日本のアニメやマンガが海外で人気になるにつれ、日本語を学びたいと考える外国人が増えてきていると言います。「よし!これから日本語を勉強していつかペラペラになってやる!」と意気込んで、日本での生活をはじめる外国人もいますが、日本在住ブロガーのKENさんは安易に日本語を学ぶべきではないと警告しています。
そこで今回はJapanTodayより、「なぜ日本語を学ぶべきではないか?(Why you shouldn’t learn Japanese)」をご紹介します。「語学を学ぶべきだ」という趣旨の記事はありがちですが、“学ばない方が良い”と訴えるこの記事はライター独自の視点が面白いです。外国人だけに限らず、これから新しい言語を学ぼうと考えている日本人の方も、「本当にその言語を学ぶべきなのか?」を真剣に考える必要がありそうです。
日本語を学ぶべきではない理由
学習者のほとんどは1年であきらめる
日本語の学習をはじめた外国人のほとんどは半年~1年ほどで学習をやめてしまうと言います。その理由は何といっても、”時間がかかるから”。日本で日本語を流暢に話せる外国人もなかにはいて、そういう人に限って「日本語はそんなに難しい言語ではないよ!」なんて言いますが、こういう人は実際に陰では涙ぐましい努力をしているそうです。朝の4時に起きて、日本語のドリルや漢字練習をくり返し学習し、さらに毎日語学学校に通います。KENさん自身も日本語の学習には4000時間ほど費やしてきたそうですが、本当に日本語をマスターしたいのなら最低でも3〜7年はかかると語っています。
筆者のフランス人の旦那も日本語を学習して7年以上になりますが、やはり日本語は難しいらしく、特に漢字には苦労しています。見たことのある漢字でも漢字を読み書きする経験が少ないせいで、音読みすべきか訓読みすべきかという判断ができないようです。また、普段のフレンドリーな会話なら問題なくできますが、ビジネスで敬語を使わなければならない場面になると難しく、”かしこまった言い方”をゼロから学ばなくてはいけないという厄介さもあります。日本のテレビも、ドラマやバラエティ番組は理解できるのにニュースや討論番組になるとわからないなど、シーンによって使われる日本語の違いに戸惑うそうです。
見返りが少ない
軽い気持ちで日本語を学ぼうとするならやめた方がいいと語るKENさん。日本で日本人しか使わない日本語を一生懸命勉強しても見返りが少ないからだと言います。KENさん自身、これまで数百人の日本語学習者と出会ってきたそうですが、本当の意味で”流暢に話せる”人はたったの10人くらいだそうです。中途半端な気持ちで始めると、結局は時間を無駄にしてしまうことになります。
オポチュニティーコスト(Opportunity Cost)という側面からも考えてみましょう。オポチュニティーコストは、ある行動を選択することによって失われる、他の選択可能な行動のうちの最大利益を指す経済学上の概念をいいます。KENさんは、「どうせ途中であきらめてしまうなら、日本語学習に費やす時間を使ってもっと他にできることがあるのでは?」と言っています。
日本語学習に2年費やして、2年間日本に滞在するならオーケー。でも、学習に5年以上費やして2年しか滞在しないのなら時間の無駄だと思いませんか?どれだけの時間を投資して、どれだけの見返りを求めるのかを最初に考えておくことが大切だと語っています。
日本語を話すとモテない
マジシャンを呼んでパーティーを開いたのに、そのマジシャンがマジックを披露しないとがっかりしますよね。日本人にとっての外国人というのはマジシャンのようなもので、外国人は日本語ではなく英語を話すことを期待されているとKENさんは語っています。日本語を真面目に勉強して、日本人に会えば学びたての日本語で会話をするような人はモテず、日本に何年もいるのにいつまでたっても英語しか話さない人のほうがウケが良いそうです。なかには、日本語で会話できるのにあえて英語で話すという外国人もいるそうです。
これには筆者も激しく同意です。筆者は大学時代、留学寮で生活していました。そこで生活していた外国人のほとんどが日本人に「何か英語で話して!」と言われて困ったと話していました。いくら自分が日本語で会話しようとしても英語で返されるなど、日本にいるのに日本語で話すことのメリットを感じられないという何とも不思議な傾向があり、これが日本語学習の妨げになっているようでした。
ある日、両親がタイ人のアメリカ人の男友達(見た目はアジア人)に「日本人の彼女がほしいけどできない」という相談を受けたことがあります。なかなか自分に興味を持ってもらえないと悩む彼に、「それなら日本語ではなく英語で話しかけるようにしてみたら?」とアドバイスしたことがあります。その後、彼は英語で話した方がモテることを実感したようで、今では恋愛が始まる初期段階では”英語だけで話す”というのをルールにしているそうです。
まとめ: 始める前によく考えよう!
ライターのKENさんは要するに、はじめる前によく考えるべきだと言っています。日本語は一生をかけて学ぶつもりがないなら、最初から始めない方がいいというのが彼の意見。確かに中途半端にはじめて、中途半端なレベルであきらめてしまうくらいなら、他のことに時間をかけた方がより豊かな人生を築けるのかもしれません。
しかし、逆に日本人と結婚した外国人や日本でビジネスを始めようとしている人、これから数十年は日本にいる予定の外国人などは、やはり日本語を真剣に学んだほうがいいでしょう。日本で生活するのに、日本語ができるに越したことはないですし、何といってもオポチュニティーが広がります。
これは海外で生活する日本人にも言えることですね。これからもずっとフランスで暮らさなくてはいけない筆者は、やはりフランス語を学ばなくてはいけないのだと反省いたしました。(汗)
海外在住のみなさん、一生つきあっていくつもりで語学学習を頑張りましょう!
参照:JapanToday