フランスで妊娠して、7カ月が経ちました。初めての妊娠でわからないことだらけの不安のなか、何とか今日までやってきた!というのが正直な今の感想ですが、ここでこれまでのフランスの妊娠生活を振り返って驚いたこと&大変だった妊婦事情をまとめておこうと思います。
筆者は日本で妊娠した経験がないので、日本の妊娠事情と厳密に比べることはできませんが、日本の出産経験のある友人や本、インターネットなどの情報を元に「これは日本に比べるとフランスは大変だろう」と思うものを7つ紹介します。
エコー検査は全部で3回だけ
フランスでの超音波検査は、全妊娠期間で3回しかありません。医療保険(Assurance maladie)でカバーされる検査回数が妊娠前期・中期・後期にそれぞれ一回ずつと決められているからです。日本では毎月の検診で一緒にエコー検査をしてもらえますが、フランスは3カ月に1回。特に最初のエコー検査は12週まで待たなくてはならず、この時期は胎動を感じないうえに流産する可能性が高いので、妊婦としてはこの12週がとーっても長く感じられます。
お腹のなかの赤ちゃんの姿を目で確認できるエコー検査をするたびに、小さな手足を動かす姿を見て感動したり、「母親になる自覚」が芽生えたりと妊婦への心理的影響も大きいと思うのですが…。これが3回しかないとなるとちょっと物足りないなぁと感じました。
しかし、実際には妊娠検診のたびにエコー検査をする国は日本だけだとも言われているそうです。産婦人科専門医の篠塚憲男先生はこう語っています。
「日本ほど妊娠週数が正しく、妊娠の初期からしっかり管理が行われている国はないといっていいのです。この“濃厚な超音波検診・妊婦健診”が世界一低い日本の周産期死亡率に現れているのかもしれません。」
しかし、この採算度外視の医療は、すでに限界を迎えており、医師の苛酷な労働環境、医師不足、産科の激減、病院経営の赤字……など医療崩壊の一因ともなっているそうです。(参照:プレママタウン)
病院は完全予約制…なのに待たされる
フランスの病院は産婦人科に限らず、どこも完全予約制です。しかし、予約制なのに平気で待たされるというのが何ともフランスらしいところ。妊婦でも普通に1時間以上待たされます。
さらに、国立の総合病院などでは電話で予約しようと思っても電話が繋がらない…というのがしょっちゅうありました。電話をしても10分以上呼び出し音を鳴らし続け、それで繋がればいいほうといった感じです。電話ができないとなると、予約の変更やキャンセル、ちょっとした質問などもできず、何かと不便でした。
まぁ、フランスで「何かと不便な状況」というのは日常茶飯事なのですが、初めての妊娠では日本のような手とり足取りの丁寧な対応をしてくれる所のほうがストレスが少なくていいのかなぁと思いました。
血液検査、エコー、産院、出産準備クラスの場所が全てバラバラ
何かと不便な病院事情はまだあります。それは、血液検査をする場所と超音波検査をする場所、産院、助産婦による出産準備講座の場所が全てバラバラで、それぞれ個別に電話をし、個別に予約を取らなければいけないという点です。
血液検査はラボで、超音波検査は超音波専門医のいる所で、出産準備クラスは助産婦の秘書にそれぞれ事情を説明して、アポを取らなくてはいけません。電話にすぐに出てくれないところも多く、これが本当に面倒でした。個人病院や総合病院で全てやってくれる所もありますが、基本はバラバラで、それぞれの場で待たされます。
歩きたばこが多い
筆者の場合は幸運にも吐くようなつわりは全くなかったのですが、それでも臭いにはとても敏感になりました。そんな筆者が妊娠初期に辛かったのは、フランスでは道端でプカプカ歩きたばこをする人が多いという点です。特に新幹線(TGV)を降りた後すぐなんかは、屋外で数分とはいえ、煙モクモクのなかにいなくてはいけなかったので辛かったです。
またたばこ以外にも、フランス人は香水や体臭、口臭など、何だかよくわからない臭いを放つ人が多く、これが妊婦には強烈でした。
冷たいフランス人の態度
普段はフランス人に冷たい&横柄な態度をされてもあまり気にしないのですが、妊娠中はとてもセンシティブで繊細になっていたので辛かったです。フランス人は相手が妊婦だろうが、患者だろうが、容赦なく気分をそのまま表情や言葉に出すので、感情が不安定になりがちな妊婦にはかなりきつかったです。
特に病院の受付や電話などで冷たい対応をされると、まるで妊娠&出産を歓迎されていないかのような気持ちになり、落ち込むこともありました。
態度や感じの悪い人というのはどこの国にもいるものですが、少なくとも日本では表面上だけでも最低限の「丁寧さ」を保ってくれるので、妊婦など精神的に不安定になりがちな人には良い国だなぁと改めて思いました。
