以前、ツイッターで、国際結婚カップルを取り上げたオーストラリアの番組を紹介した。
この番組の後半で、「長続きする国際カップルになるために、結婚前に何かできることはありますか?」と聞かれた専門家の一人は、「相手への期待と、障害となりえるものが何なのかをはっきりさせておくこと」だと答えていたが、これがとても印象的だった。
最近はマダムリリーの周辺でも、国際離婚に至るカップルが少なからずいるが、確かに彼女たちの話を聞いていると、この点でミスマッチがあったパターンが多いように思う。もちろん、結婚してみないとどんな夫婦になれるかなんてわからないし、結婚当初は未熟でも、互いに成熟した夫婦になれる場合もあるので、全てを1つのルールに当てはめることはできない。
しかし、文化が違う相手と結婚する場合、互いのミスマッチを早い段階から理解しておくことは、とても重要なことだと思う。結婚前の話し合いが、離婚を防ぐことに繋がると思うからだ。
そこで今回は、実際に国際離婚をした人の話を聞いて感じた、「国際カップルが結婚前に本気で話し合うべき7つの項目」を紹介する。ここに書かれていることが全てではないが、これから国際結婚しようとしている人は、これらの項目をじっくりパートナーと話し合ってみてはどうだろうか?
国際カップルが結婚前に本気で話し合うべき7つの項目
互いの文化を理解し、尊重しているか
オーストラリアの番組に出演していた国際カップルの専門家も指摘しているが、「結婚前には相手の文化を知る時間をゆっくり取る」ことが重要だ。旅行で相手の家族を訪れたり、数年間相手国で暮らしてみるというのも一つの手だろう。
例えば、日本で生活する国際結婚カップルの場合は、外国人配偶者が日本人に合わせた生活を送るケースが多い。ここで、外国人側の文化を取り入れてもらえず、常に一方的に日本人に合わせている立場の外国人は、次第に不満を貯めていくようになる。外国人側の文化=やり方を尊重せずに、日本の常識ばかりを相手に押し付けていると、気が付いたころには関係がギクシャクしてしまっているだろう。
また、パートナーに自分の文化が理解されていないという不満がベースにあると、外国に適応しようとするモチベーションが下がる。反対に、「日本なんかより、自分の国が一番だ!」と頑なになって、ますます夫婦関係に溝ができてしまうだろう。
だから、結婚前に相手の文化を理解しておく必要があるのだ。相手の価値観がどういった文化背景からくるものなのかを理解していれば、尊重してあげられやすい。逆に言えば、相手の文化がわからないままだと、「なぜ彼(彼女)はこういう行動をするのだろう?」という疑問が解消されにくい。
仕事に対する考え方が共通しているか
国によって、個人によって、仕事に対する考え方は大きく変わる。仕事はお金を稼ぐための手段だと完全に割り切っている人もいれば、仕事で家庭が少々犠牲になるのも仕方ないと割り切る人もいる。奥さんにも世の中に貢献してほしいから働くべきだと思う男性もいれば、外で働かなくてもいいから家のことを完全に任せたいと思う男性もいる。男が一家の稼ぎ柱、大黒柱になるべきだと考える女性もいれば、旦那が主夫になってほしいと思う女性もいる。
何のために働くのか?、彼(彼女)にとっての仕事とは何なのか。
アメリカ人と結婚したタレントの武田久美子も、専業主婦が旦那に受け入れられなかったことが原因で離婚したが、仕事に対する考え方は意外と夫婦間に亀裂を生んでしまう題材なので、できれば結婚前に深くを話し合っておくといいだろう。
相手の「絶対に譲れないこと」を把握しているか
生活するなら絶対に日本がいい、子どもはほしくない、田舎では暮らしたくない、1年に一回は帰国したい…など、相手に「絶対譲れないことがあるか」を把握しておくことは大切だ。結婚した後に、不幸なビックリ箱を開けてしまったら、醜い夫婦喧嘩が絶えない日々が待っているだろう。結婚する前にわかっていれば、そもそも結婚なんてしなかった!という事態になってしまう。
しかし、個人的には「絶対譲れないこと」の数は少なければ少ないほどいいと思う。マダムリリーの知り合いでも、「1年に一回は日本に帰れると約束して結婚したのにさせてもらえなかった」、「カナダでの生活を約束してくれたから結婚したのに、結局はフランス暮らしだった」という理由で離婚した人がいるが、先に約束事を決めてしまうと、それができなかったときに亀裂を生む。人生にはいろんな時があるので、あまり最初にいろいろなルールを決めすぎず、臨機応変に対処できる夫婦になることを目指すべきだろう。
