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優雅なフランスで金を乞う人~その巧妙な手口

 これは私と旦那がQuick(フランスのロッテリア)に向かっていた時の出来事である。電車に乗る予定だった私たちは少し時間があったので、何か食べようということになり近くにあったファーストフード店に向かった。その途中で、40歳ぐらいのみすぼらしいおばさんに声をかけられた。その女は手に持っていたコインを見せながら、「5ユーロ札に両替したいんですが、持ってませんか?」と旦那に聞いた。親切な彼は「いいですよ」と答え、ポケットを探り、自分の財布を取り出す。その間、この女は「この方(私)はあなたの彼女?どこから来たの?まぁ、綺麗なお嬢さんね」と私たちを褒めた。彼が財布から5ユーロ札を見つけ取り出すと、女は言った。

「10ユーロあれば家族にハンバーガーが買えるので、あと5ユーロ出して貰えませんか?」

はぁ??両替って言ったじゃん?

戸惑う私の隣で、私の旦那はすぐに事態を理解して言った。「いいえ、5ユーロあれば買えるでしょ。ほら、あそこのQuickの看板にも5ユーロって出てる。じゃ、僕らは急いでいるんで。」彼女から去ろうとする私たちに、女は何度も「ありがとうございます」と言った。

そう!私たちは騙されたのだ。

5ユーロとかは、はっきり言ってどーでもいい。お金の問題じゃない!嘘をついて他人の親切心に付け入る、その手口が許せないのだ!

 

不思議に思うことがあった。私の旦那は、フランス人らしく?いつもは自分の考えを完全に相手に納得させるまでとことん議論する主義である。それなのに何も言い返さずに素直にお金を渡した彼の行動は、彼らしくない。私にとっては少し意外だった。何故かと彼に聞いてみたら、

「あの手の類は何言っても聞かないだろう。」

要するに彼の話だと、彼女たちに一度捕まったら終わりだということだ。きっとあの女の見える範囲に別の仲間がいる。両替と言っただろう!金返せ!という喧嘩になったら、彼女の取り巻きががやがや騒ぎたてる。最悪の場合、男である私の旦那が悪いように言いくるめられる。そう彼は予測した。事実、これと同じようなこと去年の夏、彼は経験している。

それは彼の両親が経営するキャンピングでの出来事である。ある朝、彼の母親は女に道を尋ねられ、レセプションを離れた。彼の母親は何となく不審に思い引き返した。その時、道を尋ねた女の仲間がレセプションにある金庫からお金を盗もうとしているところを発見。それから取っ組み合いの喧嘩になり、彼の家族VS窃盗犯のもみ合いになった。その後警察が来て、その窃盗犯が言ったのは、「私たちはお金を盗むなんてことはしていない、この人らが(彼の家族)が急に私たちに襲い掛かってきた。」だったらしい。

そうか、彼なりにあの短い時間で考えて判断したことなんだなぁ…そんなことを考えながら冷めて萎びたポテトを食べていると、今度は例のアラビア人の男の子グループが店内に登場!自分たちで書いたポエムを客に売りつけている。( 「人種差別だ!」と叫ぶ子ども を参照 )

全くどうなってんだ、この国は。

 

日本人がフランスと聞いてイメージするのは、ワイン片手に毎日パーティーでもやっているような優雅で高級なイメージである(私もそうだった)。しかし、そんな日本人のもつイメージとは裏腹に、フランスではこういったお金を乞う人たちに日常的に出くわす。フランスの現実はもっと複雑で、腹が立って、痛々しくて、そして悲しい。


富む者と貧なる者がはっきりと分かれる社会・・・ それが日本人の知らないフランスの一部である。

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