ホームジャパン世界に誤解されている“日本の自殺” 日本人なら知っておくべき5つのこと

世界に誤解されている“日本の自殺” 日本人なら知っておくべき5つのこと

外国人と話していると、よく聞かれる質問のひとつに「日本って自殺が多いんでしょう?」というのがあります。確かに日本は他の先進国に比べて自殺者の多い国ですが、「自殺が多い国」というイメージに尾ひれがついて誇張され、実際のデータとは違う認識をしている外国人も少なくありません。

海外では誤解されていることが多い「日本人と自殺の問題」。日本好き外国人のAustinさんも、外国人がイメージする日本の自殺問題と現実にはギャップがあると指摘しています。そこで今回は『日本の自殺問題』を、外国人が勘違いしがちなポイントを交えながら、解説してみます。海外の人に「日本の自殺問題」について意見を求められた時の参考にしてみてください。

 

1. 日本は世界一自殺者の多い国ではない

世界に誤解されている“日本の自殺” 日本人なら知っておくべき5つのこと

日本は自殺が多いことを知っている海外の人はよく、「日本は世界で一番自殺が多い国なんですよね?」という言い方をしますが、正確に言うと“世界一多い”わけではないです。上のランキングは、Wikipediaにある「国の自殺率順位リスト」ですが(ここのデータが一番新しい感じがした)、このリストによると日本の順位は世界で12位。“先進国”のなかでは一番自殺者数の多い日本ですが、”世界一”というのは間違いです。

 

2. 日本での自殺件数はここ数年減少傾向にある

世界に誤解されている“日本の自殺” 日本人なら知っておくべき5つのこと

日本での自殺者は年々増加傾向にある…。そんなことをにわかに信じている外国人もいます。それもそのはず。誤解の原因は海外のマスメディアが毎年のように「日本での自殺者数が3万人を越えました!」、「日本では自殺問題が大きな社会問題となっています!」などと大々的に報道するからです。間違った情報ではないのですが、”日本は自殺が多い”という一面のみを伝えようとする海外の報道を見るといつも不愉快になります。

2014年版の自殺対策白書によると、日本の自殺者数は2年連続で3万人を切り、減少傾向が続いています。日本での自殺者数は2000年以降減少傾向にあり、自殺者数と自殺率ともに年々少なくなっています。日本で最も自殺が多かったのはバブルが崩壊した後の1990年代後半から2000年にかけてで、1998年には自殺者数が3万人以上となり、史上最も多い自殺者数を記録しました。2003年では3万4千427人が自殺し、これは1日に100人が自殺で亡くなるという計算になります。

 

3. 日本で一番自殺の多い都道府県は”東京”ではない

世界に誤解されている“日本の自殺” 日本人なら知っておくべき5つのこと

海外のメディアが日本の自殺問題と取り上げると、必ず「都市部のビジネスマンのストレスや過労」を問題点として取り上げます。それが影響しているのか、日本での自殺の多くは東京都であるという認識をしている海外の人も多いです。

そこで都道府県別に日本での自殺件数を調べてみました。(資料:内閣府自殺対策統計より)

  1. 日本で一番自殺率が多いのは、岩手県。
  2. 自殺の多い都道府県のトップ5はいずれも都心部ではなく、どちらかというと田舎の地域。
  3. 自殺の件数が多いのは東京だが、これは人口の多さを加味すると当然である。東京の自殺率は日本全体の平均よりも低い。
  4. 大阪府の自殺率は東京都より低い。

 

4. 自殺者の傾向は、景気と年齢に左右する

なぜ、日本で自殺の多い都道府県は田舎が多いのでしょうか?それは、大都市に比べて県民の平均年齢が高く、景気が悪いところが多いからだといいます。日本の自殺問題は、景気動向と自殺者の年齢に相関性があります。

景気: ウィキペディアによると、有効求人倍率と自殺率には強い負相関が存在し、従業員5人未満の零細企業の倒産件数は自殺率と強い正の相関がある。働ける場所が多いと自殺率は低くなり、倒産が多いと自殺率が高くなるということ。日本の田舎では一般的に大都市に比べて不景気の影響を受ける人が多いので、地方での自殺者が多いという結果になる。

年齢: 自殺の原因に直接関係する、失業や倒産、離婚などは40代以上の人が経験することが多い。若い人が少ない地方では、40代以上の人口の割合が高くなり、よって自殺する危険性がある人が多いということになる。

 

5. 電車の飛び込み自殺をする人は意外と少ない

世界に誤解されている“日本の自殺” 日本人なら知っておくべき5つのこと

外国人が日本に来て驚くことの一つに、自殺による人身事故の多さがあります。電車内のアナウンスで「人身事故のため~」という言葉を聞くたびに、日本ではこんなに飛び込み自殺をする人がいるのかとショックを受けるそうです。確かに、筆者はパリ在住で毎日地下鉄を利用していますが、パリでは日本のように頻繁に人身事故がないように感じます。

事実、自殺のというのは国ごとに異なるそうです。WHOの調査によると、アメリカで多い自殺の手法は銃殺。農業国では殺虫剤を使った自殺が多いそうです。

日本では自殺手段でみた場合、男性は縊死(66.4%)、ガス(13.3%)、飛び降り(7.1%)、薬物(3.3%)、溺死(2.3%)、飛び込み(2.1%)、その他(5.8%)の順で多く、女性は縊死(58.9%)、飛び降り(12.8%)、薬物(6.7%)、溺死(6.7%)、ガス(4.8%)、飛び込み(3.6%)、その他(6.5%)の順です(平成15年)。

 

今後の焦点

海外でも注目される日本の自殺問題。世界で報道されるなかで、実態とは違う大袈裟な情報が流れることもありますが、日本が「自殺の多い国」であることは間違いありません。

2014年版の自殺対策白書によると、アメリカやドイツなど先進国のなかで、日本だけが若い世代での死因のトップが自殺であることが分かりました。若い人が生きる気力をなくす国というのは、何とも悲しい事実だと思います。世界の人に「日本は自殺が多いんでしょう?」なんて聞かれなくなる時代が来てほしいものです。

参照:Tofugu

関連記事

17 コメント

人気記事

最新のコメント