ホームジャパン【日本に住む外国人の疑問】日本はホントに"古くさい"国なのか?

【日本に住む外国人の疑問】日本はホントに”古くさい”国なのか?

外国人に日本のイメージを尋ねてみると、意外にも”conservative”という言葉が出てきます。conservative(コンサーヴァティブ)とは、「保守的な、伝統的な、古風な、古臭い」という意味。日本に住む外国人のオースティンさんもそんな風に思っていた一人で、日本で生活した当初は、日本は保守的な国だと思っていたそうです。
しかし、日本で暮らしているうちに徐々に”日本はconservativeとはちょっと違うのではないか?”と疑問に思うようになったそうです。そこで今回は、そんな日本在住外国人のオースティンさんが思う『日本の古臭さ』についてご紹介します。あなたは日本が保守的な国だと思いますか?

conservativeの定義:
ここで彼が定義するconservativeの意味をはっきりとさせておきましょう。conservativeとは、個人よりも集団を重んじ、変革を拒否すること。また、社会的もしくは性的モーレス(社会的習慣)において現状維持を重んじることをこの記事では指しています。

 

考察1:政治

【日本に住む外国人の疑問】日本はホントに"古くさい"国なのか?日本での政治のスタンスは保守的である。これまで何回政権交代したかを考慮すれば、日本の政治がいかに保守的かがわかるはずだ。これまで総選挙を経た政権交代は日本の歴史の中でも、たった4回だけである。1955年から2009年まで一時期の例外を除き長期にわたって日本中央政界で自民党政権が続いていた。
 それに加え、日本のメインの政党である自民党はどちらかというと保守的な政党だ。例えば、他の多くの政党が同性カップルの法的承認を指示しているのに対して、自民党は厳しく反対している。最近に至っては、集団的自衛権の行使容認や首相による靖国神社参拝などナショナリストな側面を呈している。

考察2:社会

他の東アジア諸国に比べると、日本はあらゆる点において非常に寛大、自由主義的な国である。例えば、Pew Attitudes Reportのモラリティーに関する国際調査によると、日本人の過半数が中絶手術を”容認できる行為”とみている。また、離婚や避妊用具、同性愛に対しても比較的多くの人が容認しており、この割合はアジアではトップである。
しかしながら、日本は他の国に比べ“アルコールを不道徳なものとして見る”人の割合が世界で一番低い。これは日本で生活していると、何となくわかる。

考察3:性的事柄

日本はこれまで性を商業化してきたが、これらの性的なグッズは社会であからさまに現れているものではない。傍から見ると、日本人は性に興味がないのではないかとすら思わせるのが、日本独特な点である。
例えば、昔ながらの伝統的な日本の企業は飲み会をストリップクラブでする。カプセルホテルに内蔵された小型テレビには必ずAVのチャンネルがある。日本最大の繁華街である歌舞伎町は、性的商業物がいかに日本で当たり前のことかというのを指し示すシンボルのような街だ。

考察4:ジェンダー

【日本に住む外国人の疑問】日本はホントに"古くさい"国なのか?

日本で性的商業物が当たり前になっているからと言って、誰もが性について大っぴらに話すというわけでは決してない。それではなぜ日本人男性は性的商業の場に行くかと言うと、個人のプライベートな会話を避けつつ、真面目な固い話をしないための策なのではないかと僕は思う。
しかし、男性が性的なものを利用するのは社会である程度認められたことであるが、女性が利用するとなると話は別で、非難される場合が大半だ。これはつまり、性別による役割に対して日本が比較的保守的な見方をしていることを示している。これを踏まえて日本でのジェンダーの問題を観察すると…

  • 政治 – これは男の場。国会議員のうち女性が約8%で世界平均を下回る127位。先進国では最低だった。日本は480人中39人で約8%。(朝日新聞
  • 教育 – 高等教育に至っては、男女に受けさせる教育の違いが明らかである。例えば東京大学の男女比は8:2。男の浪人生は女の浪人生の3倍。4年制大学ではなく、短期大学に通う人も女性に多い。
  • 就職 – タイム誌が紹介するデータによると、女性労働者の給与は男性より約30%低い。厚生労働省のデータでは、民間企業での女性管理職は11%。女性の市長は0.8%。
  • 社会 – 日本で飲み会をすると、女性が男性にお酌をする姿をよく目にする。これらの伝統が未だに重んじられている点を考慮しても、日本では”女性は仕えるべき存在”という見方が根強いことがうかがえる。

