ホームジャパン結婚してすぐ子どもを産まないメリット|多様性を尊重してほしい

結婚してすぐ子どもを産まないメリット|多様性を尊重してほしい

筆者は23歳で結婚して、現在30歳の子なしです。結婚して7年間、これまでずっと避妊ピルを飲み続けてきたのは、「まだ子どもがほしいと思えなかったから」なのですが、たまに日本に帰ると「子どもは?」とよく聞かれます。

ネットで調べてみても、「子は授かりものだから、出産しやすい若いうちにできるだけ早く作っておいた方がいい」という世論が一般的のようです。日本の女性は社会から、独身の時は「早く結婚しろ」結婚したら「早く子どもを産め」とプレッシャーを与えられることが多いですが、実はフランスではこのような考え方は一般的ではありません。国が不妊治療費を補助してくれるおかげで焦らずにいられる部分のもあるのでしょうが、それぞれが個人の生き方を尊重してくれているように感じます。

もちろん、結婚してすぐに子どもを夫婦だって素晴らしいし、その選択を否定をしているわけではありません。しかし、「若いうちにできるだけ早く出産したほうがいい」という脅しともとれるような一面的な見方はあまり褒められたものではないと思います。なぜなら、すぐに産まないからこそのメリットも必ずあるからです。

そこで今回は、あまり語られることのない、「結婚してすぐ子どもを産まないメリット」を3つ紹介します。産む産まない、いつ産むというのは個人の自由です。あなたは、結婚してどれくらいで子どもが欲しいですか?

夫婦の絆が生まれる

結婚してすぐ子どもを産まないメリット|夫婦の多様性を尊重してほしい

結婚してすぐに子どもを持たない最大のメリットがこれだと思います。心理学者のヘレンEフィッシャーは、著書の『愛はなぜ終わるのか』のなかで、「離婚は結婚後1~4年目に多く、4年目にピークを迎え、その後は徐々に離婚数は減少していく」と述べています。文化や民族、国籍が違っても、離婚のピークは万国共通だそうです。

実際に、厚生労働省の母子世帯等調査によると、調査対象となった1400人のシングルマザーに「一番最後に産まれた子どもが何歳の時に離婚したか」と質問したところ、「0~2歳」と答えた人が全体の3割で一番多いそうです。

結婚して夫婦になっても、すぐに夫婦の絆が形成されるわけではありません。結婚してすぐは、期待や理想と現実のギャップに悩んだり、結婚前には想像もしなかった相手の嫌なところが見えてきます。相手の家族との人間関係も始まったばかりです。さらに、結婚して初めて同棲を始めたり、引っ越しをした場合などは、環境に慣れるまでにも時間がかかります。

このように、ただでさえストレスがかかってしまうなかで、妊娠&出産を経験するとなると、夫婦で会話をする時間がなくなり、気がつけばすれ違ってしまいます。口を開けば喧嘩ばかりでうまくコミュニケーションがとれず、夫婦でのチームワークや絆ができないままに、時間や仕事に追われた生活をすることになってしまいます。この不満がたまって離婚を決断するのが、結婚4年目という結果になっているのではないでしょうか。

しかし、結婚してすぐに子どもを産んだら離婚するというわけではもちろんありません。このようななかでも立派に子育てをし、夫婦関係も良好なカップルもたくさんいます。しかし、夫婦だけの時間をまずは大切にしたい人や、「夫婦の絆」を最初にベースとして持っておきたいと考える人は、結婚してすぐに子どもを持たないほうがいいかもしれません。

精神的な成熟&余裕が持てる

結婚してすぐ子どもを産まないメリット|夫婦の多様性を尊重してほしい

フランスの教会で式を挙げる場合は、教会で開かれる数回の「結婚講座」に出席することを義務付けられます。この「結婚講座」に参加したとき、神父さんに「あなたたちはみなさん、おいくつですか?」と聞かれました。私たち以外にも6組ほどカップルがいたのですが、年齢の幅は26~35歳位でした。すると、神父は「よろしい。大体30歳からが精神的にも大人になって、結婚に適した年齢だと言えます」と答えました。

確かに、30歳になった今、結婚したばかりの20代前半の頃を思い返すと、まだまだ精神的にも未熟で自分というものができあがっていなかったと感じます。実際に、「出産&育児に自信がない」と答える世代は20代前半の母親に多いそうです。もちろん個人差はありますが、周りの意見に振り回されず、落ち着いた精神状態で子育てをしたいと思う方は、結婚後すぐに子どもを産むのではなく、ある程度落ち着いた年齢になってからというのも一つの考え方です。

経済的な安定

結婚してすぐ子どもを産まないメリット|夫婦の多様性を尊重してほしい

若くして結婚して、その後すぐに子どもを出産する場合に比べて、30代以降で子どもを産む場合は経済力があるケースが大半です。結婚してすぐに若くして子どもを産む夫婦に比べて、貯金や安定した収入があるなど子育てをスムーズにできる環境が整っている場合が多いです。

収入が少ない生活で、さらに子どもの教育となると、精神的にも苦しいですが、経済的に安定していると、それだけでも心に余裕が生まれます。また、ベビーシッターや託児施設を利用するなど、子育てに必要な体力を経済力で補うことができます。子どもが生まれてくる環境として、経済的に余裕があるほうが良いと考える夫婦は、結婚してもある程度仕事が落ち着いてから子どもを考えてもいいかもしれません。

女性の人生選択の多様性をもっと尊重して!

とはいえ、人生は計画通りにはなかなかいかないものです。20代前半で結婚したいと思っていても、なかなか縁に恵まれず婚期が遅れてしまう女性もいるし、30歳になって子どもを産む準備ができたからと言って、すぐに授かれるという保証もありません。だからこそ、女性の人生選択は「こうあるべき!」という型にはめることはできないと思うんです。

「結婚したらできるだけ早く出産したほうがいい」というのも押しつけだし、「すぐには子どもを産まないほうが良い」というのもやっぱり押しつけです。

大切なのは、女性一人一人が自分が良いと思う人生の選択をしていくこと、そしてそれを社会や周りの人が尊重してあげることです。

日本が個人の多様性を尊重してあげられる社会になれば、日本人はもっと楽になれるのに…と、たまに思います。

関連記事

18 コメント

人気記事

最新のコメント