マタニティーグッズはないに等しい
日本の妊娠本や雑誌などを見ていると、妊娠3カ月頃からマタニティーインナーやマタニティー服、妊娠帯などを買うように書かれていることが多いです。それらを参考にパリ市内のあらゆるショップを見て回りましたが、「ない」に等しいだと思いました。
マタニティ用のジーンズを買おうと思ったのですが、売っているお店自体が少なく、あったとしてもサイズがXLばかりで無駄足でした。妊娠中から使えて出産後の授乳時期まで使える便利なブラジャーなんてものもありません。「妊娠帯」なんてものも、もちろん存在しません。
しょうがないからユニクロのブラトップとレギンスで毎日過ごしていますが、これも最近ちょっときつくなってきたような…。無駄に色々なマタニティグッズを買いすぎることがない…というのが良い点ですが、もう少しマタニティー用の商品が展開されていてもいいんじゃないかと思いました。
ちなみに、最近出産したフランス人の友達は、Envie de Fraiseというネットショップを利用していたそうです。個人的にネットで服を買うのが苦手なので私は利用しませんでしたが、ここは悪くなさそうですよ!
妊娠してても女は強くあれ
フランスはなんだかんだでやっぱり適当な国です。個人主義なのも相まって、病院でも、フランス人に言われることでも「これをしちゃだめ」とか、「こうしないといけない」というような忠告をされることはほとんどありませんでした。他のフランス人の妊婦を見ても思うのですが、フランス妊婦は強く、たくましいです。妊娠していても妊娠前と全く変わることがないマインドとパワフルな生活をしています。
対して日本の妊娠本や産婦人科医のアドバイスを見ると、慎重に慎重を重ねて無理をしないことが一番という考え方のようです。フランスの産婦人科や適当な周りの人&社会に比べると、日本での妊婦への対応はどこか腫れ物に触るような、病人を相手にするかのような、とにかく慎重な対応だなぁと感じました。日本の妊婦へのアドバイスのほうが保守的です。
これは人によっては、マイナスになるのではないかと思います。筆者の場合はあまり細かいことを気にしないようにしているので、フランスのおおらかで適当な対応が肌に合っていましたが、人によっては手とり足取りの日本型ケアのほうがあっているのかもしれません。
おわりに
以上がフランスの妊娠生活で感じた、大変だったことです。結局のところ、どこの国に住んでいてもそれぞれ大変なことがあり、そのなかでうまく折り合いをつけながら強くなっていくしかないのかなぁと思います。
また、今回は日本に比べて大変だったことを書きましたが、実は日本にはない良いところもたくさんあります。次回は、フランスで妊娠出来て得した!と思ったことをまとめてみようと思います。
では、また!
マダムリリーはじめまして。私も8月末にフランスで出産予定です。一人目は、9年前になりますが、日本のクリニックで出産しました。
日本の産院は確かにエコーも毎回実施して、エコー写真も頂けるので、赤ちゃんの発育過程が見られて嬉しく思いました、その他マダムリリーがおっしゃるように血液検査、尿検査等、別の施設に行かなくてはならないと言う面倒臭さは私も実感しています(笑)
しかし、フランスはそう言ったサービスが無い反面、きちんと必要な検査をしてる印象を受けました。その一つがトキソプラズマ検査です。日本でこの検査はしなかった上、産科医からもこの検査の話も、菌の話も何もありませんでした。
フランスでの血液検査の結果で私はトキソプラズマに対して抗体がない事が判明したのです。妊娠中に感染すると大変な事になるにも関わらず、この検査を勧めなかった日本の産院に対して大きな疑問を感じました。
そして、もう一つ大事な事は、フランスでは自然分娩でも出産予定日の1ヶ月前に麻酔科医に診てもらいます。これは自然分娩を選択しても、万が一緊急で帝王切開などになった場合に適切に対応出来る為です。私は一人目は自然分娩しか選択がなく26時間の難産で大変苦しんだ上、麻酔科医もいないクリニックでしたので、もし帝王切開になったらどうなっていたのだろうと後から恐怖になりました。今回フランスではもちろん無痛分娩です。日本では賛否あるようですが、フランスやその他ヨーロッパの産院は母体への負担を軽くする事を一番に考えてるので私は今回の妊婦生活をストレスフリーで過ごせています。
最後に、日本人全員ではありませんが、妊婦に席を譲らない、見て見ぬ振りをするのは残念ながら結構ありました。その反面フランス人は当たり前のように助けてくれます。物事はハッキリ言う人種なので、時には傷付くと思いますが、いざと言う時には手を差し伸べてくれます。もちろん全員がそうではないですが(笑)
マダムリリーも安産でありますように!
