外向的タイプと内向的タイプ、どちらかだけに当てはまる人はいない
この事実、知っていましたか?私たちのほとんどは内向的と外向的の中間にあり、両方のタイプの行動をしているそうです。心理学では内向性と外向性を1つのスペクトルとしてとらえており、誰もがその二極間をいったりきたりする傾向があるとしています。
つまり、同じ人間でも外向的な時もあれば、外向的な時もあるということ。例えば、コミュニケーションの仕方は外向的だけど、趣味は内向的というように、同じ人でもある分野では外向/内向的だと判断することができるというわけです。
それでは、海外適応には外向的・内向的な性格の特徴のどんな部分が「海外向き」だと考えられるのでしょうか。そこで今回は、海外適応に必要な外向的・内向的思考の特徴とその根拠を3つずつ紹介します。海外在住の皆さんにも当てはまる箇所があるのではないでしょうか。
外向的思考のいいところ1: 失敗を恐れない
外向的な人は自信家な人が多いです。他者に影響を受けやすく、あの人ができるのだから自分にもできると思い込む傾向があるので、失敗することも多いですが、その分成功するチャンスを掴む可能性も高いです。海外生活では思ったように外国語が話せなかったり、できないことが多くて悩む時期(下図:カルチャーショック期)がありますが、外向的な人は失敗を恐れず挑戦し続けようとするので回復も早く、一般的に社会への適応性は高いとされています。
外向的思考のいいところ2: 人と話すが上手
外向的思考を持っている人は、人と話すのが上手です。関心が外へ向かっており、他人をよく見ている為、褒める事やべんちゃら、冗談を言うのが得意です。内向的な人に比べ、くだけた雰囲気をつくるのが得意なため、海外生活を始めたばかりの頃は、外向的な人の社交性を存分に発揮できるでしょう。
どんな場へ行ってもそれなりに溶け込めるので、周りの人から誘われることも多く、人間関係の輪を広げていくのに適しています。コミュニケーション能力が必要とされる場で能力を発揮する外向的性格は、海外で人間関係をゼロから開拓していく力に直結します。
外向的思考のいいところ3: 外の世界が知りたい好奇心
外向的感覚は極めて活動的な印象を与えます。 好奇心があり、できるだけ多く外界の情報を集め、体験しようとします。 外界にある珍しい物を手に入れたいと願い、珍しい現象をその目で確かめたいと願います。 新鮮な体験が何よりも大切であり、その瞬間に過去の記憶を意識するようなことはありません。 まるで恐れを知らないかのように振る舞います。
これらの特徴は海外生活者なら誰しもが多かれ少なかれ持っている感覚ではないでしょうか。「違う世界を知りたい」という欲求や好奇心がなければ、そもそも海外に行ってみようとは思わないのかもしれません。「本当の意味でのカルチャーラーニング」をする時期には、好奇心旺盛な外向的感覚が適応を後押しします。

内向的思考のいいところ1:1人でいる時間を楽しめる
一見すると、外向的思考のほうが海外に適応しやすいように思えますが、必ずしもそうではありません。内向的な人は、外向的感覚にはない要素で海外適応に導いています。例えば、一人時間を楽しめるという点です。外向的タイプと、内向的タイプの違いを簡単に説明すると、
- 内向的タイプ: 社交すると消耗するので、元気を回復するには独りでいることが必要
- 外向的タイプ: 独りぼっちにされると不安になり、社交からエネルギーを得る
誰も知っている人がいない海外で生活を始めると、最初のうちは社交したくても相手がいないという状況がよくあります。日本に比べてゆっくりと時間が流れる海外での暮らしのなかで、さらに社交できる場が見つからないという状況になると、社交からエネルギーを得る外向的タイプにはかなりのストレスとなってしまいます。
要するに、海外生活では、「自分と向き合う時間」が必然的に長くなってしまいます。この一人でいる時間をポジティブに捉えられることが海外生活を送っていく上で非常に大切です。元気を回復するために一人の時間を楽しむ、という思考へもっていける内向型は周りの環境に振り回されることなく、エネルギーを蓄えることができる点がいいです。
内向的思考のいいところ2:信頼されやすい
「信頼を得る」という点では、内向型の人の方が、外向型よりも断然有利だと言われています。あるテレビショッピングの会社では、CMに出演する役者にわざと口下手な人を起用するそうです。口の達者な人が流ちょうに説明するより、口下手な人が下手なりに懸命に説明する方が、視聴者の信頼を得られると考えているからだそうです。
海外で外国語を話して生活するとなれば、外向的な人であれ、内向的であれ、どちらの場合でも母国語で話すよりも口数が少なくなってしまいます。外国語の環境では話すのが下手になってしまうので、自然と聞き役にまわる回数が増えていくはずです。
このような外国人とのコミュニケーションの場では、自分の中で一度考えてから発言する習慣がある内向的な人のほうが、良い聞き役だと周囲の人に思われる傾向があります。口下手な理由が言語能力でなく、本人の性格によるものだと思われやすいので、本当は言葉がわからなくて黙ってしまっていても、「物静かで落ち着いた人」という印象を与えることができます。口数の少ない内向的な人は、信頼のおける人だと印象付けられるチャンスもあるわけです。
内向的思考のいいところ3:深い話好き
内向的な人はどうでもいい世間話が苦手です。外向的な人の多くが、たわいもない世間話をすると嬉しくなるのに対し、内向的な人は、尻ごみして退屈さを感じ、疲れてしまいます。
文化や言葉も違う外国人とのコミュニケーションでは、実は世間話が一番難しいです。文化の異なる知り合いと、ちょっとした共通の話題を見つけるのは容易ではありません。
また、日本のコミュニティのような同調圧力も欧米文化にはあまりないので、「人は何のために生きるのか?」という哲学的な話や、「ヨーロッパの難民問題はどう解決すべきか?」などの議論に発展しやすく、欧米人との会話はどちらかというと、深い話を好む内向的な人向きだと言えます。
まとめ
外向的・内向的のどちらも、海外適応に貢献してくれる要素があることがわかっていただけたでしょうか。話下手で内向的な人間は海外生活が難しいとは、必ずしも言い切れません。内向的な人だからこそストレスが少なく適応できると言い換えることもできるわけです。
要するに、外向的・内向的のそれぞれにいいところがあり、時にはそのいいところがマイナスになってしまうこともあるということです。
海外在住の皆さん、あなたは外向的ですか?それとも内向的ですか?あなたの性格のどんな要素が海外向きだと思いますか。コメント欄で教えてください。
参照:lifehacker、h5.dion、huffingtonpost