海外で生活する日本人が一度は経験するホームシック。文化の違いや言葉の壁などから日本での生活のようにスムーズにいかないことも多く、ストレスを感じてしまう人も少なくありません。
海外生活をしていて、ストレスを感じている日本人の方はかなり多く、3割以上の方がストレスをためて生活しているという統計もあります。
私はフランスに暮らして4年になりますが、これまで何度も海外生活特有の「憂鬱な気分」に襲われました。「日本に帰りたい」と思うことも数えきれないほどありました。
そしてこの“うつな気分”を繰り返しているうちに、不安にならない方法やうつな気分になる理由を考えるよりも、気分が落ち込んだ時にどう対処するか?という対処法を身につける方が賢明なのでは?と思うようになりました。世間の人は誰でも順風満帆に見えますが、ちょっと深いところを覗いてみるとどんな人でも悩みや不安を抱えているものです。
海外で生活しているあなたが今抱えている孤独の苦しさや将来への不安、何だかわからないけど暗い気持ちになることは、誰にでも起こることなのです。
そこで今回は、実際に私がやってみて効果があった「海外在住者特有のうつな気分を今すぐ吹きとばす6つの方法」をご紹介します。
まずは深呼吸をして、今の自分の状態を受け入れて下さい。気分が晴れない今のあなたをそのまま肯定し、受け入れてあげることから始めて下さい。それから以下の対処法を読んでみて下さい。
何となく暗い気持ちになってしまった海外在住者の方の気持ちがだんだんと晴れていきますように…。
1.体を動かす
気分が落ち込む時ほど体を動かしてください。人はうつな気分になると体を小さくして固まる傾向にありますが、これは逆効果です。気分がすぐれない時はちょっと面倒でも、体を動かしてみましょう。
体を動かす方法で、一番おすすめなのがお散歩です。うつ病の治療にも効果があり、落ち込んだ気分を一気に吹き飛ばすには最良の方法だと心理学の世界でも知られています。アメリカの大学のある実験では、コーヒー1杯よりも20分のお散歩の方がリフレッシュ効果大と結果が出ているそうです。
自然な呼吸をしながら周りの景色をながめつつ、ゆっくりお散歩してみると家でウジウジと悩んでいたことが頭から離れ、すっきりとした気分になります。
天気が悪くて外にで歩けない時は、YOUTUBEのダンス振付ビデオやYOGAビデオなどを見ながら体を動かす方法がおすすめです。Wiiのジャストダンスやフィットネスパーティーも画面に合わせて楽しくダンスできて、落ち込んだ時にやっても気分が爽快になります。
汗といっしょに嫌な気分を外に流してしまいましょう!
2.「海外にいる」を理由にしない
海外生活をしている方、気分が落ち込む理由を全て「海外にいるから」と思っていませんか?
海外で思い通りにいかないとき、孤独で苦しいときにはよく「海外にいるからこうなるんだ」、「日本にいればこんなことにはならないのに…」と考えてしまうものです。しかし、本当にそうなのでしょうか?
日本に帰国すれば問題は全て解決し、何の不安やストレスもなく生活できるのでしょうか?日本に住んでいる人は孤独やストレスを感じて生活していないのでしょうか?
答えはノーです。人間はどこにいても、母国にいようが海外にいようがストレスを抱えながら生きているのです。
海外にいるからストレスがたまるのではない
生きているからストレスがたまるのだ
ストレス学を創始したハンス・セリエは「適度なストレスがなければ、人類は滅びる」と言っています。ストレスのない状態というのは、母親の胎内にいるときくらいなもので、そんな状態では人間は眠っているしか能がありません。
つまり、ストレスのない世界はないわけです。言い換えれば「生きる」ということは、「ストレスとつきあう」ということ。
海外生活をしているとストレスがたまるなと嘆いて、暗くなる必要はありません。たまったストレスはどこかで発散すればいいだけです。
今あなたが海外生活をしていて感じているストレスは、日本に帰国すればなくなるものなのかもしれません。しかし、日本で生活すれば全くストレスのない生活ができるというわけではなく、また新たな悩みや不安が生まれてくるわけです。
そういう意味ではあなたのストレスは決して特別なものではありません。日本に住んでいる人も、海外に住んでいる人も大なり小なり抱えている“人生につきもの”のストレスです。
「海外にいること」を理由にして嘆くより、ストレスとの上手なつきあい方=生きる方法を考えるようにしましょう。
3.大切な人のことを考える
人が悩んだり落ち込んだりするときは、自分のことに集中して考えてしまいます。自分の抱えている不安やストレスに注目すればするほど、その悩みは大きくなり、ますます気分は落ち込んでしまいます。不安は自分にこだわればこだわるほど大きくなるのです。
気分が落ち込むときというのはある意味で“自己中心的な行動”だと言えます。ですから気分が落ち込んだ時ほど“他の人”のことを考えるようにしましょう。
贈り物をするというのもいい方法です。母の日、父の日に何をあげよう?、友人のおみやげは何にしよう?とあなたの大切な人が喜びそうなことを考えてみるのです。
自分のことは脇に置いておいて、あなたの大切な人のことを考えてみましょう。その人の立場になって、どんな生活をしているのか、どんな時に喜びを感じるのか、どんなことで悩んでいるのか想像してみるだけでもいいです。
とにかく自分にこだわることを減らして、その分他の人のことを考えるのです。そうすれば、周りの人にハッピーを与えることができ、あなたも必要以上に深く悩むことを防ぐことができて一石二鳥です。
4.名言集を見る
私は気分が何となく落ち込んでしまった時には、携帯のアプリやインターネットなどで偉人や有名人の残した「名言」を見ることにしています。
偉人が残した心に響く言葉を読むと、何だか偉人に直接励まさたり、説教されたような気分になります。そしてそのうち悩んでいること自体がバカバカしく思えてくるものです。
そこで気分が落ち込んでいるあなたに、私の好きな名言をいくつか紹介します。
・寒さに震えたものほど太陽を暖かく感じる。人生の悩みをくぐったものほど生命の尊さを知る。(ウォルト・ホイットマン)
・悲観主義は気分に属し、楽観主義は意思に属する。(アラン)
・天地をもつてわが心とせば、いたるところに安楽あり。(慈雲)
今のあなたの心に響く名言はたくさんあります。ぜひ、名言集を活用してみて下さい!
