いをたくさんしてきました。このような経験を自分の子どもにはさせたくないですね。だから日本では子育てしたくありません。
-その頃の経験を今振り返ってどう思いますか?
かや ただひとつ言えるのは、このまつげ事件やピアス事件のおかげで小さいころから何でも深く考えるようになったと思います。日本って何だろう?外国って何だろう?とか。日本の学校教育に疑問を持ち始めたのもこの頃からです。わけのわからない校則を絶対的なものとして子どもに押し付けるのっておかしくありませんか?ルールを押し付ける前にまず、なぜそのルールがあるのかを論理的に説明するべきだと思うんです。私にはピアスの穴があったけど、小さいときから本をよく読んで、勉強もやってました。ピアスしている、イコール問題児っていうわけでもないでしょう。例えば、オリンピックの水泳で金メダルをとった日本人選手がタトゥーだらけだったら、それって人間的にダメなんですか?ここらへんがどうしても理解できない。
日本の学校教育では、「校則がおかしい」とか思っちゃったらダメなんです。子どもに考えることをさせない。人と違ったり、違う考えをもったら問題児として潰される。
高校入試の面接対策をしていた時に、「長所を聞かれても何て答えればいいのかわからない」、「自分の特技や短所がわからない」っていう友達がいたんですけど、日本の凝り固まった教育なら「そりゃそうなるわー」って子どもながらに思いました。だって、大学生になるまでみーんな同じ服着せられて、同じ髪型させられて、同じように考えるように教育されるんですよ。そりゃ、自分の意見もなくなっちゃいますよね。でも冷静に考えて、「自分の良い所が挙げれない」って問題ですから。学校で風紀委員の服装チェックをする時間があるのなら、もっと他に大切なことを子どもたちにさせるべきだと思うんです。読書する時間とか、みんなで新聞読んで議論するとか。服装チェックなんていう無駄な時間を過ごすより、世の中にはもっと大切なことがいっぱいあるし、何より自分で考えるっていう習慣って大切なんじゃないかと思うんです。私は毎日学校から帰ってのママとのコミュニケーションで、自分の意見や考えを持てるようになったと思います。
-スーツケース1つと5万円だけ持って日本での生活を始めたというかやさんのお母さん。今よりももっと外国人が少ない日本で、インターネットのない時代を生きたお母さんは、来たばかりの頃は「ありがとう」しか言えなかったと言います。そんなお母さんからかやさんが学んだことって何だと思いますか。
かや 強さと自信です。うちのママは「とにかく自分に自信があれば何でもできるのよ」といつも私に言って聞かせていました。当時は国際電話もすごく高くて頻繁にはかけれなかっただろうし、いろいろ苦労したんだろうなって思いますけど、ママにはいつも自信があったと言ってました。自信があればどこの国でも、誰とでも生活できるのよって。ママは周りからあれこれ言われることも一番気にしてなかったし、私をハーフだからって特別何かしたっていうわけでもなかったです。この“普通に”育ててくれたことに今では感謝しています。そんなママの姿から私も強く生きよう、自信をつけようって思うようになりました。
今回のインタビューでは、日本人の無知さとデリカシーのなさに一緒に憤慨しつつも、「自分もそういう所あるかもしれない?」と反省したりもした。少なくとも恥ずかしい日本人にはなりたくないなと思った。
今後は日本でもフランスでもない、全く関係のない国で「私が私でいられる所に行ってみたい」と語っていたかやさん。ハーフに対する偏見から何事も深く考えるようになったと語るかやさんは、どんな質問をしても独自の意見を自分の言葉で説明するしっかりとした女性だった。強さと自信であふれる22歳のかやさんがこれからどんなことを吸収し、どんな女性に成長していくのか、今からとても楽しみである。
斉藤カミールかや (さいとう かみーる かや) |
1990年群馬県生まれ。日本人の父親とフランス人の母親の間で育った4人姉妹の長女。高校卒業後は、長年の夢であったフランスの海の近くであたたかい太陽のある場所に住みたいという目標を実現するため着々と準備を始める。現在は南仏ニースに住みつつ、エズにあるフナゴナールで販売員として働いている。 |