もう、まさにまさにまさにこれ!!!!!
私の主人、カナダのケベック州出身でフランス系です。
先月初孫が生まれて狂喜乱舞する、日本とカナダのジジババ。
それはそれでいいのだが、まさに記事のごとくな旦那の両親。過保護気味の日本の両親。
今まさに、その間に挟まれています。犠牲にするものが多すぎる。。。
強く言えない日本人なのでした。
フランス、エコー検査少ないんですね。ちょっとビックリです。
私はハンガリー在住ですが、もう少し多いです。もしかして私が高齢出産だからかもしれませんが。出生前診断だの胎児の心臓のエコーだの、なんだかんだと7ヶ月目に入るまでに4回は行きました。
血液検査、エコー、医者の場所が全てバラバラというのはすごく面倒くさいですよね。
ハンガリーでは最初に医者にかかる時、住んでいる区の担当医というのがいて、病院に行く前にまずその診療所に行くのが普通なのですが、妊娠して大きい病院に通っているにもかかわらず、血液検査依頼の紹介状は区の担当医に書いてもらわないといけないという、よくわからないシステムがありました。
超音波の予約も、2週間前くらいに予約しなきゃ取れないとか、血液検査は結果を自分で取りに行って、医者に行く日はまた別の日で結果の紙を持参するとか、日本の一つの病院で全てやってくれるのに比べると途方もない手間ですよね。妊婦に右往左往させるな!と思いました。
しかし、少子化が進んでいる日本なのに妊婦への医療が限界というのは意外です。産科も保育園も少子化で減ることは分かりますが、その少ない子どもすら見きれないというのは、一体どうなってしまったんでしょうか。団塊、そのジュニアの世代の頃はどうしてたんでしょうか?不思議に思います。
女性が出産する機会が減ったからこそ、繊細で慎重な対応になるのかもしれませんが、確かに気にしすぎ、怖がりすぎは妊婦の精神衛生上も良くありませんよね。身の回りにいるパワフルな先輩ママのように強くありたいと思っています。
現在進行形なので、思うこと色々書いてしまいました。お体お大事に。
はじめはして。
現在日本で妊娠中です。彼はオーストラリア人ですが、私が区役所から貰ってきた母子手帳や妊婦の為の読本、妊婦健診の2週間毎のスケジュール、マタニティマークや区の特典であるタクシー券などなどが入ったバッグを見て、凄く驚いていました。
こんなものは日本だけなんじゃないかと。
出産が主に自然分娩なところは全く理解できないけれど、ここまでしっかり診てもらっていれば、最後が日本特有の精神論でもナルホドな気がする、と。
国によって違うのですねー。
オーストラリアでは数回の健診とエコー、分娩は保険でカバーされ実質無料だそうです。
でもエコー数回はやはり不安ですね。自費でのエコーはかなり高額になりそうです。
出生前診断は当然受けるんでしょう?と義母に聞かれて、そこは合理性優先の欧米人だなと思いました。
オランダは基本エコー二回です。希望すれば保険やら追加料金で増やせるそうですが。
そして帝王切開も多い、、、逆子体操がない涙。結構簡単に切ったり抜いたりします、妊婦じゃなくてなんでも。
赤ちゃんが大きい子が多いので、お母さんが細身だとどうしても逆子になりやすいのは確かなんですけど、
もうすこし丁寧にやってほしい。無痛分娩や、ミッドワイフの訪問など浸透しているのは素晴らしいと思います。