国籍や言語の違う国際結婚の子供なら、自然とバイリンガルに育つはずだ…と信じている人もいますが、実際にはバイリンガル教育というのはそんなに単純なものではないそうです。【海外子育て】国際結婚の子供でもバイリンガルになれない7つの理由でも紹介しましたが、いくら親が外国人であっても、流ちょうに2言語話せる子どもに育てたいのなら、それ相当の努力が必要だと言います。
なかでも、子どものバイリンガル教育で重要な役割を果たすのが「絵本の読み聞かせ」。絵本に興味を持つことで言葉を知り、違う文化を学びたいという好奇心を伸ばすことが可能になると言います。そこで今回は、バイリンガル教育のスペシャリストRoxana A. Sotoさんが書いた記事『失敗しない!絵本の読み聞かせのコツ』を紹介します。
コツ1:絵本を読むときの言語を選ぶ
もしあなたの家庭がOPOLメソッド(one parent, one languageの略で、両親がそれぞれ別々の言語で子どもに話しかけるメソッドのこと)を採用している場合、絵本の読み聞かせもその延長線と考え、あなたが普段話す言語で読んであげるといいでしょう。あなたが普段日本語を話すのなら、子どもには日本語で話しかけましょう。
バイリンガル教育に関するウェブサイトColorín Coloradoのライター、Lydia Breisethさんは言います。
「スペイン語を話す親御さんは、絵本でスペイン語を読み聞かせすると子どもを混乱させると思ってやてしまう人が多いんですよ。しかし、親は子供の最初の”先生”なのだから、自分たちの言語で語りかけ、子どもにその言語を使うこと事態に自信を持たせることが大切なんです 。」
海外に住んでいると、なかなか日本の絵本は手に入りにくいものです。日本語、英語、フランス語、ドイツ語など多国語翻訳されている絵本もたくさんありますが、全てではありません。
しかし、そういう場合もあきらめないで。その国の本屋に売られている本を日本語に翻訳しながら読み聞かせてあげましょう。子どものうちは、まだ違いがわかりません。
コツ2:文字を教えるときは第一言語を優先する
ある研究によると、文字の読み方を教えるときは子どもの第一言語を優先したほうが、子どもにとってわかりやすいそうです。そして、その「子どもの第一言語」というのは家庭によって異なります。
まず、あなたの家族がOPOLメソッドを使っている場合は、常にどちらか片方の言語がドミナント(優勢)になるはずです。例えばアメリカに住む日米カップルの子供の場合は、読みは英語を教えるほうが簡単です。
しかし、アメリカ在住の日米カップルが mL@H メソッド(minority language at homeの略で、家ではマイノリティー言語=日本語を話すメソッドのこと)の場合は、日本語の読みを教えるようにするといいでしょう。
コツ3:バイリンガル教育にいい本を選ぶ
海外では多言語絵本も多く見られます。日本ではあまりまだ普及していませんが、東京・目黒区の「多言語絵本の会RAINBOW」は、日本の絵本を様々な外国語に翻訳・録音してネットで公開しているグループです。海外にルーツを持つ親たちが母語を子どもに伝える場が必要だという考えから始まった事業です。
バイリンガル教育の専門家アルマ・フロー・エイダさんは、多言語表示された絵本の利点を次のように述べています。
- 親が日本語を読み、子どもには英語を読ませるなど、親子で別言語で読んでみることができる。
- 両方の言語で読んでみた後、各言語でセリフやストーリーが変わっているかを親子で比較できる。
- 中国語や韓国語の場合には、両方の言語で似た発音や表記になる同族語を見つけたり、全く違う言葉などを発見できる。
※ ちなみに日本語の多言語絵本を探してみましたが、縄文リーさん著書の本以外では見つけることができませんでした。まだ日本では多言語表示の子供用の本というのは珍しいようです。
しかし、子どもが小さいうちは、どの絵本を選ぶかというのはさほど重要ではありません。文字がちょっとしかない(もしくは全くない)絵本は、バイリンガルファミリー向けです。親と子のあいだで、いくらでも想像を膨らませて読むことができます。
コツ4:マイノリティー言語の本に興味をもってもらうコツ
Colorín Coloradoのライター、Lydia Breisethさんはバイリンガル教育の本の読み聞かせで、子どもに本を好きになってもらい、楽しく言語を学ぶために次のようなアドバイスをしています。
出来るだけ早く本の読み聞かせをはじめる
本を読むのに幼すぎる年齢はありません。本をかじったり、逆さにしてページを読むなど、親からすると「注意力がない」行動をしているように思えても、子どもの読書習慣を育てているのです。
親のあなた自身が読書をする
親であるあなたが読書を楽しみましょう。親が本を読んでいる姿を見て、子どもは本の大切さを知るのです。
子どもの興味・関心に合わせる
子どもが大切にしている興味や関心事について書かれた本を両方の言語で読んであげましょう。すでに学校や幼稚園などで他の本を読んでいるなら、子どもにその本について尋ねてみて、マイノリティー言語で翻訳されていないか調べてみましょう。
家族の歴史や文化にあったものを選ぶ
なるべく子どもが置かれている境遇に近い内容のものを選ぶといいでしょう。
本だけに頼らない
日本語を学ぶソースが本だけにならないように気をつけましょう。雑誌や新聞、ネット記事、パズル、ボードゲーム、アニメや漫画など、他のソースも活用しましょう。
家族や友人の協力を得て、第2言語でたくさん話しかけてもらう
家族や友人にも本の読み聞かせや、歌をうたってもらうなどの協力を得ましょう。
子ども自身が「本の読み聞かせをする役」にさせる
いつも親→子のように一方通行にならないように、他の子供や下の兄弟、家族などに本を読み聞かせる役を与えてあげましょう。