「もう一度カップルに戻ろう」…そんなこと言われても。私は彼をもう一度信じることができるのだろうか?もう傷つきたくない。このときの私はまるで「ヘラクレス」にでてくるメグのようだった。信じたいけど傷つきたくない。だから私は彼に恋してなんかいないって。
自分の気持ちはよくわかっていた。
それでも、大学卒業を2ヵ月後に控え社会人生活が始まろうとする時に彼と付き合いだしていいのだろうか?第一、彼は3ヶ月後にはフランスに帰るのに。
迷いに迷った挙句、結局私は彼とまた付き合うことに決めた。彼をもう一度信じてみようと思った。付き合うからには100%信じよう。何より、自分の気持ちに正直になろう。
彼とまた付き合い始めて3日後、私1人友達とスノーボード旅行に行った。旅先で彼から電話があった。
彼:「今からA子(彼が以前狙っていた女の子)に会うんだけど。」
私:「ふーん。何時から?」
はぁ?どういうこと?なんで?と、思いながらもプライドの高い私はこう返してしまった。
その夜遅くまで考えた。考えに考えた。やっぱりおかしい!私と付き合って3日後に、私がいなくなった途端に、自分が昔狙っていた女の子と会うなんて。やっぱり信用できない。もう一度信じてみようなんて思ったあたしが馬鹿だった。あたしは馬鹿だ。何度同じ過ちを繰り返すのだろう。
その夜彼に電話した。別れを言うために…。
私:「やっぱりあなたのことは信用できない。どうして彼女に会えるわけ?やっぱりあなたとはつきあえない。」
彼:「僕が彼女に会うのが嫌なら、電話したときにそう言ってくれれば会わなかった。それに僕は君とまた付き合い始めたからもう会えないって彼女に言ったんだよ。」
私:「そんなこと信じられない。第一、彼女に会うのが嫌ってことはわざわざ説明しなくてもわかることでしょ?」
彼:「わからなかった。だって君、すごく普通だったじゃん。こんなことで別れるなんて嫌だ!」
旅行から帰ってきても喧嘩は続いた。付き合う、付き合わない、好き、嫌い、恋人、友達、信じる、信じない・・・・
こんな会話を彼と毎日毎日続けた。1ヶ月続けた。彼も私ももう喧嘩でホトホト疲れてしまっていたある日、彼からメールが来た。
彼:「しばらく考える時間がほしい。この間お互い連絡を取ったり、会ったりするのはやめよう。」
あー、そうか。この“しばらく”の間に彼は彼女にアプローチするってことか。そーか、そーか。彼は結局彼女を選んだわけか。もう本当にこれで終わりだ。もう疲れた。彼は私を幸せにする男じゃない。もっと早いうちからわかっていたことなのに。やっぱり私は馬鹿だ。本当に馬鹿だ。終わったんだ。
結局こんな関係は苦しいだけだ。好きだから「友達」なれない。信じられないから「恋人」にもなれない。こんな関係をズルズル続けてもいいことない。苦しいだけだ。だからもう終わりにしなくちゃ。彼と一緒にいる限り、私はずっと苦しい。もう全て終わりにしよう。
1週間後、彼が家にやってきた。
彼: I’ve been thinking how important you are to me…
君が僕にとってどれだけ大切なのか、考えたよ。
私: And so? I’m so tired because of you. I have nothing to talk with you, so just get out.
だから何?あのねぇ、あなたのおかげであたしはもう疲れちゃったの。あなたと話すことなんてないから、もうとっとと出てって。
彼: No! All the time we spent together doesn’t mean anything to you?
僕たちが一緒に過ごした時間は何でもなかったって言うのかい?
私: It’s nothing. We both felt lonely, that’s it!
何でもなかったね!あなたも私も寂しかった、それだけ。
彼: But for me, it’s not. I love you. I didn’t know you were so important to me. This week, I was alone in my apartment and I always looked for you, the face you smile, the voice you laugh….
でも僕にとっては違う。君を愛してる。君がこんなに大切だったなんて気がつかなかったんだ。この1週間、僕はアパートに独りでいたけど、いつも君をさがしていた。君の笑う顔、君が笑う声…
私: That’s enough! Anyway, you are not the man who can make me happy.You know, it’s over. From now on, I’m not your friend nor your girlfriend.
もういい!とにかくあなたは私を幸せにできる男じゃないのよ、わかる?終わったの!これからはもう、私はあなたの友達でもなければ恋人でもないから!
彼: No, just listen! I realized that all I need is just to see you smiling by my side, everyday. I want you to be always with me. I love you and I need you. I came here to tell you that.
いや、聞いて!僕が必要としているのはただ、君が僕の隣で笑っているのを毎日みることだけなんだ。君にはいつも僕のそばにいてほしい。愛してる。君が必要なんだ。それを言いに来た。
私: You finished saying everything you wanted to say? ….Then, go home.
それで言いたいことは全部言い終わったの?…ならもう帰って。
目を真っ赤にして、今まで私が見たことないような悲しい顔をして部屋を出ていく彼を横目で見た。彼が部屋から出て行った途端、ふぅ~と肩の力が抜けて床にしゃがみこんだ。
これで良かったんだ。これで良かったんだ。これで良かったんだ。これで良かったんだ。これで良かったんだ。
そう何度も自分に言い聞かせた。
[国際ラブストーリー4~愛することを知った恋]に続く・・・
ちなみにこれが日本語ヴァージョンの「ヘラクレス」、I won’t say I’m in love(恋してるなんて言えないわ)。この曲はフランス語ヴァージョンの歌詞の意味が一番メグの心境に近いと、私は思う。英語ヴァージョンは「No chance, No way 」というフレーズが出てくるが、そういうわけでもないと思うし・・・。日本語は多くの意味が抜け落ちている。多分日本語をリズムにのせきれなかったんだと思うけど。日本語ヴァージョンのディズニーソングはとにかくリズム、というか歯切れが悪い。無理やり感が残ってしまって非常に残念。例えば、最初の一節、「信じてだまされて悲しい目にあった・・・(日本語)」はフランス語バージョンをそのまま日本語に訳すと、
「もし判断力不足の人に賞が与えられるなら、私はもう受賞者切符を手に入れてると思うわ・・・」になる。英語ヴァージョンは最後の一節、「At least out loud I won’t say I’m in….love」のリズムがあまりよくないような・・・。メグの声も含めてやっぱりこの曲はフランス語がいい。
これが英語ヴァージョン↓
「僕が彼女に会うのが嫌なら、電話したときにそう言ってくれれば会わなかった。」
これですね。
女の方から命令しなきゃわからないっていうのがだめなんですよね。
女に伺いをたてずに、男には自分からこう決断して欲しいわけですよ。
欧米男ってこういうの多いですよね。
私はあんたのママじゃないって感じです。