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人種差別に鈍感な日本人より、過剰反応する人のほうが罪が重い

 人種差別に過剰反応する人のほうが、差別的。

このブログを通して、読者の方から「これは差別的じゃないですか?」と抗議を受けることがある。

しかし、偽善的な正義感を振りかざして、人種差別に過剰反応する人のほうがよほど差別的だと、マダムリリーは以前から思っていた。

例えば、「世界のコスプレ美女」を写真で紹介した記事では、このようなコメントをもらった。

〝黒人のコスプレイヤーを載せないとは、このサイトは人種差別と言われても仕方ないですね。意図的に白人と東アジア人だけを選んで記事にしている次点で、あなたには差別的な意図があると思われてしまいますよ? 気を付けてください。”

マダムリリーとしては、白人とアジア人だけを選んだつもりはなく、フェイスブックのファン数が多い各国の人気コスプレイヤーを紹介したにすぎなかったのだが、この言われ様だ。たまたま人気のコスプレ美女が白人とアジア人だったというだけの話なのに、早々に人種差別だと決めつけられてしまう。

それに、黒人を載せないことが差別だと言うのなら、ヒスパニックやアラブ人を載せないのは差別にはならないのだろうか。他民族のなかで黒人だけを特別扱いし、黒人だけを意図的に除外したと邪推する人のほうがよっぽど差別的な思考を持っているといえる。

このように、こちらが意図していなくても人種差別だと抗議されてしまう例は他にもある。

今年2月は、ももクロの黒塗りメイクがネット上で議論を呼んだ。日本のネットユーザーからも「黒人差別だ」と非難する声が高まり、署名サイトでは約4500人が賛同。日本人が自覚していない人種差別意識が問題になった。

人種差別に鈍感な日本人より、過剰反応する人のほうが罪が重い

これを受けて、ネットの記事では日本人の国際感覚の欠如や、人種差別の問題を認識できていない無知を指摘した記事が多く出されたが、何かにつけ人種差別だと騒ぎ立てる昨今の風潮はいかがなものかと思う。これは日本に限った話ではなく、海外のメディアでも言えることだが、「人種差別しないようにしよう」という過剰な配慮が、逆に差別してしまっているという滑稽な事態になっているような気がしてならない。

ももクロの黒塗りも、「馬鹿にしているつもりはなかったけど、傷つけちゃったならごめんね」という話で済んだはずだと思う。むしろ、こんなに無邪気に黒塗りできちゃう、配慮すべきポイントがわかっていない日本は、黒人に対するマイナスイメージがないという証明でもあると言えるのではないだろうか。

ももクロの黒塗りに関しては、日本在住でありながらそういう日本の文化背景を理解しようとせず、アメリカの人種差別の歴史や狭い価値観を持ち出して、黒塗りを批判したBaye McNeilさんのほうがよくよく考えてみると、勉強不足なのではないか。日本で生活しておきながら、考え方はアメリカのままでいる彼は、とても日本人の無知さを批判できる立場にあるとは言えない。本来なら、日本在住で黒人の彼こそが、「日本人に悪気はなく、黒人を馬鹿にしていない」という情報を発信していくべき立場である。

しかし、多くの記者が指摘するように、ほぼ単一民族国家である日本が、世界の人種差別問題に鈍感であるのは事実だ。無知は言い訳にならないし、無邪気だったら何を言ってもいいわけでもない。日本の国際イメージを下げないという意味でも、今後は国民一人一人がもっと世界や人種差別の問題に関心をもつ必要があるだろう。

ただ、本当に海外で外国人とうまくやっていきたいのなら、相手の無知にいちいち腹を立てていてはやっていけない。育った環境が違うのだから、自分の常識が相手の非常識だということは往々にしてあるし、自分の常識が相手より優れているわけではないからだ(黒塗りはダメだというアメリカの常識が優れているわけではない)。

だから、外国人と楽しく交流していくには、相手のダメなところを流してあげられる「寛容さ」が何よりも大切なのである。

逆に、狭い価値観での正義感を相手に押し付け、人種差別だと相手を責めるだけでは、外国人との溝はますます深くなってしまう。何かにつけ人種差別だと過剰反応する人は、一見すると異文化の相互理解を求めているようだが、実際はその対極にいると言ってもいい。むしろ、相互理解を望んでいるように聞こえるだけ、たちが悪い。

 もちろん、一番悪いのは人種差別をする人だ。しかし、他人の差別意識を取り締まろうとしたり、人種差別しないように…という過剰な配慮が、逆に差別してしまっている。不倫した芸能人をネットで徹底的に叩くのもそうだが、被害者の代わりになって「正義」という盾をふりかざす、お節介な昨今の風潮が個人的にはあまり好きじゃない。

そもそも、それって本当に正義って言えるんですかね。

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