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多言語話者は知っている!外国語を学ぶと得られる隠れたメリット

外国語を学ぶメリットはたくさんある。世界中の人と話せる、海外で仕事ができる、海外旅行に困らない、人間関係が広がり、視野が広がる…などなど。

このように外国語を学ぶメリットというと、外国語を使えるようになってできることを挙げられることが多いが、実は母国語の日本語で会話するときにも隠れたメリットはあるのだ。

それは、人から言われたことを「言葉のままに受け取る」習慣がつくことである。語学学習は、言外の意味を勝手に想像しないための訓練になるのだ。

他人の話を聞くとき、私たちは大なり小なり自分の“自動翻訳機”にかける。自分というフィルターをかけて、相手が言わんとすることを推し量ろうとするが、この自動翻訳機は必ずしも正しいわけではないので注意が必要だ。

例えば、自分が今、語学の勉強に行き詰って悩んでいるとしよう。そんな時、他人から「もう少し時間を作れば、上達も早いんじゃない?」と言われれば、「私の努力が足りないとでも言うの?」とか、「私のこれまでの努力を認めてくれないの?」とか、「俺のこと馬鹿にしてんのか?」と捉えてしまうかもしれない。時間を作ってみれば?と言った人は、単純に「早く上達したいならもっと勉強時間を作ればいいよ!」とアドバイスしたつもりなのに、受け取る側はそこからさらに飛躍させた意味に変換するわけだ。

このように、人とのコミュニケーションではその時の状況や心境、受け取る側の性格や劣等感などによって、自動翻訳機は“誤訳”してしまうことが多々ある。自分はそんなつもりで言ったわけではないのに、相手が想像もしていなかった結論に至ることがあるのはこのためだ。

つまり、「なんでそんな風に受け取っちゃうの?」という会話は、例えそれが母国語でも、スムーズなコミュニケーションの妨げになってしまうわけで、できるだけ避けるべきだ。コミュニケーションではおかしな翻訳をせず、言葉のままに受け取るほうが誤解を減らせるし、相互理解への近道となる。

しかし、私たちの話す日本語は、ニュアンスや空気を非常に大切にしている言語なので、それもまた難しい。文法的にも英語やフランス語に比べて機械的ではなく、論点をはっきりさせないで話すための言葉が多い。語尾をちょこっと変えるだけで意味が180度変わるし、「だけど…」という逆接の接続詞で会話を終わらせることだってできる。それに加え、「空気を読め」という同調圧力もあるので、常に言外の意味を想像しながら会話しなければならない。

そんな日本語を操っている私たちだからこそ、「言葉のままに受け取る」訓練が時には必要だと思う。

そして、その訓練には、外国語学習が最適だ。

外国語を使って人と話すことが多くなると、言葉をそのまま受け取るようになる習慣がつく。特に、語学レベルがネイティブには追いつかない場合は、意味を理解して何を話すかということに意識が集中するので、相手の言わんとすることを推し量るまでの余裕がない。外国語から日本語へ翻訳して、さらにそれを「自分の翻訳機」に通して会話をしていたら、時間がかかりすぎてしまうからだ。テンポよく流れるように会話するためには、自分のフィルターは邪魔でしかない。

しかも、外国人との会話では、仮に日本語を介さずに理解できたとしても、自分のフィルターを通すと、かえって誤解してしまうことが多々ある。例えば、フランス人は会話をする時に、同調するのではなく相手とは違う意見を言うことによって、自分を理解してもらおうとする人が多いが、こういった背景を知らずにフランス人と会話してしまったら、相手が本当に伝えたいことを取り違えてしまうかもしれない。言葉の意味を日本語へ正しく翻訳できたとしても、自分の受け取る意味が「私の意見を否定された」、「私の話を聞いてくれなかった」と勝手に感じてしまっては、正しくコミュニケーションとは言えない。相手の言わんとすることを変に推し量ったり、想像を膨らませすぎると、ますます文化の溝は深まってしまう。

だから、文化や言葉が違う相手とは特に、言葉を言葉のままに受け取る力が必要だ。いちいち変な翻訳機にかけていたら、会話が成り立たず、互いにわかりあえる機会を逃してしまう。

しかしこれは、何も外国人相手だけのことではないなぁと最近思う。外国語で会話することが多くなって思うのは、相手が日本人&日本語を話すからといってわかりあえるわけではないということだ。言葉はいくらでも取りようがあるからこそ、言葉の意味に忠実に、意訳することなく理解することを心がけなければならない。

言葉は変換すればするほど、発信者が伝えたかったことから遠くなる。

外国語学習はこのことを肝に銘じるのに、とっておきの方法なのだ。

 

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2 コメント

  1. 突然のコメント失礼します。
    こちらの記事がまさに自分が行き詰まっている状況で、言葉ひとつひとつが刺さりました。
    日本語だったらこんなに悩む事ないのにと思っていたのですが、どの言語であっても一緒ですね。
    なんて皮肉な事を言ってくるんだろうと思ったり、ひねくれた受け取り方ばかりしていましたが
    これはまさに自分の翻訳機の誤訳ですね…。
    ’文化や言葉が違う相手とは特に、言葉を言葉のままに受け取る力が必要だ’という考え、本当に大切ですね。
    言葉のままに受け取るという事を習得するには時間がかかりそうですが、行き詰まった時はこちらの記事
    読み返させてください。
    私にとって励みになった事、お礼を言わせていただきたくコメントさせていただきました。
    素敵な記事、ありがとうございます。

    • そう言っていただけると、本当にうれしいです。こんなに偉そうに書きましたが、実は私自身、翻訳しないで人の話を聞くのは難しいなぁと日頃から思っています。なので、この記事は自分への戒めの意味でも書いたものです。私もこれをたまに読み返してます。同じ気持ちでいてくれる人がいて、本当にうれしいです。ありがとうございます。

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