川の字で寝る
両親の間に幼少の小さな子供が寝ている様を表すこの言葉。日本人にとっては一緒に寝るほど仲の良い家族のあたたかさを連想させるものだが、外国人からするととても奇妙で不思議な習慣らしい。
イギリス人の友人で日本人女性と結婚し、日本に住んで子育てをしている2歳児のパパはこんなことを言っていた。
“僕のお姉さん夫婦が日本に来た時、僕ら家族が3人で川の字になって寝ている姿を見てすごく驚かれたよ。少し怒った様子で、「子どもの自立のためにも1人で寝かせるべきだ」と言われた。”
日本では子どもが小さなうちは親と一緒に寝るというのが一般的であるが、欧米では赤ちゃんでも別部屋に寝かしつけるのが一般的。家族の寝方や眠りに対する概念は欧米と日本では大きな違いがあり、国際結婚カップルの喧嘩の種になってしまうこともあるそうだ。そこで今回は、外国人から見た日本人の“眠り”の不思議について探ってみよう。
日本人にとっての「睡眠」の概念は海外とどんなところが違うのだろうか。子どもにとって“川の字”で寝るのと、別室で寝るのはどちらがいいのだろうか?
子どもと一緒に寝る日本人と海外の違い
積水ハウスすまい・すまいるネットの調査によると、日本人家庭の71%が子どもと一緒に寝ているという結果になった。また、子どもを中心にして“川の字”で寝る家庭は44%で、一番多いということがわかった。やはり日本では、子どもと一緒に寝る家庭が多いようだ。
反対に海外はどうなのかと調べてみると、英語版wikipediaの“Co-sleeping”にこのような記述があるのを見つけた。
“1991年から1999年にかけて行われた全米保健医療統計センターの調査によると、アメリカ人家庭の25%は「いつも」、「ほとんどいつも」赤ちゃんと同じベットで一緒に寝るということがわかった。42%は「時々」寝ると回答。32%は一度も一緒に寝たことはないと答えた。”
自分の子どもと一度も一緒に寝たことがないアメリカ人は32%
全体の67%が子どもと一緒に寝ることがあるのじゃないか!と思うかもしれないが、ここで注目してほしいのは“赤ちゃん”というキーワードである。海外では赤ちゃん(baby)と同じベットで添い寝することはあっても、幼児(infant)と一緒に寝ることはすでに論外なのである。これからもわかるように、欧米では幼児になっても一緒に寝ている家庭は非常に珍しい。
アメリカ家庭の32%が自分の赤ちゃんと“一度も”一緒に寝たことがないと回答していることからも、子どもが小学生になっても一緒に寝ている日本人の家庭がどんなに奇妙なものなのか想像がつくだろう。
そもそも“眠り”に違いがある
それでは、なぜこのような違いがでてくるのだろうか。これは「子どもと一緒に寝るか?」という議論以前に、“眠り”に対する概念の違いがあるようだ。
日本を訪れた外国人は、電車の中で器用に居眠りをする日本人の姿を見て非常に驚く。「なぜこんな場所で寝れるのか?」、「寝ている姿を見られて恥ずかしくないの?」、「日本人はどんだけ疲れているんだよ!」とそれぞれに感想を言うが、これは欧米と日本の眠りに対する考え方の違いからくるらしい。
フランス語で日本を説明する本「Les Japonais sont-ils différents?(日本人、彼らは異なのか?)」では、日本に住むフランス人著者がフランス人と日本人の「眠りの概念」の違いについてこのように説明していた。
【フランス人にとっての眠り】
・眠りとはプライベートなもの。もっと言えば、性生活にも結びつく概念だと言える。それゆえ、子どもと夫婦が同じベットに寝るというのはフランス人にある種の“気まずさ”を感じさせる。フランスでは、自分以外の人と寝るのはカップルだけ。そのため、パートナー以外の他人の前で寝ることに抵抗感をもってしまう。
・フランス人にとって睡眠とは“一気にとるもの”。南フランスでは習慣として昼寝をする人もいるが、この場合は最初からいつ、どれぐらいの時間眠るのか計画されたものが多い。昼寝でも靴を脱いで、きちんとベットで寝る。
・フランス人にとって睡眠はとても重要。どれだけの睡眠時間をとっているか把握している人が多く、睡眠時間が足りない場合は増やす。
【日本人にとっての眠り】
・眠りとは集団で行うもの(なのかもしれない)。プライベートなものではなく、性生活を想起させるものではない。他人の前で寝ることに対する抵抗感もなく、子どもや祖父母と一緒に寝ることも平気である。
・日本人にとっての睡眠はフランス人のようにきちんと管理されたものではない。睡眠時間を数えない。疲れ切った時にしか眠れないほど忙しい人が多い。
欧米と日本では、睡眠に対する考え方が違う。これはベットと布団という文化の違いからくるものなのかもしれない。
子どもにとってはどっちがいいの?
欧米と日本では、睡眠に対する考え方が違う。しかし、私たち日本人の感覚からすると小さな子どもを1人で寝かせるというのは放任しているようで、何となくかわいそうに思ってしまう人も多いのではないだろうか。
結局のところ、子どもと一緒に寝るのと別々に寝るのは、子どもにとってどちらがいいのだろうか。
日本全国5000件以上の家族の寝方を研究した「子どもの将来は“寝室”で決まる」の著者、篠田有子さんはこのように語っている。
欧米はまず夫婦関係が重視されますから、生まれてすぐの赤ちゃんでもひとりで寝かせる、これは徹底しています。ですが起きているあいだはもう、しじゅう子どもをハグして、いかに愛しているかをアピールし続けるんですね。就寝前も親は必ず子ども部屋で一緒に過ごして、寝入るまで絵本を読んであげたりお話ししたりと、“おやすみ前の儀式”が習慣になっています。
赤ちゃんをひとりで寝かせようと考える場合は、そういった愛情のフォローを意識的に行なうことが不可欠ですね。でなければ子どもは親の愛情を感じ取れず、情緒が不安定になる可能性が大きいことを知っておいてください。
要するに、欧米人は起きている間中はたくさんのスキンシップをはかって愛情を伝える。反対に、日頃のスキンシップが少ない日本の家庭では子どもと一緒に寝ることで安心感を与えて愛情を伝えているというわけだ。
考えてみると、「川の字で寝る」というのは何とも日本的な愛情表現の仕方である。私たち日本人が川の字で寝る親子の姿を見て微笑ましく感じるのも、日本人のやり方での愛情表現、日本的スキンシップを連想するからなのかもしれない。
参考:すまい・すまいるネット
カタコトの日本語がすみませんが。。。
私はアメリカ人で、子供の四人の親です。
数年前、子供たちを育てた前妻と私が「Co-sleeping」の社会運動に参加して、子供が生まれから二歳ぐらいまで私たちのベッドに寝させたのです。
いくつかの友達が変な顔をしてくれました。でも、大都市に住んでいたから「変なことだな」も「危ないことだよ」と思った人が多くないのです。
アメリカの両親がこの日まで「Co-sleeping」について議論を闘っています。
この記事に書いてあるまま、しばしば子供がベッドに寝させる両親が少ないと思います。
昔の長屋だと一部屋しか無かったしねえ…歴史的背景もあるよね