海外を旅する若者が急速に減っているといいます。法務省の出入国管理統計によると、2007年の海外旅行者(出国者数)は前年比1.4%減の1730万人。20~29歳の海外旅行者数は10年間で35%近い「激減」で、若者の「海外離れ」が深刻になっています。最近何かとメディアを騒がす「若者の○○離れ」ですが、海外離れに関しては時間やお金をかけてもメリットが少ないからではないでしょうか。そこで今回は、様々なサイトやニュース紹介されている「若者の海外離れの理由」を10にまとめてみました。これだけグローバル化が叫ばれる国際情勢のなかで、なぜ日本の若者は海外に行こうとしないのでしょうか。
1. お金がない
長引く経済の低迷から非正規雇用者が増え、海外に行きたいけれど「現実問題として難しい」と語る若者が多いです。旅行業界最大手のJTBは正規社員に採用されない「ワーキングプア」の若者が増える一方で、携帯電話やパソコンなどで支出がかさみ、旅行に出る経済的余裕がなくなっていると分析しています。
2. 就職に有利にならない
「留学は就職に有利」は大うそ!で説明したように、大学生の海外経験を就職で高く評価する企業はあまりありません。留学をしたという事実だけでは決定力不足です。大学時代の大切な時間を割いて、お金をかける割に学生にとってメリットが少ないというのが学生の海外離れの要因です。
3. 会社が海外経験を評価しない
留学経験者は、国内支店の営業といったポストにつかせて、”外国かぶれを落とす“会社もあるといいます。大学や企業なども含め、日本社会は諸外国に比べ全般的に「国内重視」傾向だと指摘する人も多いです。ビジネスマンが長期間、国内を留守にすれば昇進しにくくなる人事の構造は、欧米先進国どころか新興国でもありえません。
4. 安全・安心を重視する傾向
より便利に、より快適な社会へ変化してきた日本。しかも日本は世界的に見ても治安の良い国です。そのため、わざわざお金を払ってまで安心・安全な国から出ようと思う人は少なくなってきました。海外という慣れない環境で困難に立ち向かいながら“自分を鍛える”というよりも、安心・安全を重視する傾向が強いようです。
5. そもそも興味がない
海外にそもそも興味がないという人も少なくありません。日本人の生活水準が上がり、日本よりも経済的に進んだ国があまりないのも原因の一つだとされています。
6. 長期休暇がとれない
1とも関連しますが、非正規社員の若者は海外に行きたくても長期の休暇が取れません。また、仮に長い休暇がもらえたとしても、遠い所まで時間をかけて行こうとは思わないという人が多く、国内旅行で済ませる人が増えたといいます。
7. 海外経験の良い話を聞かない
例えばフランスでは毎年のバカンスにどこに行ったのか、そこがどんなに素敵な所だったかを楽しそうに話す人が多く、旅の思い出を語るのがひとつの年間風物詩として定着している面がありますが、日本ではあまりこういった傾向が見られません。バカンスとという長期休暇がそもそもないことが原因でもありますが、海外旅行や海外生活などを周りの人に話せない雰囲気が日本にはあるのではないでしょうか。
8. ネットで充分
インターネットの普及により、自分の得たい情報はすぐにでも手に入れられるようになった現代。大抵の情報が日本でも手に入るため、海外で自ら経験してみたいという欲求が薄れてきたと言われています。ネット上では、現地に行かなくても海外の情報が簡単に得られるため、「何でも見てやろうという意思と好奇心が薄れてきている」と中尾清・観光学部長(64)は語っています。
9. 海外旅行が特別なことではなくなった
昔は海外に行くことが日本人にとって新しいこと、未知のことを知ることであり、刺激的であり、晴れがましい優越感を感じられることだったといいます。それにひきかえ現在では、気軽に誰でも海外に行ける時代になったため、海外に対する“憧れ”や“特別感”が薄れてしまいました。
10.国内旅行で充分
海外旅行の不人気とは反対に、国内旅行は人気になってきました。お金と時間のない現代人にとって、もはや海外での娯楽は非現実的なのかもしれません。言葉や文化の違いにぶつかることもなく、手軽に楽しめる国内旅行が人気になったのはそういった現代人の需要が背景にあるのではないでしょうか。
まとめ
個人的には「若者はどんどん海外に進出すべき」論だったが、今回この記事を書くために調べてみると、現実問題として海外に行くことがなかなか難しい時代になっているなと気が付いた。しかも、海外で長く暮らしていくわけではなく、帰国して日本で生活しようと考えている人には海外進出のメリットがあまりないこともわかった。これは若者を海外に出して鍛え、戻って来たら処遇しようという意識が日本社会に欠けているせいだと思う。また、海外旅行の不人気と同時に、国内旅行が人気になっていることからも、今も昔も若者には「余暇を楽しみたい」という欲求はあるのではないか。単純に内向きになってしまった若者を批判するのではなく、その背景にあるものを改善していかないことには、根本的な解決にはならないと思う。
