ホーム国際人「息子をハーフと呼ばないで!」日本で子育てする外国人パパの主張

「息子をハーフと呼ばないで!」日本で子育てする外国人パパの主張

ローラ、ダレノガレ明美、トリンドル玲奈、春香クリスティーンなど、最近テレビや雑誌でよく目にするようになったハーフの芸能人。メディアで多く取り上げられても、人口の98.5%を日本人が占める国では実際にハーフの子供に会ったことのある人は少ないのではないだろうか。

「ハーフは少数派という事実がハーフの子どもを苦しめている」そう語るのは、日本で1歳になる息子を育てている外国人パパのライアン・サーディックさん。日本最古の英字新聞JapanTimesで、彼は日本でハーフの子育てをする難しさや悩みなどを語っている。そこで今回は「日本でハーフとして生きること」をテーマに、外国人の親たちが抱える不安や悩みを取り上げる。

 

「ハーフであることだけが息子のキャラクターではない」

『ハーフが美人なんて妄想ですから! !』の著者サンドラ・ヘフェリンさんは自身のブログで「ハーフといじめは切っても切れない関係」と語っていたように、日本で育つハーフの子どもは周りとは違うという理由で仲間はずれにされたり、嫌な経験をしてしまうことも少なくない。ライアンさんは息子はまだ1歳なので、そのような疎外感を感じたことはないと語るが、少し癇に障るコメントを度々耳にするそうだ。

それは「やっぱりハーフの子はかわいいね!」とか、「ハーフの子は目が大きいね!」といったハーフの子を特別視したような褒め言葉である。

彼いわく、欧米では本人を目の前にして”ハーフ”呼ばわりすることなんて考えられないそうだ。英語での”half”には「完全ではない」というニュアンスを含み、ピュアではないという意味も含まれるという。もちろん日本語での”ハーフ”にはそのようなマイナスの意味を含まないが、ライアンさんが懸念するのは日本語の「ハーフ」という言葉の背景にある偏見だそうだ。

以前、マダムリリーでも日仏ハーフのかやさんにハーフに対する偏ったイメージと現実のギャップについてインタビューをしたことがある。彼女もライアンさんと同じく、「ハーフの子は英語ができて当たり前で、国際経験が豊富。見た目が西洋人っぽいが、どこか日本人っぽさをもった人」というイメージを勝手にもたれてしまうと語っていた。そしてそのイメージはなかなか消えてはくれない。かやさんいわく、新しい環境で新しい人に出会ってもハーフに関する質問ばかりされ、自分の中身を知ろうとしてくれないことが多いという。

もちろん、先入観というのは何も日本人に限ったことではないし、どこの国でも特定の人種をカテゴライズしたり、偏見をもつことも珍しくない。ハーフの息子を育てる外国人パパのライアンさんが一番心配しているのは、日本特有の「内と外」の概念がより問題を複雑にしているのではないかということだ。日本人はハーフをいつまでたっても「内」として捉えてくれないのではないか。見た目がどう見ても純日本人とは違うハーフの子を、自分と同じ仲間だと見てもらえるのか不安だという。

どこに行っても「ハーフ」というラベルの話をされる息子は自分を日本人であると自覚できるのだろうか?いや、むしろ自分も同じ日本人だと認めたくなくなるのではないか?”ハーフ”というレッテルのせいで、日本を嫌いになってしまうのではないか?

それがライアンさんの子育ての悩みだそうだ。

 

ライアンさんの不安に対する外国人の反応

日本で子育てをする外国人は多かれ少なかれ、こういった悩みを抱えているという。日本人のハーフに対する偏見にはどのように対処していけばいいのだろうか。そこでライアンさんの悩みに対する外国人のコメントで興味深いものをいくつか紹介する。

「息子をハーフと呼ばないで!」日本で子育てする外国人パパの主張

「父親として息子を守りたいと思う気持ちはわかるけど、ライアンさんの主張にはあまり賛成できないな。僕はアメリカで育って、これまで色んな呼ばれ方(アジア人、中国人、日本人、韓国人、チンク、ゴウクなど)をしてきた。侮辱されて傷ついたこともあったけど、結局そんなのはどうだっていいんだよ。そういうことを言う奴は、自分がどういう人種かを定義しているだけで、自分を仲間はずれにしているわけではないんだから。筆者は母国で多数派民族として育った親だから息子の人種に対するコメントに過剰反応してしまうのかもしてないけど、親も子どもも気にしなきゃいいんだよ。」(Matt aka SUPERSCHEU さん)

 

「日本人妻との間に8か月になる息子がいます。息子を”ハーフ”と呼ぶ人がいたら、僕はいつも“ハーフではなくダブルです”と訂正しています。そうすると、大抵の日本人はわけがわからないという顔をされますが。それでも息子は国籍が2つあり、母国語も2つ、文化も2つだから”ダブル”だと説明しています。これからも訂正し続けるつもりです。」(Max Erimoさん)

 

「日本人男性と結婚したオーストラリア人です。息子2人は日本で生まれ、6歳までは日本で暮らし、その後フランスで生活しました。フランスに来て間もない頃、息子が私に聞きました。“何でここでは僕の写真を撮ろうとする人がいないの?僕がかわいいってこと知らないの?”と。これを聞いて、私ははっとしました。これは日本で暮らしてきたからだと思いました。日本にいたころは息子たちはハーフで珍しがられ、可愛いからとよく写真を撮られていたので。」(TokyoJulesさん)

 

「小学生と中学生の僕の子どもたちはハーフの偏見に困っている様子です。”どれくらい英語がうまいの?”と聞かれたり、”やっぱり背が高いね!”とか”鼻が高いね!”と言われたり。親の僕にとっては面白いですが、いつもいつも同じようなことを言われるのに疲れているようです。でも今のところ、侮辱されたり、反感を持たれたりすることもないので別に気にしていないようです。僕が小さい時も親や親せきがいつもどれだけ身長が伸びたかを聞いてきてウンザリしたのを覚えています。僕のハーフの息子たちも同じように感じているのではないかと思います。そんなに深刻に捉える必要はないんですよ。

“日本ではハーフに対する偏見は根深く、一生子供にはレッテルがついてまわる”と言いますが、そうでしょうか?僕はそうは思いません。息子の友達はみんな息子の性格を好んでつきあっているように感じますけど。」(Bernd Bauschさん)

 

「僕もハーフの息子がいるから筆者の言いたいこともわかるけど、同意できないなぁ。日本語のハーフと英語のhalfは同じじゃないわけだし。それにハーフの子どもは珍しいってこともあって、いつでも人の注目を集められるんだから得していることもあるんじゃない?日本では外国人の子どもも注目されやすいわけだし。日本人はハーフを傷つけようとしているわけではなくて、単に興味があるだけだよ。」(David LaSpina / JapanDaveさん)

 

国際結婚カップルは年々増えハーフの子が増えつつあるが、まだまだ日本では少数派で特別視される傾向にあるハーフの子どもたち。あなたはどう思いますか?

 参照

 

関連記事

59 コメント

人気記事

最新のコメント