家庭内の体罰がほとんどの先進国で禁止されているのに、日本はまだその法規制がないことを知っていますか?
家庭内の体罰における法規制は1979年以降、世界各国に広がりました。体罰禁止法の先駆者となった国はスイス。『子どもは1人の個人として、その人格を尊重されなければならない。また、体罰やその他屈辱的な扱いにより、子どもを服従させることはできない』という新たな条項が民法に加えられました。それがヨーロッパ中に広がり、現在では世界28ヶ国で児童に対する家庭内の体罰が全面的に禁止されています。
これを受けて、フランスでは先週木曜日に体罰から子ども守る団体が設立され、体罰反対キャンペーンが行われました。子どもへの体罰の是非を問いかけることを目的としているもので、この団体が制作した30秒のCMが話題を呼んでいます。
机に飲み物をこぼしてしまった娘に対して、容赦なく平手打ちを浴びせる母親。その様子をキッチンから見ていた祖母が、平手打ちをした母親を胸に抱き、「Pardon(ごめんなさい。)」と謝るというもの。動画の最後は「体罰を与える大半の親は子供時代に体罰を受けている」、「暴力なしのしつけを」というメッセージで締めくくられています。たった30秒の動画だが、とても心を打つ映像だと多くの人から反響がありました。
日本では1990年代より、児童虐待が社会問題として取り上げられるようになりました。それにも関わらず、日本では教育機関での体罰は禁止されているものの、家庭内での体罰を規制する法律はありません。2000年、児童虐待防止法が制定されましたが、これはあくまで“虐待”の防止を目的としたもの。つまり、教育的な意味のある体罰なのか、それとも単に保護者などの鬱憤晴らしなどに過ぎない虐待かが争点となります。平手打ちやお尻ぺんぺんなどの全ての体罰を禁止したヨーロッパの法とは違います。
問題は体罰がエスカレートしやすい点です。特に家庭内では環境が閉鎖的であるため、罰の方法がエスカレートしやすいと言われています。体罰の延長線上に虐待がある専門家もいます。
虐待が社会問題の一つとなっている国、ニッポン。
子どもを守るため、ヨーロッパに見習って動くべきではないだろうか。