相次ぐフランスでのテロ事件の影響で、パリから観光客の数が減った。パリの街中を歩いてみると、英語圏の観光客はたまに見かけるが、中国人や日本人などのアジア人観光客は激減したと感じる。パリ同時テロのあった昨年10-12月(第4四半期)の外国人観光客は8.7%減。このブログを通して、「フランス旅行を計画していたのですが、キャンセルしたほうがいいですか?」というような問い合わせをもらうこともある。
今からわざわざフランスに行く計画を立てる必要はないが、すでに仏旅行を計画している人は中止する必要は全くもってないと思う。むしろ、パリ在住者の立場から言わせてもらえば、パリ観光するなら、テロを恐れている人が多い今こそが絶好のチャンスだと思う。パリ行くなら、絶対に今でしょ!
そう感じるのは、テロを極度に恐れる風潮にある今だからこそ、得することが多いからだ。そこで今回は、パリ在住日本人の立場から見て感じる「テロを恐れる人が多い今こそ、パリを観光すべき4つの理由」を紹介する。あなたはこれを読んでも、パリ旅行を中止するのが得策だと思いますか?
航空券&ホテルが安い
テロが原因で、フランスの観光業は大打撃を受けている。普段から旅行にお金を使うヨーロッパ人もフランスを避けるので、今、フランスにはあまり外国人観光客がいない。当然、航空券もホテル代も値下がりしている。パリでは日本人観光客向けのツアー会社も、存続の危機に陥るほど観光客が減っているという噂を耳にした。入ってくる数が少ないから、客の奪い合いという状態になり、価格競争に走ってしまうのが現状なのかもしれない。
パリは物価がどこも高いので、比較的安価でフランス旅行をしたければ今がチャンスだ。値段交渉に応じてくれる可能性が、今なら大いにある。
どこへ行っても観光客が少ない
フランス・パリは世界で最も観光客の多い街である。1年を通して観光客が多いので、パリのルーブル美術館やエッフェル塔、ヴェルサイユ宮殿などを観光しようと思ったら、どこへ行っても長蛇の列ができている。1-2時間並ぶといったこともざらにあるし、ラファイエットでのショッピングでは、中国人観光客と押しくらまんじゅう状態になるだろう。
しかし、今は何といっても外国人観光客が少ない。どこに行っても並ばずに、人混みをさけて移動することができる。特にアジアからの観光客が少ないので、いつも人で溢れかえるショッピングエリアをゆっくりと見て回れる。
今ならパリジャンも観光客に優しい?
いつも観光客が次から次へとやってくるパリでは、パリジャン(パリに住む人)の外国人観光客への風当りは厳しい。フランス語が理解できず、フラフラと道を歩く外国人観光客を露骨に煙たがるパリジャンも少なくない。
しかし、今ならそんな横柄な態度をとっていたパリジャンも優しい。テロ以降、人が少なくなった観光地では、明らかにサービスが丁寧になっているように感じた。もちろん、相変わらず横柄な態度のパリジャンはたくさんいるが、観光客が減ったぶん、以前より客の一人一人を大切にしようとしている感じがする。まぁ、これはマダムリリーの主観で、実際にパリに来た観光客がこのように感じてくれるかは疑問だが、パリ在住者の立場から見ると、「前より数段マシ」になったと思う。
テロ警戒のおかげで、むしろ安全
そしてこれが最大の利点だが、テロ警戒のおかげで、むしろパリ市内は以前より安全になった。パリ旅行というと、テロばかりが恐れられるが、最も恐れるべきはテロではなく、スリや強盗である。確率的に、この被害にあう可能性のほうが数段高い。
現在は、テロ厳重警戒中でどこに行っても荷物検査を受けなくてはいけないし、駅構内や人が集まるところでは拳銃を持った軍や警察がそこらじゅうをウロウロしている。普段なら、こういう場所でスリや窃盗があったのだろうが、今は警官たちのおかげでスリも減っているようだ。特に旅行客の多い観光スポットの警戒態勢は厳重なので、テロ発生以前よりも安全に旅行できるようになったというフランス人も多い。
おわりに
わざわざ好き好んで、今からフランスでの旅行を計画する必要はないが、すでに計画している人はむしろラッキーだと思って、パリ観光を堪能してほしいと思う。
それに、フランスに来てテロの被害に遭い死亡、もしくは怪我に遭う確率はかなり低い。昨年の同時多発テロで亡くなった死者数130人÷パリの人口224万人で単純に算出した確率だと、0.005%、二万分の一程度だ。日本で、自動車の衝突事故で死亡する確率が90分の1なので、これに比べてもかなり低いことがわかる。
テロ事件は、世界の広さに比べたら微小なピンポイントの部分でしか起こっていない出来事なのに、テロに遭遇しないか心配している人の数は、実際にテロに遭う人の数億倍にもなる。この事実を、改めて考えてほしい。