尖閣諸島問題を抱える日中関係、生活保護問題を抱える日韓関係などから、中国や韓国などのアジア諸国に対してあまり良いイメージをもっていない人も多いのではないか。東アジア内での国際関係や友好度は決して良いとは言えず、常に“かすかな”緊張状態をもって保たれているのが東アジアの国際関係だ。
東アジア諸国に比べると、欧州連合(EU)のあるヨーロッパの関係はとても友好的に思える。ヨーロッパのどの国の人に会っても、「ヨーロッパのなかの私たち」という意識を持っている人が多く、同じヨーロッパ人は同類だという仲間意識すら感じる。
しかし、実際のところはどうなのだろうか。とても仲がよく見えるヨーロッパの人たちは同じヨーロッパの「他の国の人」にどのようなイメージを持っているのだろうか。
そこで今回は、米紙ワシントンポストで紹介されていた「ヨーロッパ人は互いにどのような偏見があるのか(How Europeans stereotype one another, in one chart)」を紹介する。
ヨーロッパ人はドイツ人に対して強い思い入れがある
PEWリサーチセンターの調査によると、ヨーロッパ人はドイツ人に対して特別の感懐があるようだ。ドイツ人はヨーロッパのなかで、「最も信用できる国民」、「最も高慢な国民」、「最も薄情な国民」に選ばれた。
このヨーロッパ人の意識調査では、欧州連合に対する信頼感が薄れていき、その結果欧州連合の中心的存在であるドイツに複雑な思いを抱えるヨーロッパ人が増えたのではないかとしている。
この調査からわかるヨーロッパ人の対外意識8パターン
1.ドイツ人はヨーロッパのなかで圧倒的に信頼のおける国民として捉えられている。自国を最も信頼できるとしたギリシャ以外の国は全てがドイツ人が最も信頼できると回答。自分の国が最も信頼できると回答したのは、ドイツとギリシャのみ。フランスでは43%がドイツ人は信頼できると回答している。
2.同時にドイツ人は最も高慢な国だとも思われているが、2位のフランスとの差異はさほどない。最も高慢な国としてフランスを挙げた国はドイツとイギリス、そして奇妙なことにフランス自身であった。
3.EU脱退をほのめかしたイギリスのみが「最も薄情な国」として、ドイツの対抗馬になりえる。
4.ギリシャがもつドイツへの敵意には限界がないが、他のヨーロッパ諸国のギリシャに対する信頼度は低い。
5.イタリアはイタリアが最も信用できない国としている。これにドイツとスペインも同意。
6.ポーランドはドイツに最も強い感情をもつ国だ。歴史的背景が関係しているのかもしれないが、ポーランドは「薄情な国」、「高慢な国」としてドイツを挙げている。ポーランド人はドイツを「最も信頼できる国」、「最も信用できない国」として挙げている。
7.どの国も自分の国を「最も謙虚な国」として見ている。チェコだけが例外で、元の合併国であったスロバキアと回答。
8.どの国の人も自分の国が最も思いやりのある国と回答している。「ヨーロッパでは自己満足している国が多く、自らを批判する国は少ないということがわかる」と調査会社は発表している。
おわりに
ヨーロッパの対外意識調査では、全体的に見てドイツ、フランス、イギリスを挙げる国が多く、これらの国がヨーロッパの中心となって動かしていることがわかる。
冒頭で言った“ヨーロッパ人は仲良く見える”というのは、“見える”というだけなのかもしれない。実際には、国によってさまざまな“思い”があるようだ。