お金の使い方、家庭環境にギャップはあるか
国際結婚はこんなにお金がかかる!国際カップルのお金事情6つという記事で紹介したように、国際カップルはやはりお金がかかる。お金の問題が原因で離婚してしまうカップルも少なくないが、元々の家庭環境やお金の使い方などの教育が夫婦間であまりにも違いすぎる場合は注意したほうがいいだろう。2013年に行われたカンザス州立大学の調査によると、結婚して早い段階で金銭について言い争った経験のあるカップルは、収入、借金、資産の多さに関わらず、他の夫婦と比べて離婚する危険性が高いことが分かった。
また、夫婦間でのお金の管理の仕方も、互いに「常識」だと思っていることが結構違ったりする。日本では、奥さんが旦那の給料も一括管理する夫婦が少なくないが、欧米ではこのパターンは珍しい。パートナーがお金についてどんなことを学んできたのか、お金との歴史や、お金に対する価値観を探ってみるといい。
理想の家庭のイメージは共通しているか
結婚したらどんな家庭を築きたいと思っているのか?という将来像が、夫婦間で一致していることが大切だと思う。例えば、奥さんのほうは「日曜日に家族でピクニックに行き、笑いが絶えない家庭」をイメージしていたとする。対する旦那さんのほうは、「日常的なコミュニケーションよりも、自分は経済的に家庭を安定させることが第一だ」と考えていたとすれば、ここでギャップが生まれてしまう。
理想の家庭像はもちろん、相手家族&親戚との付き合い方や老後の過ごし方なども含めて、夫婦で共通した「夢のイメージ」を持っていることが大切だ。カップルが同じ方向を向いて人生を歩んでいくためにも、この部分がズレてしまうとなかなか後で修正が利きにくいだろう。
語学を一生学び続ける意思はあるか
母国を離れた外国人配偶者が、一生をかけて語学を学び続ける意思があるかを確認しておくことも、国際結婚では大切だと思う。例えば、日本に住む場合で、相手の外国人が全く日本語を学ぶ気がなかったとする。そうなると、外国人配偶者と他の日本人のコミュニケーションを通訳するのが自分の役割となるが、どんな場でも、何年たっても夫婦間では外国語で話し、通訳に徹することを受け入れられるだろうか。
国際結婚は互いに相手の言葉を学ぼうとするカップルが理想的ではあるが、自分の奥さん(旦那さん)が自分の国の言葉を学ぶ意思がない場合は、それを受け入れてあげる寛容さが必要となる。語学を学ぶ意思や覚悟について、国際カップルは一度は真剣に話し合ってみるべきだろう。
コミュニケーションの重要性を理解しているか
このブログでもこれまで何度も取り上げたように、やはり文化や言葉の違う男女が仲良く長続きしていくために一番大切なのは、「コミュニケーションをとれること」だ。もっと言えば、「きちんと喧嘩ができるカップル」になることが重要だと思う。
どちらか一方が遠慮して言いたいことを我慢していたり、喧嘩になるたびに話し合いから逃げたり、自分の言いたいことだけ言って相手の話を聞かなかったり…。人間は未熟なので、このような自分勝手な行動をとる時だってある。しかし、この時に大切なのは、「良い夫婦関係になるにはコミュニケーションをとって互いに理解するべきだ」という信念ではないだろうか。自分(もしくは相手)が我慢すればいいとか、喧嘩はしないカップルが仲良しカップルだという思い込みがあると、良い夫婦関係を長続きさせるのは難しいと思う。
今現時点で、上手にうまく喧嘩できなくてもいいが、夫婦間で「話し合うことが大切だ」という共通認識があるかどうかは、結婚前に確認しておくといいだろう。
おわりに
やはり国際カップルは、結婚する前にたくさんのことを話して、いっぱいコミュニケーションをとるべきだと思う。
国際結婚したら、自分か相手のどちらか(もしくは両方)は大きく人生を方向転換することになるので、別れを恐れて言いたいことを抑えてしまうのは、絶対に良くない。むしろ、お金や性の話など、言いにくいことでも気まずくならず、感情的にならず、冷静に話し合えるカップルを互いに目指していくべきだと思う。