5.日本語に触れる
海外で生活する日本人が一番しているストレス発散方法がこれ。日本のドラマやバラエティ番組、アニメや漫画を見て気分転換をするという人が多いようです。
個人的にはポッドキャストやインターネットラジオがおすすめです。テレビはだらだらと時間を無駄にしてしまいますが、ラジオなら家事や散歩をしながら聞けるので、時間を有効に気分転換ができます。
特に、リスナーのはがきを読むものが個人的にお気に入りです。リスナーから番組に寄せられたくだらない話や恋愛相談、笑い話などを聞いていると、自分の悩みが馬鹿らしく思えてきます。
聞き終わる頃には気分がすっきり明るくなっているはずです。あなたの好きな日本語のエンターテイメントを探してみて下さい!
6.自分の住んでいる都市の旅行ガイドを見る
海外に長く滞在していると、その土地の嫌な所や問題点ばかりが目についてきます。その土地に最初に来た時の新鮮な驚きやわくわく感があせていき、反対にネガティブな部分に目がいってしまうようになります。
しかし、どんなに日本がいいと思っても、あなたが住んでいる国・都市にしかないいいところがあるはずです。
私がパリに住んでいた時は、毎日重い曇り空のパリの天気や、自分勝手で冷たいパリジャンに嫌気がさしていました。そんなある日、友人から日本の旅行会社が発行した「パリの旅行ガイドブック」を借りたことがあります。
パリの旅行ガイドを見て、私は衝撃を受けました。本の見出しには「パリっ子に人気のパティスリー」、「パリに行くなら絶対に行っておきたいショッピングスポット」、「地元の人しか知らないパリの必見!穴場レストラン」などの文字が並び、写真とともにパリの素晴らしいところを紹介してありました。それまでパリのネガティブな面しか見ていなかった私は、パリにはこんなに楽しめることがあるのか!と感心したのを覚えています。
それと同時に、今では生活になじんで当たり前となっているフランスのワインやチーズ、生ハムやマカロンなどの食べ物も旅行者にとっては何ともありがたいものなんだと知り、それからはフランスのものが食べられることに毎日感謝するようになりました。
見方を1つ変えるだけで、あなたの世界が違って見えてきます。その土地の嫌なところではなく、素晴らしいところに目を向ければ、海外生活も自然と楽しくなってきますよ!
これだけはしない方がいいこと!
反対に落ち込んでいる時にしない方がいいことは、日本にいる家族や友人に電話して“海外生活のさみしさ”を訴えることです。
海外生活をしている人特有のホームシックや気分の落ち込みなどは、実際に海外に生活したことのない人にいくら説明してもわかってもらえません。子どもがいない人に子育ての大変さを説明しても想像しかできないのと同じように、やっぱり実際のところはわからないのです。
電話をした瞬間は寂しさがなくなったように感じますが、それはその場しのぎにすぎず、根本的な解決にはなりません。人にわかってもらおうという期待をするのではなく、自分で海外生活の辛さと立ち向かう対処法を探してみて下さい。
きっとストレスや憂鬱な気分とうまくつきあえるようになりますよ。
おわりに
あまりにホームシックがひどい場合は、日本に一時帰国するのも一つの手だと思います。しかし、帰国となると今すぐにできることではないので、とりあえず今の気分を変えるためにここに挙げた6つの対処法を実践してみて下さい。
それでも気分が晴れなかったり、誰かに話を聞いてもらいたかったら、
話を聞くことだけならできるので、私でよければメールで連絡してみて下さい。一緒に克服する方法を考えましょう!