高級なイメージの強いフランス料理。日本では使われていない食材や調味料を使ったフランス料理は、日本人の口には合わないという人もいます。しかし、なかには最初は苦手でも食べ続けているうちにだんだんと好きになってしまう食べ物もあります。
そこで今回は、在仏7年目の筆者が昔は嫌いだったけど、今は大好きになったフランスの食べ物を紹介します。フランスの気候や空気になじんでいくうちに、だんだんと好きになった食べ物たちです。あなたはどのフランス料理が好きor嫌いですか?
ラクレット

ラクレットとはサヴォア地方の名物料理でゆでたじゃがいもに、ラクレットチーズを溶かしたものを絡めて、生ハムと一緒に食べるものです。冬になるとよくフランスの家庭で食べられ、準備も簡単なことからパーティー料理としてもふるまわれます。日本でいうところの「鍋パーティー」のような感覚で、フランス人はラクレットパーティーをします。
フランスに来た最初の頃は、チーズが重く、おなかにずっしりとくるので苦手でした。ゆでただけのぱさついたじゃがいもに、熱々のチーズをかけ、冷たいハムを食べるというのが、何となくバランスが悪い気がしていました。しかし、だんだんと食べれるようになり、今では大好きです。
ブルーチーズ

日本人のなかでも苦手な人が多い、ブルーチーズ。見た目の気持ち悪さに加え、かなりきつい臭いを放つので、筆者も最初はあまり好きになれませんでした。しかし、深みのあるおいしい赤ワインとカリッとしたフランスパンと一緒に食べたら、あら不思議!ブルーチーズのおいしさが理解できる瞬間がありました。フランス人いわく、「ブルーチーズは好きになるのに時間がかかる大人の味」だそうです。
エスプレッソ

日本で飲むコーヒーの数十倍濃いヨーロッパのエスプレッソ。口に入れた瞬間、口いっぱいに苦味が広がります。最初はエスプレッソの何が美味しいのか理解できませんでしたが、後に”飲み方”がそもそも違ったのだと気づかされました。フランスのコーヒーはおしゃべりしながら、香りを楽しみながら、ちびちび飲むもの。砂糖を入れて飲む人が多いですが、個人的には甘い飲み物が苦手なので、ショコラなどの甘いものと一緒に飲むようにしてます。何か甘いものとセットにして、コーヒーの苦味を緩和させながら飲むのがフランスのエスプレッソです。
フォアグラ

よくもまぁ、こんなに脂っこいものを食べれるなぁとフランスに来たばかりの頃は思ったのを覚えています。口の中に入れた瞬間、油と脂肪が広がっていくようで、一口しか食べれませんでした。フォアグラをおかわりをするフランス人をみたときは本当に驚きました。
毎年、クリスマスには必ずフォアグラを食べていますが、1切れ分は食べれるようになりました。今でもフォアグラは脂っこいと思うのですが、1)イチジクのジャムのような甘いものと一緒に食べる、2)フランスパンにつける、という2つをすれば食べれるようになりました。
ステークタルタル

ステークタルタルとは、生の牛肉または馬肉を、粗いみじん切りにし、オリーブオイル、食塩、コショウで味付けし、タマネギ、ニンニク、ケッパー、ピクルスのみじん切りなどの薬味と卵黄を添えた料理です。初めてこれを目にしたときは、「何これ?ハンバーグのタネ?」と思いました。第一印象がこれだったので、その後どう見てもハンバーグのタネにしか思えず、味見をしてもおいしいと思わなかったです。
しかし、夏の暑い日に思い切って食べてみて、ビックリ。意外とイケるんです、これが。ポイントは暑い季節に食べるということと、ステークタルタルの美味しい店を選ぶこと。それと、ケッパーやピクルス、ソースなどを別皿にしてもらって、自分好みの味付けにするといいです。
まとめ
筆者は胃が弱いほうなので、フランスに来た当初はフランス料理がとても重く、口に合わなくて大変でした。しかし、人間ってやっぱり慣れるものなんですね。自分でも知らぬ間に、いつのまにか食べれるようになってたり、好きになってたりして、自分でも驚くことがあります。舌がフランス人化しているのかもしれません。
料理というものはその国の空気や天候、生活スタイルなどを知って、初めて本当の意味で理解でき、楽しめるものという気もします。日本料理もフランスで食べるより、日本で日本人に囲まれながら食べるほうがずっとおいしいですし。
その国の空気感を瞬時に伝えることのできる食べ物の力って、やっぱりすごいですね。
写真:Scott Smith