日本は学校でのいじめが多い国として、最近では海外でも知られていますが、日本以外にいじめが多い国はどこでしょうか。
そこで今回は、海外サイトLatitude Newsより、「学校のいじめが多い国はどこ?」という記事をご紹介します。明るみにはなりにくい学校のいじめ統計に表しにくく、“いじめ”の定義を世界で統一するのは難しいですが、世界40カ国を対象にした調査によると、世界のいじめ問題の実態は以下のようになっています。

HBSC調査による、世界の学校いじめの実態は以下のようになっています。
- いじめの加害者になるのは男子生徒のほうが多く、これは世界中どこの国でも共通している。女子生徒は、間接的な攻撃をすることが多く、これには噂話を広める行為なども含まれる。
- 子どもの年齢が上がるにつれ、身体的な攻撃(暴力)は減る傾向にある。反対に、言葉の暴力(侮辱や脅しを含む)は子どもの年齢が上がるにつれて増える。
- いじめの発生件数は国別に大きく異なる。例えば、スウェーデンの女子生徒の場合、「いじめに参加したことはあるか」という質問に、「はい」と答えたのは5%以下であったが、リトアニアの女子生徒では36%であった。
- アメリカのいじめの頻度は中程度となっている。良くも悪くもないランクである。
- いじめの少ない国としては、ハンガリー、アイルランド、フィンランドがあげられる。
いじめの多い国ランキング(HBSC調査)
11、13、15歳の男女にいじめの被害者になったことがあるかを調査。「はい」と答えた人の割合が最も多かった順にランキングにした。
- リトアニア 40.5%(男女比は、45.2 : 35.8)
- ラトビア 37.75%(43.5 : 32.0)
- グリーンランド 35.1%(38.2 : 32.0)
- ギリシャ 35.05%(41.3 : 28.3)
- エストニア 34.2% (42.8 : 25.6)
- トルコ 32.55% (36.4 : 28.7)
- ルーマニア 32.35% (38.0 : 26.7)
- ウクライナ 31.6% (34.4 : 28.8)
- ロシア 30.7% (30.8 : 23.4)
- ブルガリア 26.05% (33.3 : 18.8)
HBSC調査の対象国以外にも、このような調査報告がある。
日本:
日本、および韓国でのいじめというのは、クラスの仲間に暴行を受けるタイプのものより、仲間はずれにされることが多い。クラス全員が一人を差別し、社会的に隔離する。これは日本ではijimeとして知られている。
↓この動画が記事のなかで紹介されていました。『Children Full of Life』というドキュメンタリー映画で、小学4年生担任の金森先生がいじめられる側の辛さについて生徒たちと話しています。この動画は海外でも話題を集め、金森先生は素晴らしい教師だと絶賛されています。
インドネシア:
専門家の分析では、いじめ自体は昔より増えてきているわけではないという。昔と今で変わってきているのは、テクノロジーの発展によって表現方法が変わってきているのだ。
例えばインドネシア。この国は、世界で4番目に人口が多い国であり、ムスリムの人口が世界で一番多い国である。また、ソーシャルネットワークが発展している国の一つであり、インドネシアはフェイスブックユーザーが世界で3番目に多い。世界でされている毎日ツイートの15%はインドネシア人によるものだ。
最近の調査によると、インドネシアはネットいじめの被害者になっている子どもの数が世界で一番多い。実際に、インドネシアの大人の過半数が、どの子どもがオンラインでいじめにあっているかを認知しているそうだ。
カナダ/アメリカ:
アメリカとカナダの学校は、厳しくいじめを罰している。ゼロ・トレランス方式は文字通り、不寛容を是とし細部まで罰則を定めそれに違反した場合は厳密に処分を行う方式である。これは、いじめの加害者と被害者への教育やしつけが足りない点を問題にするヨーロッパやオーストラリアのやり方とは、根本的に異なる。
おわりに
残念ながら記事で紹介されていたHBSC調査には、日本が含まれていなかったので実際には日本の順位はわかりません。しかし、国立教育政策研究所が2004年から2009年にかけて行った追跡調査では、「無視・仲間はずれ・陰口」を経験した人は、2004年の中学1年6月時点で41.6%。2006年の中学3年11月時点では80.3%という調査結果もあるので、このHBSC調査を参照にすると、日本は世界で最もいじめの多い国になることがわかります。
ちなみに2014年の自殺が多かった国ランキングでは、1位がグリーンランド、2位リトアニア、3位韓国となっており、これらの国でもやはり、世界的に見ていじめが多いことが予測されます。
日本の学校でいじめをなくすには、『Children Full of Life』の動画にあるように、生徒一人ひとりが加害者の意識をもつことがまずは大切なのではないでしょうか。金森先生のような心から叱ってあげられる大人が増えるような社会づくりから始めていくべきなのかもしれません。