私が旦那と初めて出会ったのは2008年9月。「新しい世界を知りたい」という、リトルマーメイドの歌(Part Of Your World/Partir là-bas)のような単純な好奇心から、英語を一生懸命勉強した私。留学経験ゼロでも外国人と同じ寮で生活するという道にたどり着き、何人かの友達ができるようになった私。一方で日本での国際交流&在日外国人の現実を知り、うんざりしていた。そんな頃、彼に出会った。
彼の第一印象は「この人は他の外国人とちょっと違うかも?」だった。彼が電子辞書片手に一生懸命日本語で会話しようとする姿を見て思った。彼は英語ペラペラなのに、あえてカタコトの日本語で辞書を引きながら何とかセンテンスを作って話ししていた。
彼: 「僕は、あ、少し待って下さい。 (辞書を引く) 日本語が上達(辞書で調べた単語)をしたいです…。」
時間はかかるわ、見ていてかっこ悪い。でも辞書片手に日本人と会話するのは日本語力を伸ばすのには一番の方法だろうと思った。彼からは何よりも「日本語を伸ばしたい」という情熱を感じた。私がこれまで出会ったに外国人にこういうタイプはいなかった。辞書片手に話す外国人なんて。
それから気がつけば私は彼の彼女になっていた。今思えば、私は付き合い始めの頃、大して深く彼のことを好きではなかったと思う。「彼はあたしのこと好きだって言ってるし、悪い人じゃなさそうだから、まーいっか!」ってな感じで、ものすごく軽かった。それが彼と一緒に時間を過ごせば過ごすほど、どんどん彼を好きになっていった。私はどちらかというと、人と話すとき「何かおもしろいこと言わなきゃ!」と思い、沈黙を怖がるタイプなのだが、彼にはそれを感じることなく自然体になれた。普段友達には話せないようなことでも、彼には不思議と何でもスラスラ話ができた。そして付き合って3日後、彼は私に「将来あったかい家族を一緒につくろうね」と言ってくれた。もちろんこの時は外国人特有の甘いリップサービスとして受け取ったし、まさか本当に結婚するなんて思ってもいなかったけど、それでもやっぱり嬉しかった。
彼と二人で過ごす毎日。それはあたたかい太陽の当たる所でひなたぼっこしているような、心がじんわりとあたたかくなる時間だった。毎日、一緒に料理したり、映画見たり、明け方までいろんなことを語り合ったり・・・。彼が楽しそうに笑うのを見ているだけで、ただただ幸せだった。楽しくて幸せな時間はあっという間に過ぎていった。
ところが彼と付き合って3週間後、突然彼にふられた。
なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?
何度聞いてもはっきりとした答えは返ってこない。彼は「友達に戻ろう」としか言わなかった。
「大好きだから別れたくない!」その一言がいえなかった。恋愛は片方の気持ちがなくなった時点で the end か・・・。そう思って何も言わず彼の部屋を出た。
次の日から、彼との楽しい時間はなくなった。太陽の当たらない、曇った毎日が続いた。今思い出しても、胸が苦しくなるほどあの頃は辛かった。彼を大学で見かけると、余計に胸が苦しくなった。楽しそうにしている彼を見て、無性に腹が立った。何事もなかったかのように私に声をかける彼に、腹が立った。私はこんなに苦しいのに彼はあんなに楽しそう。彼は楽しそう。彼は楽しそう。それが見て取れて悔しかった。自分に対しても嫌気が差した。最初はこの人は他の外国人とはどこか違う?なんて思ったけど、結局彼もプレイヤーじゃん。彼に対する怒りは時間が経てば経つほど大きくなって、限界に達した。そしてある日私は言いたいこと全てをまくしたてるように彼に言った。
So, you are enjoying life in Japan. It’s soooo nice to be in Japan,right? Everybody is nice with you and that’s why you don’t need to care about how much you hurt me. Because you’ll go back to your country anyway. This is not your country, you are not serious about anything. But me, it’s not the case for me. I build my life here, you know? Don’t disturb it. I don’t want to see you anymore. I don’t want to see you laughing. I don’t want see your face, hear your voice…..JUST GO BACK TO FRANCE!!
「ふーん、日本での生活楽しんでるんだ。日本にいるってホントーに楽しいんでしょ?みんな優しく接してくれるしね。だからあたしのことをどれだけ傷つけたかなんて考えなくてもいい。だってあなたはいつかはフランスに帰るわけだから。ここはあなたの国じゃない、あなたは何に対しても真面目に考えない。でもね、私は違うわけ。私はここで生活築いちゃってるわけ。邪魔しないで。あたしはあなたなんかもう見たくない。あなたが笑ってるのを見たくない。あなたのその顔も、声も全て。とにかくさっさとフランスに帰れ!」
彼にはっきりと嫌われたかった。そして私もはっきり彼を嫌いになりたかった。嫌いになって早く忘れて、早く楽になりたかった。友達になんか戻れるわけがない。だってこんなに好きなんだから。でもこれで全て終わった。彼もこれで私のことを嫌な女だと思っただろう。
[国際ラブストーリー2~大嫌いな人が親友に]へ続く・・・