日本のことを紹介している海外メディアを見ていると、本当にデマが多いです。例えば、額に食塩水を流し込んでベーグルのように膨らませる「ベーグルヘッド」が日本で流行っているとか、眼球を舐めあうのがブームだとか、日本で肥満になるのは違法だとか…。ごく一部の人しかやっていないことを、あたかも「多くの日本人」がやっているかのように伝えたり、誇張して伝えるのは日常茶飯事です。
海外メディアが伝える日本というのは、いつも目を丸くするような「奇異」な部分ばかりで、日本が欧米とはいかに違って、いかにクレイジーかを伝えるものが非常に多いです。「変な日本」の情報ばかりを流しているせいで、海外メディアの情報が実際の日本とはかけ離れている場合も多々あります。
なぜこのように海外のメディアは、日本のデマ情報ばかりを広めるのでしょうか。そこで今回は、その理由について考えてみました。
日本はまだまだ遠い「異国」
日本では「アメリカでは日本の○○が人気!」というように、海外でいかに日本ブームになっているかを伝えるものが多いです。しかし実際は、まだまだ多くの欧米人にとって、日本は遠い遠い「異国」です。ほとんどの人にとっては、中国と日本の違いがあまりよくわかりません。欧米人は人種や文化の違いも相まって、相当な心理的な距離感があるように感じているようです。
そんなに遠い異国だからこそ、「こんなクレイジーなことがまかり通っているかもしれない」とウソ情報を真に受けて信じてしまう人が少なからずいます。
「知ってる?日本ではこんな変なことが流行っているらしいよ」と話のネタにもなりますし、この情報が本当なのかウソなのかをはっきりと確かめる手段もありません。というか、本当かどうかは大して気にしていません。異国で、自分たちにはさして関係のない遠い遠い国のことだからこそ、ウソであろうと誇張であろうと、面白ければそれでいいのです。
アクセス狙い記事のコピペ
このように話のネタになるようなデマ情報をアクセス狙いで1つのサイトが伝えると、それをコピペしてさらにウソが伝達されます。海外生徒のたちが悪いところは、それが英語=世界共通語だという点です。
マダムリリーの記事もこれまで英語に訳されたことが何度かありますが、一度英語で訳されると、一気にフランス語、イタリア語、スペイン語、ロシア語などに翻訳され、さらに拡散します。こうやって同じデマ情報を書いた記事の数がどんどん増えていき、しまいには「これだけたくさんのサイトで同じことを言っているから本当に違いない」となるのです。日本に関する記事に限った話ではないですが、コピペで拡散する時代だからこそ、内容の真意を読み手が見極める必要があります。
「ジャパン」という名のユートピア
海外の反応|なぜ日本オタク外国人は海外で馬鹿にされるのか?Weeabooの実態とは?という記事でも書きましたが、やはり日本好き外国人は少し変わった人が多いです。Weeaboo(ウィーアブー)とは、親日外国人の進化形で日本が好きでたまらない人のこと。日本への憧れ・情熱がゆえに、日本のものは全て素晴らしいと信じている人のことで、よく日本のテレビ番組なんかで「日本好き外国人」として取り上げられるような外国人を指します。
彼らは自国では「変わった人」として浮いてしまっている場合が多く、自国でうまく馴染めないがゆえに、「ジャパン」という名のユートピアを求めているような感じがします。
自分の国ではうまくいかないことがあっても、日本に行けば何とかなるかもしれない。だって日本はこんなにクレイジーでクールな国だから…ってことで、こういうWeeaboo(ウィーアブー)にとっては、日本の極端なデマ情報が「希望の光」だったりします。
日本にまだ行ったことがなく、日本語も話せないけど、自国で日本のアニメやゲームにはまっている外国人にとっては、「いかに日本が自分の国とは違うのか」を知りたいわけです。彼らにとっては、日本が変な国であればあるほど日本に惹かれ、共感し、ますます日本への愛着を深めていきます。こういったWeeaboo(ウィーアブー)の需要をわかっている海外サイトが、こぞって「クレイジーな日本情報」を流すのです。
まとめ
日本のデマ情報は、【日本好きオタクの需要+情報の真意はどうでもいい人】でなりたっています。デマを流したり、情報を誇張して伝えるというのは日本のメディアでもやっているやっていることですが、やはりされた方の側になるといい気はしませんね。
それと同時に、日本での「日本の○○が外国人に人気!」といった番組や、海外での「日本はこんなにクレイジー」といった情報をみるたびに、この2つの国にはまだこんなに隔たりがあるのかと、改めて気づかされます。デマ情報というのは、「心理的な壁」を如実に表しているものなのかもしれません。