 

まとめ
結論として、“conservative”という言葉は日本を正しく表現している言葉ではないと思う。”古臭い”というよりは、“change-resistant”(変化に抵抗する)国と言った方がしっくりくる。事実、日本では事の進行が遅いことがよくある。日本がロボットで溢れる超ハイテクな国だと信じている外国人には信じがたいだろうが、日本の組織というのは変革に及び腰なところがある。
 もちろん、日本が”保守的”で”古臭い”国なのかどうかは、あなたがそれらの言葉にどのような定義を持たせるかによる。しかし、日本は他の国や近隣諸国と比べて”非常に保守的”だとはいいがたい。あなたはどう思うだろうか。

 参照:TOFUGU、写真:Giuseppe Milo

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12 コメント

  1. そんな分析に、何の意味もない。
    ある一点から分類して、理解した気になるのはバカか詐欺師の特性。
    物事にはいろんな視点があることを知らないのか。

  2. 外国人の知ってる「変化の無い」日本はごく近代に限った話じゃないのかな
    アメリカみたいな歴史の浅い国から見れば十分長い年月変化が無いと思われるのかもしれないけど
    日本の江戸・明治・大正・昭和・平成の変化の激しさを考慮してもらいたい
    完全に西洋文化とかけ離れた文化で歴史を刻んできた国なんだもの
    日本人からしたらこれでも十分激変してるんだよ

  3. このオースチンなる人物が、何処の国の出身なのかは分かりませんが、明らかにキリスト教的な価値基準を元にして考察しています。
    つまり自身の基準を「正しい物差し」として日本の文化を比較している。
    この様に、他の文化を素直に理解する以前に、自己の文化を基準に分析しようとする事に意味は有りません。
    飲酒だの性に関するモラルだのはキリスト教の偽善的な「建前」と比較しても、だからどうだと。
    過去からの連綿と続く暗黙の社会規範を守る事が保守的とするなら、文化の継承は失われるでしょう。
    日本人は自分達の生活に合う様に暮らしてきたなかで、かなり柔軟に社会構造を適応させて変化し続けてします。
    宗教的教義の様な「絶対不変」の基準に固執しません。
    男女平等に対する欧米的な、男女が社会で同等の役割を担うべき、という価値観と、日本的な男女の特性に合った「役割分担」こそ公平と考える生き方とは、相容れない。
    現在の日本で、社会的に女性が差別されていると感じている女性がどの程度いるのかも考察してもらいたいものです。
    国会議員の半数が女性ならば「平等」なのか。
    肉体労働の場でも女性が男性と同等に働く事が正しいのか。
    この人物と議論をするのは、全く不毛な論争でしかないと思います。
    彼が、日本の社会を、どの様に解釈し、評価しようが勝手にしてもらって結構です。
    日本人のやり方に口を挟むような御節介さえしなければ。

    • 役割分担はもちろん普通で、どこの社会でもやっています。

      しかし、「男女の特性に合った役割分担」はつまり、男女差別そのものです。
      なぜかというと、実際に起きているのは、「男性の都合に合わせて勝手に決めつけた、いわゆる「女性に合う役割」が女性に押し付けられる」ことです。また、こういう「女性に合う役割」は非常に限られている割に、「男性に合う役割」は無量無数。
      これはもちろん、日本だけの問題ではありません。殆どの国はそうやってきています。日本はどっちかというと男女平等が進みつつある国です。

      「男女の特性」はそこまで一般化できないというのは問題です。「自分に合う役割」は性別より個人の性格と能力によります。ある女性に一番合う役割は政治家かもしれません。研究者かもしれません。ある男性に一番合うのは保育者かもしれません。専業主夫かもしれません。理系に向いている女性はいるし、児童教育に向いている男性もいます。

      「半数が女性でないとだめ」とか「全部の労働を男女同等がやらなければならない」とか、そういうことより、「女性にも選択の自由、将来の可能性」を求めるのは「男女平等」の考えです。一人ひとりが自分がやりたいこと、そしてできることをやっていれば、それは専業主婦でもエンジニアでもいいです。
      個人の能力、特技ではなく、性別によって社会的立場が決めつけられるのは、公平の反対、不公平です。

      ちなみに、60年生まれの日本人女性の日記を読みましたが、彼女の、女性としての経験は、欧米で40年代生まれの女性と一緒です。80年代生まれの日本人女性の経験は、欧米で60年代生まれの女性と似ているのではないかと。ですから、今の若い世代を見ると、男女差別の問題がそのうち、自然に国内から解決されると思います。

