このブログを通して、海外生活者の方から様々な相談メールを頂きます。マンネリで、何となく充実しない海外での暮らしをどう変えるべきか?という質問に、筆者は「いい趣味をもちましょう」とアドバイスしています。筆者は「これまであなたの海外生活を楽しくしてくれたものは何ですか?」と聞かれれば、語学でも仕事でもなく「趣味です」と答えるでしょう。
日本ではない海外で生活しているからこそ、「いい趣味をもつ」ことが非常に大切なように思います。自分の好きなことに夢中になれる時間をもつことで、孤独感やストレスを感じやすい海外生活もグッと楽しく充実するものに変わるからです。実際に、海外で楽しそうにしている日本人は何らかの趣味を持っている人が多いです。そこで今回は、「海外在住者がいい趣味をもつべき理由」を3つご紹介します。
趣味を通した人間関係
趣味をもっていると一番ありがたいことは、同じ趣味を持った人との人間関係が広がるという点です。夢中になれる趣味がある人はぜひコミュニティーに参加してみて下さい。趣味が読書なら読書サークル、ヨガならヨガ教室のように自分の好きなことを共有できる仲間がいると、より自分の趣味に対する愛着が増すと思います。住んでいる所にそのようなサークルがない場合は、自分でコミュニティーを立ち上げてみるというのもいいでしょう。
ちなみに筆者の趣味は編み物で、週一でニットカフェに通っています。ここで知り合った日本人在住者と現地情報を交換したり、自分の好きな編み物の話をしたりして、非常に充実した時間を過ごせています。自分の好きな趣味で繋がる人間関係は、仕事場の人間関係や家族関係にはない、シンプルで平和で微笑ましい関係です。ここで知り合ったフランス人との会話も、フランス語が完璧でなくても、趣味の話をすれば盛り上がれるのでとても面白いです。
海外生活を始めると、それまで日本で築いてきた人間関係からどうしても遠ざかってしまいます。新しく友達をつくるにも、連絡を取り合うのが億劫になったり、なかなか本音を語れなくて寂しい気持ちになってしまうときもあります。そんな”海外”という場にいるからこそ、「同じ趣味の人」との繋がりが大切なのです。
現実に”距離”を置ける
海外生活の最初の頃は、毎日何らかのストレスと戦っているような状態です。思うように会話できなくて落ち込んだり、現地人の冷たい態度に傷ついたり、想像していた海外生活とのギャップに不安を感じたり…。海外生活に慣れるまでは、「問題が山積み」のように感じることもあるでしょう。毎日できないことや嫌なことを経験していると、そればかりに意識や考えが集中してしまいます。そうするとどんどん自分のなかで問題が大きくなってしまいます。
こういった状況の一番いい対処法は、何かに集中して現実にちょっとだけ”距離”をとってみることだと思います。現実から逃げるわけではなく、現実と戦うのでもなく、問題について考えない時間をつくるのです。心身の静寂を取り戻すために瞑想をする人がいますが、趣味に没頭する時間というのも気分を改善するメディテーションの一種だと思います。筆者も、編み物に没頭している間に、悩んでいたことがどうでもいいちっぽけなことのように思えたことが多々ありました。慣れない海外生活で溜まりやすいストレスにうまく対処するという意味でも、没頭できるいい趣味を持ちましょう。
趣味の達成感が日々のやる気につながる
いい趣味というのは、何らかのスキルが身につくものだと筆者は思っています。料理が趣味の人は腕前が上がり、写真が趣味という人はより多くのテクニックが身についたりと、趣味を通して「昨日よりもできる自分」を感じることができるのです。
先でも述べたように、海外生活では「思ったようにうまくいかない現実」が多いです。うまく話せなかったり、日本のように便利ではなかったり、書類や手続きに戸惑ったり…。このような経験から次第に、自分に自信を失くしてしまいます。自分では何もできない子どものように感じてしまうこともあるでしょう。
海外ではこういった経験をするからこそ、達成感を得られる趣味をもつことが大切です。何もできなかった日でも、「趣味の~はできた」と思えれば、自信を消失するまでにはならないからです。大切なのは、どんなことでもいいので「できた!」という達成感を味わうこと。毎日の生活の中で小さな自信が生まれれば、自己嫌悪からのうつ状態までにはならないからです。
海外在住者のみなさん、いい趣味をもちましょう。