海外に住んでいると、日本から友人が遊びに来ることがあります。日本からはるばる会いに来てくれる友達に楽しい思い出を作ってあげたいし、自分の住んでいる街の観光を堪能してほしい…。でも日本から来た友人の観光って、結構コツがいるんですよね。
パリ在住の筆者も日本から友人が来たのですが、「もっとこうしてあげれば良かった!」と思うことが後から次々と出てきて、海外を案内するのは想像以上に難しいと思い知らされました。
そこで今回は、筆者が日本からの友人のおもてなしで「やってよかった」と思うことと、「しておけばよかった」と思うことを3つずつ紹介します。日本から友達が来る予定のある海外在住者の方は、ぜひ参考にしてみて下さい。
やってよかったこと
1.物価や支払い方法の説明
日本から友人が遊びにくる場合、「渡航前のコミュニケーション」が何よりも大切だと思います。ここで、相手が期待することと、自分が提供できることのギャップがないかどうかを把握し、相手の期待値を現実的なレベルに下げることが重要です。なかでも、支払いをどうするかという点は、渡航前にある程度話し合っておくべきでしょう。
支払いをクレジットカードにするのか、それとも日本で換金してくるのか、海外口座への送金にするのか…。どういった支払い方法が得するかを一緒に考えたり、アドバイスしてあげましょう。この時に、レストラン一回の食事代の値段や交通費、美術館入場料、ちょっとした飲み物やサンドイッチの値段なども伝えておくと、相手も旅行の予算を立てやすいのでいいと思います。
2.街歩き
普段は地下鉄で行くような距離の場所でも、できるだけ徒歩での移動をするようにしました。パリの中心であるオペラ座界隈や、観光客の多いノートルダム大聖堂周辺は街並みを見て歩くだけで楽しめます。ストリートパフォーマンスを見たり、ゆっくりと写真を撮ったり、ぶらぶら歩きの時間が想像以上に楽しんでもらえていました。
普段は速足で通り過ぎるような場所でも、旅行者からすると立ち止まって写真を撮りたくなるような風景だったりします。時間に余裕を持って地下鉄はなるべく使わず、街歩きの時間を作ってあげるといいでしょう。
3.おうちごはん
美味しいレストランでの食事もいいですが、気の置けない友人との食事はおうちごはんがゆっくりリラックスできて良かったです。スーパーに一緒に行って、食べたいものを買うのもいいでしょう。フランスにしか売っていないチーズやヨーグルト、ハムやパンなどを味見してもらって、フランス人の食生活を紹介する機会にもなりました。
おうちごはんなら友人も自分も出費が減らせるし、食べたいものを一緒に選べるので一石二鳥です。観光で疲れているので、すぐに簡単に作れるメニューを予めいくつか考えておくといいと思います。ちなみに、筆者はラクレットやクレープ、昼間から作って置ける子牛のトマト煮パスタなどで、もてなしました。
しておけばよかったこと
1.何がしたいのかを具体的に聞いておく
1日パリ観光をする友人に対しては、「凱旋門とエッフェル塔と、あとは私が適当に良い所をピックアップして、できるだけたくさんのものが見られるようにするね」と伝えました。友人も、「よく分からないからおすすめの所に連れて行って!」という感じだったのですが、もう少し具体的に何を見たいのか、何がしたいのかを細かく聞いておくべきだったと思います。
というのも、観光できる時間に制限があるので、時間が無くなってしまったときに何を切り捨て、何を優先して回るべきかがわからくなったからです。例えばグルメ優先の友人なら、レストラン選びや食事に時間をかけれるし、できるだけ建築物を見たいという友人なら、昼ご飯はサンドイッチで済ませることもできます。筆者がやった”できるだけ多くを見て回る”というツアーの組み方では、例えば、道端でお土産屋さんを見つけて、お土産選びに予想以上に時間がとられてしまった場合、予定がズレて焦ります。
最初から「今日はルーブル美術館とオペラ座に行ければいい」というような具体的な”確実にしたいこと”を聞いておけば、観光に連れていく方も心に余裕が持てるでしょう。
2.旅行者と在住者のズレを意識しておく
フランスの地方に住んでいる友人がパリに遊びに来たときは、「マレ地区が良かった!」と言う人が多くいます。パリで1番好きなエリアは?とパリジャンに聞いてみると、“マレ!”と答える人が多いので、オシャレなセレクトショップやカフェが並んでいるマレ地区に友人を案内しました。
しかし、一つ一つのお店に入る時間がない旅行者には向いていない地区だと、行った後になって思いました。それよりも、筆者がいつもは素通りするようなお土産屋さんに立ち止まることが多く、在住者と旅行者では行きたい場所や見たいものにズレがあると、この時になって初めて理解しました。
最初からもう少し旅行者目線でパリを案内出来たら、もっと満足度が高い観光ができていたのではないか…と今になって思います。これから日本から来る友人を現地案内する人は、このへんを意識して予定を組むと良いでしょう。
3.時間配分
滞在できる時間が短い人の観光案内は、時間配分がとっても難しいです。あれもこれも見せてあげたいという気持ちと、ゆっくりじっくり見て楽しんでほしいという気持ちの間で葛藤がありました。最初に、○時~○時までノートルダムに行って、遅くても○時には次の場所に出発…のように時間配分をして、それを友人に伝えていれば良かったと思います。
予定をいっぱい詰めた「忙しけど色んな所がまわれる観光」と、一日2-3箇所を「ゆっくりまわる時間がある観光」のどちらがいいのかを聞いておけば、予定を組むのにも困らないでしょう。
おわりに
ネットで「日本から来た友人 案内」と検索すると、観光や食事に使ったお金を払ってくれないという愚痴をよく目にします。こういう話は海外に住んでいると一度は耳にする話なのですが、個人的には
「払って」と言えないような友人は呼ばない
ようにすればいいのでは?と思います。筆者も日本から友人が来ましたが、彼女たちが子どもの頃からの大切な友人だからこそ、家にも泊めましたし、喜んでもらえるように観光もしました。
楽しんでほしい、おもてなししたい!と思えるような相手ではない限り、家に呼んだり観光に付き合う必要はないと思います。
要するに、単なる知り合いや関係の浅い友人は呼ばないようにすればいい。「遊びに行っていい?」と聞かれたら、「それならいいホテル見つけるのを手伝うよ♪ どういう所が希望?」と返せばいいと思います。筆者もそうやって何人かすでに断っています。
海外に住んでいるというからといって、あなたがツアーコンダクターボランティアにならなくてはいけないというわけではないのですから。