日本ではとても人気なのに、海外ではそうでものないものの一つに、「携帯ストラップ」があります。日本では携帯電話が世に登場してからというもの、携帯ストラップ市場は拡大し、今ではいろんな種類のさまざまなキャラクターのストラップを手に入れることができます。一方、海外では携帯にストラップをつける人はいません。欧米でも使用する際にストラップが必須なカメラや双眼鏡には付いていますが、携帯のストラップは別になくても困らないためです。そのため、外国人はそもそも携帯に付けようという発想すらないようです。外国人はノートPCにストラップをつけないのと同じように、携帯電話にもストラップをつけません。iPhoneにストラップの穴がないのはこのためだと言われています。
それではなぜ、海外では「必要のない物」として全く人気がなく、市場も拡大しなかった携帯ストラップが日本ではこれほどまでに人気を集めたのでしょうか?そこで今回は、「携帯ストラップが日本でガラパゴス化した理由」を5つご紹介します。
1. 1995年のPL法(製造物責任法)
携帯ストラップが日本で普及したきっかけは、1995年に施行されたPL法(製造物責任法)によるという説が一番有力だと言われています。PL法施行当初、携帯電話キャリア各社は、携帯電話取扱説明書中で、落下防止のために携帯ストラップに手を通して使用するよう指導しており、携帯電話機に携帯ストラップを付属させて販売していました。この点が、ストラップ用の穴がない欧米の携帯電話との違いだと思います。携帯電話を購入したらセットでストラップがついてくることから、私たち日本人は「携帯電話にはストラップをつけるものだ」という先入観ができあがったのではないでしょうか。
2. 江戸時代のおしゃれだった“根付”
日本のストラップの歴史はとても古く、携帯ストラップの原型は江戸時代に起源を持つという説もあります。ポケットのない着物を着ていた江戸時代には、腰の帯に巾着や扇子などをぶら下げて携帯するのに紐の先に滑り止めをつける必要がありました。その滑り止めという実用性とともに装飾具としての役割をもつ物として登場したのが「根付」でした。江戸初期のものは簡素なデザインのものが多いですが、時代と共に実用性と共に装飾性も重視されるようになり、江戸時代後期に入って爆発的に流行したと言われています。この頃になると細かい彫刻が施されるようになり、根付自体が美術品として収集の対象となりました。
このことから日本人は古くから“ぶら下げる紐”に愛着を持っていたということがわかります。ぱっと見でわかるような目立つアクセサリーよりも、小さくて目立たないけれども実用性も兼ね備えたおしゃれグッズに人気が集まった日本。携帯ストラップは、何とも日本らしいアクセサリーなのかもしれません。
3. かわいければOK!ファッション文化
携帯ストラップをアクセサリーとして急速に流行らせたのは、若い女の子たちだそうです。1990年代後半から2000年始め頃のコギャルの間で、十本以上ものストラップを取り付けるのが流行るようになりました。トップ写真のベッキーのように何本もつけ、重量も携帯電話本体より重くなるようなストラップのつけ方をする人が増えたのがこの時期だといいます。このように日本のギャルたちは吊り紐としての役割でストラップをつけるのではなく、アクセサリーとして用いるようになりました。
思えば日本の女性は平安時代の十二単などのように、昔からファッションについて「かわいければOK!」なものが多いように思います。機能美よりも「かわいい」を優先するファッションは、ロリータファッションなどにも現れています。携帯ストラップが、本来は「携帯電話をぶら提げるための物」だったのに、現在では「携帯電話にぶら下げるためのもの」の意味合いに変化しているのも、こういった日本の「かわいい!」を追求するファッション文化に起因するのではないでしょうか。
4. 治安の良さ
久しぶりに日本に帰って驚くのは、「電車や街中で携帯電話を触っている人が多い」ということ。日本はヨーロッパに比べて、公共の場で携帯電話を見ている人の数が多い印象を受けます。それもそのはず!例えば、フランスでは電車や街中で高価そうな携帯電話を触っていると、ひったくられてしまう恐れがあります。パリのバス内の掲示板で「携帯電話機器は盗まれる恐れがあるので使用後はすぐに鞄の中にしまって下さい」と書かれた張り紙を見たことがあります。基本的に海外では、携帯電話を使用するとき以外で手にもつということはあまりなく、必要のないときは鞄やポケットにしまう人が一般的です。
そのため、見せるための“おしゃれ下げ紐”であるストラップは海外では発展しなかったのだと思います。逆に言えば、日本でこれほどまでに携帯ストラップが流行ったのも、携帯電話を裸で持ち歩けるほど“治安が良かった”からなのかもしれませんね。
5. おみやげ
携帯ストラップのなかでも高い人気を集めているのが「ご当地ストラップ」。ご当地限定のハローキティちゃん、キューピーちゃん、ドラえもん、目玉親父などのキャラクターの地域限定ストラップは発売当初から爆発的人気です。ご当地ストラップをあげた(もらった)経験のある人も多いのではないでしょうか。しかし、なぜ地域限定ストラップは人気になったのでしょうか。
それは、日本人がどこか旅行に行った時に必ずと言っていいほど「お土産」を買っていくからです。もちろん、海外の人もお土産を買いますが、仲のいい友人や家族に買っていくという人が一般的です。しかもこの場合も「絶対に買わなければいけない」わけではなく、もらう側もお土産をもらうことを期待していないようです。私の印象では、お土産に対する捉え方は欧米人とアジア人では明らかな違いがあり、欧米人にとってのお土産は「思いがけないプレゼント」であり、日本人にとってのお土産は「通過儀礼として贈り物」というイメージを持っている人が多いように感じます。有給をとって行った旅行先で必ず会社の人にお土産を買っていかなくてはならない日本文化では、お土産産業が諸外国に比べてとても発展しています。値段が比較的安価で軽いストラップが手軽な土産物として発展したのも、日本の「お土産を渡し合う文化」からくるのではないでしょうか。
こちらでは無理矢理理由を付ける記事も見受けられたが、今回はすんなりその通りだなと思えた。
なんか日本人なら普通は着けるみたいな言い方だなぁ。 俺もそうだけど、友達もつけてる人はあんまり居ないぞ。
やはり根付文化も挙がったな。
でも学生同士のみやげ物とかになるとそういう江戸文化からは断絶してる訳で
要するに「たまたまそこにあったから付けました」という、
殆どの場合は先に供給が来てるんだよな。