19日、スタッドフランス近くのサン・ドニでテロリストとの銃撃戦があった頃、私はパリのレピュブリック広場(共和国広場)にいました。テロがあったパリに住む人として、一度は行って見ておくべき場所だと思ったからです。
フランス共和国を象徴するマリアンヌ像が中心に立つこの広場は自由と革命のシンボルで、多くのデモがこの広場から始まります。シャルリーエブド事件のときも、パリ中から多くの人がこの場所に集まり、死者への冥福とパリの平和を願った地でした。
地下鉄駅から地上にあがって来た光景がこの一枚。事件から5日たった昨日も、レピュブリック広場には多くの人がいました。人ごみはあるのに水を打ったようにとても静かで、遠目から何ともいえない独特の雰囲気が漂っているのがわかりました。
まず目に入ったのは、「MÊME PAS PEUR (怖くなんてない!)」の文字。テロの翌日でも、普通に過ごすフランス人たちの「テロに屈しない」覚悟のようなものを感じました。
そして、数え切れないほどの蝋燭とお花、平和へのメッセージが所狭しと置いてありました。
ところどころに、今回のテロで亡くなった人の写真も貼られていました。どこにでもいそうな、普通のカップル。どうして死ななくてはいけなかったんでしょうか?
マリア像も置かれていました。そこだけ、ポッと灯がともったような静寂さがあり、平和を祈る気持ちを代弁してくれているようでした。
写真をとる人もいれば、蝋燭の火を点す人も。しかし、大多数の人がその場に描かれていたメッセージを静かに読んでいました。
クリアファイルが置いてあり、なかを広げてみると、パリの子どもたちが描いた絵がファイリングされていました。
そのなかでも、最も印象に残った絵がこれ。これを描いた子は、今回のテロのことをどんなふうに理解したのでしょうか。
安らかにお眠りください。
Thank for all friens world thinking for “PARIS”.
世界の皆さん、パリのことを考えてくれてありがとう。
ふと見上げると、この石造がこちらを見下ろしていました。まるで、悲しみに包まれた私たちを優しく包み込んでくれているようでした。
広場には平和の祈りを捧げる、僧侶もいました。彼の名前は、関口豊重さん。日本人男性です。
世界各国のマスコミたち。フランス語、英語、ロシア語、スペイン語、イタリア語など、様々な国の言葉が飛び交っていました。
最後に、この動画を紹介します。
このイスラム教徒の男性は、レピュブリック広場で目隠しをした状態で「私はイスラム教徒ですが、信用してもらえますか?信じてくれるならハグをしてください。」と呼びかけました。
イスラム教徒=テロリストではありません。
悲しみと憎しみの連鎖が、これ以上続きませんように…。
そんな世の中をつくっていくことが、テロで亡くなった方たちにできることなのかもしれません。