日系人俳優の「ジョージ・タケイ氏」を知っているだろうか。
彼は、戦時中家族で日系人収容所に入れられ、財産を奪われるという壮絶な経験を得て、ハリウッドスターにまで登り詰めた。アメリカで最も成功した日系人俳優と言われてるタケイは79歳になる現在でも精力的に活動していて、Facebookには900万人以上のファン、ツイッターには178万人以上のフォロワーを抱えている大人気スターである。
ジョージ・タケイは1937年、山梨県生まれでアメリカ移民の父と、カリフォルニア州生まれで日系二世の母の間に生まれた。1941年の日米開戦までは、アメリカで家族と平和な日々を送っていた。
しかし、タケイ一家は1942年、大統領令9066号によりアーカンソー州ローワー強制収容所へ強制収容されることになる。少年だったジョージはここで、過酷な4年間を過ごした。
当時のアメリカは真珠湾攻撃をきっかけに、枢軸国の国家をルーツに持つ日系アメリカ人と日本人、ドイツ系アメリカ人とドイツ人、イタリア系アメリカ人とイタリア人に対して「敵性市民」としての監視の目を向けていた。
そんな背景があり、当時カリフォルニア州の知事であったカルバート・オルソンは、「日系アメリカ人はアメリカの価値観や伝統になじもうとせず、受け入れようともしない」と発言。
さらに、カリフォルニア州のアール・ウォーレン司法長官は「日系アメリカ人がまだ破壊活動を行わないのは、攻撃開始予定時間を待っているからだ」と言う支離滅裂な主張をすることで日系アメリカ人を危険視した。
また、「アメリカ国籍を持っていようが持っていまいが、ジャップのアメリカに対する忠誠心を信用することはできない」というような人種差別的表現まで使った主張をし、軍統制や日系アメリカ人の強制収容を正当化しようとした。
当時のアメリカでは、日本人はまるで犯罪者である。今となっては日本のアニメや食文化などがアメリカ人にも愛され、交友関係を築けているが、現在の日米関係は当時の常識では考えられない非現実的なものだったのだろう。
しかし、そんな当時の日系人の状況に関して、トランプは先日、米『Time』誌とのインタビューで、1941年に日本がハワイの真珠湾を攻撃して太平洋戦争が始まった際、アメリカが10万人以上の日系人を強制収容所に連行したことに触れ、これを支持していただろうと語った。
この発言に、ジョージ・タケイが反論。収容所での苦しかった経験を踏まえ、現在のアメリカの政治を見て、ジョージ・タケイは語る。
当時のアメリカは、真珠湾攻撃直後に日系アメリカ人名簿を作成しました。全ての日系アメリカ人は、敵性外国人だと決めつけられ、強制収容所に収容させられていました。
これは過去に一度起こったことです。一度あった出来事だからこそ、今他の人に対して起こり得ることなのです。
民主主義とは実にもろいものです。今のアメリカ人は、自分たちの歴史を知るべきです。
当時は真珠湾攻撃とは全く関係のない、何の罪もない人たちが、真珠湾に攻撃した人と見た目が似ているという理由で、強制的に隔離されたのです。
この問題は、国家安全保障 対 人権の問題なのです。
テロ攻撃は恐ろしく、人々は震えあがります。人が殺されると、人間というのは直感的に、見境なく行動するようになります。
そうだ、外国人の身分調査が必要だ!
そうだ、国家の安全保障が第一だ!…というように。
しかし、ある思想の団体を愚かに、一掃するようなカテゴリー分けをしてはいけないんです。
フランスのパリとカリフォルニア州サンバーナーディーノで発生したテロ事件を受け、アメリカの指導者はイスラム教のモスクを閉鎖し、イスラム教徒の入国を拒否すべきだと提案したトランプが大統領になった。
現在、アメリカ政府は広範囲の国々からのアメリカ渡航を一時的に止め、移民や難民の入国に対して劇的な制限をかける計画を草案している。
歴史は繰り返されてしまうのか。
世界的に、自国優先主義&マイノリティー差別が広がらないことを願わずにはいられない。
アメリカ人の20%は第二次世界大戦中の日本人の強制収容を支持しています。一方、ホロコースト(ナチスによるユダヤ人大量殺害)が起こらなかったと主張している人は4%に過ぎません。おそらく、ホロコーストの被害者は多くのアメリカ人に取って同情できる相手であり(それは見た目は白人なので)、日本人は同情の対象でないと感じる人がそれなりに多い、ということなのでしょう。
なお、公式には、アメリカは国家として謝罪しています。
にもかかわらず、草の根レベルでは、日本人(おそらくはアジア人全体)に対する蔑視、差別感情が根強い、ということなのでしょう。しかもこれは、白人だけがそのような感情を持っているのではなく、ヒスパニックも同程度のパーセンテージ、黒人はやや下がって10%ということになっています。その他の人種が22%になっていますが、これはアジア系のアメリカ人が日本の過去の侵略、占領に対して悪い感情を持っている事を反映しているのかも知れません。
スタートレックでは、Hikaru Suluという名前で航海士役だったタケイさんですが、もとはただのSuluだったそうで、ここでも、アジア人蔑視が出ているといえなくもありません。日本ではミスターカトーとなってましたが。