ホーム海外事情外国文化日本食ブームから30年~フランスの寿司が面白すぎる件

日本食ブームから30年~フランスの寿司が面白すぎる件

日本のソウルフードといえば、やっぱりお寿司!日本をあまり知らない外国人でもお寿司は知っているだろう。漫画、ハイテク製品と並び、もはや日本の代名詞となったお寿司だが、海外でお寿司がブームになったのは今から約30年前、1976年ごろのアメリカである。

アメリカ人の健康志向が高まっていた当時、映画俳優や歌手、弁護士、医者などの高所得者層から人気を得たことがきっかけであった。1980年代後半には欧州に伝播し、その後中南米、中近東、アジア、豪州などに広がった日本食ブーム。(参考:wikipedia)

当然、ここフランスでも日本食レストラン・寿司バーが本当に多い。主要なフランスの都市では寿司屋の100メートル先に他の寿司屋があったり、アフリカ料理レストランが潰れた後、寿司屋になったりするなど、次々に寿司屋ができているのが現状である。

しかし、フランスのお寿司ははっきり言って、“雑”である。「食にうるさい」といわれるフランス人だが、こと日本食となると何とも大ざっぱで「見た目に日本食っぽいもの」であればOKなようである。だから、

握り寿司のシャリが肉団子のように固まっていて、いくら醤油に漬けてもシャリが崩れなかったり、

だしのない味噌汁の具が、マッシュルームだけだったり、フランスのお寿司チェーン店

刺身醤油=キッコーマンの醤油だったり、

ネタとシャリのバランスが明らかにおかしかったり、

ネタがアボカドと海老とカレーという驚きの組み合わせだったり、

巻き寿司のシャリが乾きすぎて、ポソポソだったりしても、

本物のお寿司を知らないフランス人たちは何でもおいしい!と言って食べるのだ。

そして、日本人から見れば意味不明なサービス・お寿司もたくさんある。例えば、

お寿司の付け合わせが千切りキャベツだったり、

時にはお寿司の付け合わせが白米だったり、(お寿司、おかず扱いかよ!)

寿司レストランのmenuを頼めば、サラダ→味噌汁→お寿司→デザートという順番で出てきたり

お寿司のネタがチーズやマンゴーだったり・・・。

良いように言えば、フランス人にも馴染みのやすいように日本のお寿司をフランス風にアレンジしたものと言えるかもしれないが、やっぱり日本人からしてみると「これを日本食と呼べるのか?」と疑問をもってしまうような代物が多い。もちろんフランスにも、日本で寿司作りの修行をした料理人がフランスで寿司店をオープンさせるといった例もあるが、残念ながらフランスの寿司屋の大半は上記のような2流寿司店である。そして、2流のわりに値段も高い。

某お持ち帰り寿司店の安売り広告

フランスのお寿司のネタは、そのほとんどがサーモンなのだが、値段は2巻で大体4ユーロから5ユーロ(現在のレートで444円~555円)。フランスで売られてるお寿司

味がおいしければ文句はないのだが、お世辞にもおいしいとは言えない。フランスにいるのだから贅沢はいえないが、これなら自分で作ったほうが確実に安くておいしいとフランスの2流寿司店に行くたびに思う。

しかし海外の日本食レストランの最も深刻な問題は、衛生上の問題である。2005年の仏紙フィガロの記事によると、パリの寿司店の約4割が衛生上に問題があり、9割近くが日本人以外の経営による「まがいもの」だと批判する記事を掲載した。

つまりフランスの日本食レストランの経営者・シェフは日本の食文化を知らないため、日本料理の基本的調理技術に欠けるので、料理の質の低下を招き、衛生上の懸念を引き起こすのである。

衛生上の懸念が過熱する日本食ブームに待った!をかけ、日本食イコール危険というイメージがにわかに広がった。もともと魚介類を生で食べる習慣のない欧米では「ほら!やっぱり。だから生で魚を食べる日本の食は不潔だ!」といった具合に、日本食に対するイメージダウンに繋がったのである。

そこで2007年、日本食・日本食材の普及・啓蒙を主たる事業とすることに方針とした、農林水産省の外郭組織であるNPO「日本食レストラン海外普及推進機構(通称:寿司ポリス)」を設立。この機関の現理事長である茂木 友三郎氏は「日本食レストラン海外普及推進機構は、日本の食文化を世界に正しく発信することを加速し推進するとともに、日本食レストランの信頼性を高め日本の食文化の国際的な発展に寄与し、世界の食文化をより豊かなものにするために貢献してまいります。」と述べている。

設立当時は、「日本の国が外国のオマエラの店を認めてやるぞ!」といったマイナスイメージを持たれ叩かれた通称寿司ポリスであるが、海外在住の日本人としてみれば、日本食店と名乗り、それなりの値段を請求する日本食レストランを取り締まる機関が必要なのではないかと思う。

しかし、日本のお寿司が海外の富裕層だけではなく庶民にまで親しまれるようになったのは、中国人が経営する日本食まがい店のおかげでもある。

いずれにせよ、いつでもおいしく安全なお寿司が日本以外のどこの国でも食べれるようになれれば・・・と願うしだいである。

お寿司のお勉強↓

ちなみに、寿司と刺身の違いがわからない外国人がいるというのは本当です。日本食ブームとはいえ、欧米諸国ではまだまだ日本食は未知の味なのでしょうか。

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