海外生活を初めて間もないころ、「私はなんて内向的な人間なんだろう」と悩んでいた時期があります。うまく言葉が話せず、人の輪に入っていけないことが続くと、意気消沈して心のはたらきがどんどん内向的になっていくのを感じました。
日本にいたころは自分のことをどちらかというと外交的な人と認識していたので、外国に来て自分の心が内向きになっていることに、自分に自分で驚きました。思うに人は時と場合、状況により外交的になったり、内向的になったりするのではないでしょうか。
そこで今回は、人が内向的になってしまう時、脳内でどのようなことが起きているのかイラストを使って説明された海外の記事を紹介します。海外生活で人と話すことが億劫になってしまった人、外交的になれずに悩んでいる人は参考にしてみてください。
- Marti Olsen Laney著の「The Introvert Advantage 」には、内向的な人は外部の刺激を脳内で処理するのにかかる神経回路が、外交的な人より長いと記されています。長期記憶や計画に関連する神経回路を通って、情報が処理されるのです。言い換えれば、内向的な人は人とのふれあいや出来事を処理するプロセスが複雑な構造になっているということ。内向的な人は情報を処理するのと同時に、自分の思考や感情にも注意を払っています。
- 心理学者Hans Eysenckの論文によると、内向的な人は外交的な人に比べ、少ない刺激で覚醒し、機敏でいられるとされいています。つまり、内向的な人は刺激過多になりやすいということです。
- 上記のように、内向的な人はドーパミンに敏感なので、幸福を感じるのに必要なドーパミンの量も少なくて済みます。外交的な人の脳は幸福を感じるのにエネルギーを消費する神経系を通るのに対し、内向的な人はエネルギーを蓄える神経系を通ります。このことから、内向的な人は読書をしたり、物事を深く考えたり、内に秘めたアイデアを膨らませることで喜びを感じやすく、このような活動を好むのです。
- 内向的な人の脳は外交的な人の脳ほど、ギャンブルやリスクを冒すことにメリットを感じません。報酬や喜びを司る脳のシステムはドーパミン神経伝達物質によって作動します。外交的な人は快楽やギャンブルでの勝利により反応しやすいという結果が科学者によって証明されています。言い換えると、内向的な人はサプライズやリスクに動揺しにくいという性質があるということです。
- 内向的な人の脳は、人との触れ合いと同じインテンシティ・レベル(強さ)で、生命のない物質も処理します。内向的な人は人に対してだけでなく、その場の環境における細かな感覚にまで注意を払い、身の回りの物全てを脳でプロセスします。
- 内向的な人が考えているとき、情報を処理するために長期記憶を呼び起こそうとします。内向的な人は昔の経験と新しい経験を比べるので、決断するのに時間がかかってしまいますが、それと同時に注意深く熟考した決断をすることができるのが特徴です。つまり、内向的な人は自分自身との会話が活動的であり、頭のなかで多くのことを考えているということです。
まとめ
要するに、内向的な人は頭の中で色んなことを考えていると言い換えることができるのではないでしょうか。内向的な人は何事も「じっくり考えている」と良いように言うこともできるし、「めそめそ、くよくよ考えている」と言うこともできます。
筆者も海外生活を始めて間もない内向的な性格が強く出ていた頃は、頭の中がうるさいくらい細かいことを色々と考えていた覚えがあります。「内向的」というと、シャイで内気な人を連想するのでどうしてもネガティブに聞こえてしまいますが、「色んなことを深く考えている状態」だと捉えられれば、少し気持ちが楽になるのではないでしょうか。
外交的が良いわけでも、内向的がダメなわけでもありません。
時と場合に合わせて、臨機応変に外交的になれたり、内向的になれたり出来れば一番いいのではないでしょうか。
参照:quietrev.com、写真:Sophia Louise