結婚に向け結束を固くした、プータローの私たち2人。この後、国際結婚最大のやま場と言われる2つのことに立ち向かった。
まず1つ目は婚姻手続き。フランス人との結婚手続きを見てもらえればわかるように、これがやたらとめんどくさい。必要書類は多いし、何といってもフランス大使館の対応が悪すぎる!電話でもメールでも問い合わせができない。それなら直接行ってやる!…と言えども、福岡に住んでいた私にとってはそう簡単に東京には行けない。放っておいたら彼の滞在許可期間はどんどん短くなり、滞在期間内に日本人の配偶者にならないと、彼は不法入国者として強制送還されてしまう。しかし、手続き以前にしなくちゃいけないことがある。
それは、両親への告白。これがもう1つのヤマ場である。これは想像していたよりも、私の両親の理解があって助かった。世の中では、「外国人なんてやめときなさい!」という偏見に満ちた方もおられるようだが、私の両親は彼を外国人だからと言って特別視することなく受け入れてくれた。特に決め手になったのは、私の母が「リリーのどこが好きなの?」と彼に質問したときである。彼は即座に「うーん。においかな。」と答えた。
「えぇ?においって何だよ?」と私は思っていたが、これが母に大ウケ!「あんた、においって深いよぉ!こんなこと言う人いないよぉ!」と、大絶賛!彼女がいわく、彼がいかに私のことを好きなのかが伝わったらしい。こうして母のハートをガッチリ掴んだ彼。私の父は「それでも仕事は辞めるべきじゃなかったんじゃないか?」と最後まで心配していたが、母の応援のおかげで何とか賛成してくれた。
問題は彼の両親。どうやって結婚を打ち明けるべきか?自分の子どもが1年間日本に留学して、そこで出会った女性と結婚した…という話を聞かされる親は、どんな気持ちになるんだろう?会ったことも話したこともない、地球の裏側にいる娘と自分の息子が結婚すると知ったらどう思うのだろう?途方にくれた。
彼は結婚することよりも、このまま息子が帰ってこないんじゃないか?という不安のほうが彼の両親にとったら大きいと言っていた。
当時の私たちはフランスに住むなんていう選択肢はなく、どうしたら日本で幸せに生活していけるか?だけを考えていた。だから、ひとまず翌年の2010年夏にフランスに行って両親に会う。そしてその翌年に結婚するということを打ち明けようという話になった。
「本当にそれで大丈夫なのかよ?」と思ったが、何度も何度も話し合ううちに彼に任せてみようと思った。
「本当なら僕だって両親に結婚したって言いたいよ!僕が一番結婚を報告したいのは両親だよ。でも今はタイミングが良くない。」
彼がそう言うなら、彼の思うとおりにさせてみよう、そう思った。彼について行こう、そう思った。ここまで、いろんな山を越えてきた。これからだって、どんな山でも越えてみせる!と。
実は私たち2人が結婚していることを、彼の両親はいまだに知らない。彼の両親は私のことを「フィアンセ」だと思っている。これに関しては賛否両論あるし、私自身不安もあるが、もうここまで来ちゃったわけだから引き返せない。彼の計画だと、自立して立派な社会人になってから伝えるとのこと。この選択も、まぁ言ってみれば男らしいのかなぁ。
結婚することを彼の両親に隠したまま、その後めんどうな婚姻手続きを何とか済まし、着々と日本での新婚生活をスタートした私たち2人。
今でも思う。随分と、思い切ったことをしたもんだと…。特に彼が。
「国際ラブストーリー最終章~フランスに行くと決めた日」に続く・・・