「住めば都」ということわざがあるように、どんな場所であろうと長く住み慣れると都と同じように住み心地がよく、離れにくくなるというが、日本に来た外国人たちも同じような気持ちを抱えているようだ。日本に対して興味がない人でも日本が都になるわけだから、日本が大好きで来日を決めたという外国人はなおさらである。一般的には海外で暮らす人が母国が恋しくなるのがホームシック。しかし、日本に住んでいた人が母国に帰ったあとに住み慣れた日本に対してホームシックになるという逆ホームシックという現象があるそうだ。実際に私の友達で日本に交換留学に来ていたアメリカ人やフランス人、中国人、台湾人のほとんどが留学期間終了後も日本を訪れ、日本で仕事を見つけて生活している。やはり、母国に帰った後に日本に戻りたいと願う逆ホームシック外人と言うのは多いようだ。
オーストラリア、シドニーに住む女性Firesong3さんも例外ではないようだ。
「日本に住んでいた人で帰国後に日本が恋しくなっている人っていませんか?私は日本のことを比較的すぐに忘れて、オーストラリアでの勉学に集中できたんですが。つまりクレイジーになるほどではなかったわけです。でも最近、こっちで日本人の交換留学生と友達になって、その友達がみーんな日本に帰国しちゃって。それでまた、逆カルチャーショックで悩んでます。
もう全てが恋しい。お店に入った瞬間の“いらっしゃいませ!”の連呼とか、私がファイナルファンタジーやKAT-TUN、花君の話をしている時の人の反応とか。よく買っていたパン屋さんのお姉さんのためらいがちなブロークンイングリッシュとか。さつまいもとか。でも一番はやっぱり日本でできた友達に会いたい。
こっちでの友達や家族ともうどのように繋がればいいかすらわからなくなってしまうほど日本が恋しいんです。
日本にいない時の日本への恋しさはどのように止められるでしょうか?」
海外に住んでいた日本人にも同じような現象があると聞くが、この逆ホームシックとやらはホームシックと同様、厄介な問題のようである。彼女の悩みに、日本好き外国人たちはこのように回答している。
●「時間がたてばその気持ちも落ち着くかもしれません。私は日本を去ってから40年になりますが、今でも日本の全てが恋しいですが、同じように日本を恋しく思っている人と仲良くなれば少しは気が楽になると思います。」(アメリカ人男性)
●「同じ国の出身としてFiresong3さんの気持ちがよくわかります。私は日本に7年間住み、2005年に帰国しましたが、今でも日本を恋しく思います。日本は私にとって本当にいい国で、最高にいい思い出ばかりです。今は翻訳家として生計をたてているので、今でも日本はいいことばかりでした。今度あなたが日本に帰るときに良い時間を過ごせることを願います。今はとりあえず勉強に集中して下さい。あとで日本に戻れるんですから!それとオーストラリアでも日本人の友達を作って、日本にいた時にあなたがされたようにあたたかく迎えてあげてください。あなたの悲しみをきっと忘れさせてくれるでしょう。」(オーストラリア人女性)
●「ファイナルファンタジーやKAT-TUNが何なのか僕には全くわかりません。ショップ店員も僕をいつも無視するし、日本にいてしばらくすれば親切なブロークンイングリッシュの説明もイライラしてきます。そして日本人であなたが一番ありがたいと感じる人が、あなたが日本人ではないことに気づいた様子すら見せない人になるはずです。日本に本当に長く住めば、日本はただの場所で日本人もただの人であることに気が付くでしょう。」(アメリカ人男性)
●「お金を貯めて戻っておいで。ただし、人生はファイナルファンタジーや漫画の世界じゃないぞ。日本にいた時の友達とはまだ連絡取ってるの?スカイプでもしてみたら?僕は日本で14年暮らしているけど、日本に熱狂する気持ちはすぐに落ち着いたよ。店員のいらっしゃいませの声も今ではもう気が付きもしないよ。」(アメリカ人男性)
●「私もFiresong3さんと同じ気持ちです。ただの旅行者と日本の言語やカルチャーを日本に行く前に勉強する人とでは差があるように思います。それに何年も日本にいても外国人としか会わない人もいれば、滞在が短くても日本人と会って文化や習慣を学ぼうとする人もいるので、滞在の長さと日本への恋しさは比例しないように思います。」(フィンランド人女性)
●「僕は1986年から1991年まで日本に住んでいました。今でも日本のことを思いだし、胸が痛くなります。僕が日本にいた時は、日本にいることがすごく自然なことのように感じました。僕の願いは透明人間になること。外国人扱いされるのが嫌でした。僕がFiresong3さんに言いたいのは、“日本を恋しく思う気持ちを失くさないで”ということ。ありがたく思うようにしてみては?日本での写真を見る時間をとって、良い思い出をふり返って笑ってください。でもその気持ちをあなたの友人や家族が理解してくれなくても悪く言わないようにして下さい。」(カナダ人男性)
●「僕の嫁は日本をすごく恋しく思っているよ。でも彼女が日本にいた時に一番文句を言っていた食べ物が今では一番恋しいみたい。」(ハワイ出身男性)
●「日本を離れたら私も絶対恋しくなると思う。でも日本を離れてしまうのにはいつも理由があるでしょ?私もビザの更新が承認されなくて思っていたよりもずっと早く帰国しなくちゃいけなくなった時はすごく必死になったのを覚えているわ。自分で決めて日本を離れるにしても、それは簡単なことじゃないと思う。あなたが日本が恋しくて仕方がないのなら、もう一度日本に行く方法を模索してみたら?もしかしたらただ“戻る”ことでも満足しちゃうかもよ。」(ドイツ人女性)
同じような気持ちになったことのある日本好き外国人の意見では“もう一度日本に戻ればいい”という人が多かったようだ。遠い外国だからそう簡単に行けないような気がするが、遠いようで本当は近かったりするのが外国だ。まずは、母国でそんな自分のために何ができるのか考えてみることから始めるといいのかもしれない。
参照:jref.com