  4. なんだろう、この、大昔の来日外人の感想のような・・・
    「逆に」海外の日本に対する考え方って「保守的で古臭い」を裏付けてるような・・
    実際在日してるので解ってる感じな、そうで無い様な・・

    この方は保守的で古臭い国だと「思ってた」ってことは
    現在はそうでは無いと感じてらっしゃるって事?
    とりあえず
    日本は「日本の常識と秩序」で成り立っているし
    他国にそれを押し付けて強制したりしませんし・・・・
    よその良い所は受け入れ、守るべき事は守るでやってきた我が国
    そんな日本に何かしら興味があったり好きになったりしてくれて
    来日されたことは嬉しく思いますが
    他国の常識を「押し付け」られてもふーんそう?としか。

  5. 欧米の視点から見れば、何でもかんでも古臭いと思われるんだろうなぁ。しかしこの人の主観は、ある意味、賛同できる。

  6. 日本が他の先進国から古臭い、変化に抵抗する国と見られるのも分かる。
    たしかに長い歴史の中で日本は何度も変化を繰り返してきたが、それは時代の趨勢による自動的なものがほとんどだし別に最先端ということの反論にもなっていない。

    日本人はいつも目の前の問題に気づいても、今のやり方が悪循環だと気づいてもリスクを恐れてなかなか新しいことに挑戦しようとしないことがほとんど。この国で暮らしているとそれを痛感する。

    この国では国民も、企業も、役人も政治家も考え方やスタイルが途上国型。国内からもこのような批判があるのだから、日本と欧米の文化や宗教的観念の違いがどうなど関係なく、先進国の観念から見ればこの人の見解は間違ってはいないと思う。

    • 日本は伝統的に変化を好まない国というのはわかりますが、途上国型というのは言えないと思います。それに欧米が先進的というのも。
      例えば途上国ではしばしば言論統制が行われますが、日本ではそういうことはあまりありません。無論、タブーとして問題視されることはありますが、法律で話すことが禁じられていることなんて、ほとんどありません。
      欧米では差別的発言やヒトラーに関してなど、法をもって禁じていることがあります。あらゆる問題は相対的であるのに、検証のための議論さえゆるされません。
      それにそもそもここに書かれていることは古いように思います。

    • あのさ、男女平等社会がなぜ進んでいるかというと、性別の問題ではなくて、「らしさ」からの個人の解放だからだ。これはキリスト教的な価値観とはあまり親和性がなくて、むしろ、ヨーロッパではフランス革命の影響で大陸部には「個人の自発的な生き方の選択権」という啓蒙主義的な価値観が根付いたため。
      つまり、ヨーロッパの平等には、その根底に生き方の自由があり、男に生まれたけれど伝統的な社会での男性像に合わない人や、女に生まれたけれど女らしくできない人も平等な生き方を認めるわけだから、結局はジェンダーからの解放につながるってこと。

  7. 欧米の方が、大統領就任演説の時に聖書に手を置いたり、キリスト教系政党に属していたりで
    政教分離が出来ていなくて古臭く感じるけどなぁ?
    多民族国家なら、他の宗教に配慮して個人的な礼拝はともかく、
    国の行事に宗教を持ち込むのはやめればいいのに。

  8. グローバリストの最終目的について多少なりとも調べたことがあるなら、欧米より中国の方がはるかに「先進的」だということが分かる。筆者はそういう視点を持ったことすらないように思える。私の言説の一つの証拠として、昨今の欧米での表現の自由の過度な制限、保守派が理不尽な言論弾圧を受けている明白なる事実が分かりやすい。既存メディア以外から情報を得ている私にとっては、EU圏内の多数派が移民難民の大量受け入れに賛成しているとは到底思えない。社会的抹殺を怖れて本音が話せないというのが真実に近いのでは?もしそうなら民主主義の有名無実化だ。既に中国と大差ないではないか。EUはブリュッセルのグローバルエリートが、中国は共産党エリートが独裁統治しているが、似ていると思ったことがないのだろうか。個人的には、北米もEUも日本も近い将来間接民主制がなくなるだろうと推測している。筆者は日本より欧米が「先進的」と言いたいようだが、それならなぜより先進的な中国を礼賛しないのか不思議でならない。私の見方では、欧米は中国に比して非常に「遅れている」、そして、中国を理想国家だと思ったことは一度もないので、日本が「非常に遅れている」ことを喜ばしく思っている。

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