日本の女の子って可愛い人しかいないと思ってたよ。
日本に来てしばらくしてそう言ったのは、私のフランス人の旦那だ。彼いわく、日本にはテレビやドラマに出てくる女優のような美しい女性しかいないと思っていたという。何ともアホみたいな幻想だ。
そんな淡い期待をして日本に来たから、想像以上に「かわいくない人」が多くて、驚いたそうだ。
日本には可愛い女しかいない…
んなわけあるかww!!と声を大にして、大いにツッコミを入れたが、彼の言い分はこうだった。
僕はこれまでの人生で、あまりアジア人を見たことがないし、僕の知っているアジア人というのは、日本のドラマに出てくる女優やJ-POPの歌手だけ。 だから、不細工なアジア人といわれても、想像の範疇を越えている。イメージできない。不細工な白人の顔はイメージできるけど、不細工なアジア人がどういう顔になるのかなんてわからないよ。 みんな口には出して言わないけど、日本に憧れて期待してやって来る日本好き外人の奴らは、大なり小なり同じようなことを感じていると思う。 |
なるほど、確かにそれはあるかもしれない。日本人の私たちだって、例えば日本とあまりゆかりのないアラブ人なんかは、きれいな人は想像できるが、不細工なアラブ人と言われてもうまくイメージできない。自分の頭の中で想像できる「アラブ人」が容姿の整った芸能人の顔だけなら、実際に中東に行ってみると、ガッカリしてしまうだろう。
それに、日本でカッコイイ!と言われる白人男性のなかには、母国ではそうでもない人も多く含まれている。日本では外国人は珍しい存在なので、白人を見るとハリウッド映画の俳優とリンクさせて、「かっこいい」と感じるのだろうが、実際に海外に行ってみて、色んなバリエーションの白人の顔を見ると、どれが美しい顔で、どれがそうでもない顔なのかがわかるようになる。
とはいえ、結局、人間は顔が全てではないし、海外の一部の人が「日本人女性は綺麗」と幻想を抱いているのなら、それはそれで結構。しかし、彼のこの正直な感想が私に教えてくれたのは、
人は知らず知らずのうちに勝手に思い込んでいることがある
ということだ。日本には可愛い女しかいないと思い込んでいた私の旦那も、日本に来てみて初めて、勝手な思い込みをしていたことに気が付いたそうだ。フランスにも美しい人とそうでない人がいるように、日本人も美人ばかりではない。日本人は不細工が多いというのではなく、自分の期待値がそもそも高すぎたと語っていた。
これを読んでいるあなたにも、知らず知らずに思い込んでしまっていることがきっとある。
『7つの習慣』の著者、スティーブン・コーヴィーはこう言っている。
「私たちは、物事をあるがままに見ているつもりでも、実はある種のレンズを通してみている。そしてそのレンズこそが、私たちの世界観を作り出し、私たちのすべての行動を方向付けているのだ」
あなたの思い込みが、あなたの世界を作り上げる。
だから、何が自分の思い込みを客観的に知ろうとすることは大切なんだな、とフランス人旦那のおめでたい幻想を聞いて思った。