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フランス語と英語はどっちが難しい?フランス語が圧倒的に難しい理由6つ

筆者はフランス語と英語を話せますが、「この2つの言語はどっちが難しいの?」と聞かれることがあります。それはもう、文法や発音、学習教材の手に入りやすさも含めて、

フランス語が圧倒的に難しい

といつも答えています。それでは具体的に、フランス語のどんなところが英語より難しいのでしょうか。そこで今回は、フランス語の習得が難しいと言われる理由を、英語と比較して紹介します。あなたは英語とフランス語、どちらが難しいと思いますか?

発音が面倒臭い


フランス語は発音が難しい言語だと言われますが、本当にその通りだと思います。例えば、Rの発音。英語でもRは難しいですが、フランス語もかなり難しいです。フランス語初心者はRを発音するとき、タンを切るようにカーッと音を鳴らしたり、スペイン語のように舌を巻く人がいますが、これはフランス人からすると「汚い音」だそうです。もっとかすかに、上品に”エール”を発音しろと言われるのですが、この微妙な舌の巻き具合は加減が難しいのです。思いっきり巻き舌できる言語のほうが、Rは簡単だと思います。

ちなみにフランス語学習歴8年で、毎日フランス語を使って生活している筆者ですが、いまだに何度聞いても違いがイマイチ分からない発音がいくつかあります。代表的なのが”é“と”è“の違い。前者はエ⤴と上に上がり、後者はエ⤵と下がるのですが、単語のなかで発音されると違いが非常にわかりにくくなります。

目的語と語順

フランス語で会話するとき、頭の中で文章を作るうえで難しいなぁといつも感じるのが目的語です。英語の場合、英文の形はほとんど5文型しかなく、目的語はit, that, me, you, him, her, themしかありません。目的語は常に動詞の後なので、とても機械的で単純であり、覚えるもの容易です。

その点フランス語は、moi, toi, luiなどの人称目的語のほかに、le, en, yなどの動詞によってくっつける目的語が変化します。さらに、英語の場合は動詞までを言った後にどんな目的語をつけるかを考える時間がありますが、フランス語の場合は基本的に動詞の前なのでこれも難しいです。頭の中である程度文章が完成していないと、発言できません。

また、英語の過去形や完了形にあたる複合過去には動詞を2つとるのですが、この場合は目的語を2つの間に挟むというルールがあります。動詞によって目的語の語順が変化し、またそのルールも複雑なので、英語に比べるとペラペラとスムーズに目的語を使えるようになるまでに時間を要します。

動詞+方位副詞がない

筆者が英語を習得するうえでとても合理的で便利だなと感じたのは、away, on, in, offなどの方位副詞です。英語にはcome overやput onのように、動詞+方位副詞の表現がたくさんありますが、これは使いこなせるようになると非常に便利です。overが「越える感じ」、onが「乗っている感じ」というようにそれぞれの副詞がもつ感覚さえ掴められれば、あとは初めて聞く表現でも前後の文脈で何となく言おうとしていることがわかるようになってきます。

しかし、フランス語は動詞+方位副詞という便利な表現はないので、全て別の単語として一つ一つ動詞を覚えていく必要があります。例えば英語の場合は、「(人)を連れていく」場合も、「(物)を持っていく」場合も”take”で表現し、これに”away”を付ければ「連れ(持ち)去る」というニュアンスになります。フランス語の場合は、「(人)を連れていく」が”emmener”、「(物)を持っていく場合」は”emporter”です。このように目的語によって違う動詞を覚える必要があり、「持ち去る」の”away”というニュアンスがあるかどうかは文脈で判断するしかありません。

時制がさらに複雑で、詩的

フランス語と英語はどっちが難しい?フランス語が圧倒的に難しい理由6つ

英語で習得が難しい時制といえば、やはり「完了形」ではないでしょうか。昔と今しか時制が存在しない日本人にとって、この”完了”という感覚を掴むのは結構難しいはずです。

しかし、フランス語はさらに複雑で過去形だけでも、「複合過去」や、「半過去」、「単純過去」などがあります。フランス語は英語に比べ、時制の捉え方が”詩的”で、例えば複合過去半過去の違いは、複合過去は一点を表し、半過去は継続や習慣、描写などを表します。カメラにたとえると、複合過去はスチルカメラがシャッターを押すように1点の過去を「カシャ」と撮ります。一方、半過去はビデオカメラの映像のように、過去の状態、描写を映し出していきます。(france-jp.netより抜粋)

さらに、小説などで多用される単純過去は、「話している今から切り離された過去の出来事を客観的に描写する」という感覚の表現です。これも、“描写”するという感覚の表現方法です。逆に言えば、話す時に描写の感覚が掴めていないと、複合過去と半過去のどちらで表現すればいいのか判断できなくなってしまいます。

これに比べると、単純に時制を矢印状にして”継続して完了したもの”を完了形にできる英語は機械的で、合理的で、学習者にはとても親切です。フランス語の時制の決まりは、より感覚的なので難しいと感じます。

動詞の活用がアホみたい

フランス語と英語はどっちが難しい?フランス語が圧倒的に難しい理由6つ

フランス語の動詞の活用=conjugation(コンジュゲゾン)はアホみたいに複雑です。直接法が8種類、条件法が2種類、接続法が4種類あって、6種類の主語によってそれぞれ動詞の語末が変化するので、活用の変化の84通りです。

主要な動詞だけでも全ての動詞の変化を覚えるのは、はっきり言って不可能です。実はフランス人も覚えていないので、珍しい活用は動詞活用の辞書を使う人がほとんどです。ネイティブスピーカーでも辞書を使わないといけないほど複雑なフランス語の動詞活用…。学習者にとって難しくないはずがありません。

名詞の性

フランス語が難しいもう一つの理由。それはやっぱり、名詞に性があることではないでしょうか。フランス語はほぼ全ての名詞が男と女に分けられ、それによってどの冠詞をつけるのかが決まってきます。例えば度量衡単位や言語名は男性名詞、学問や果実の多くは女性名詞とされていますが、名詞が男性名詞なのか女性名詞なのかをはっきりと見分けられるような法則はこれといってありません。なので、全て覚えるしかないのです。

実際は、男性名詞で言うところを女性名詞で言ったところで大した問題にはならないですし、意味はわかってもらえます。しかし、注意したいのは同じ語形でも男性名詞と女性名詞で意味が異なるものがあるという点です。

  • (男)tour 「回転」 ‐(女) 「塔」
  • (男)poste 「地位」 ‐(女) 「郵便局」
  • (男)voile 「ベール」 ‐(女) 「帆」… など

さらに、名詞の性によって、それにつける形容詞や過去分詞を男性形、女性形に変化させないといけないという決まりがあり、これもフランス語文法を複雑にしていると思います。

 

まとめ

やっぱりフランス語は難しい

英語であれフランス語であれ、外国語と言うのは慣れてくるとだんだん感覚が掴めてくるものです。そして、言語は学べば学ぶほど難しいと感じるようになると思います。

しかし、英語とフランス語を比べた場合、英語は機械的&合理的なのに対し、フランス語はより詩的な言語だと思います。だから、外国語としてゼロから学習する人にとっては、ルールが明確でわかりやすい英語のほうがとっつきやすいのではないでしょうか。

とはいえ、フランス人がよく「フランス語は美しい言語だ」と自慢げに語るのは、フランス語のもつ複雑さからくるのかなぁと思ったりもします。日本語でも、音読みと訓読みのある複雑な漢字が日本語の個性であり、美しさであるように、フランス語も”詩的で複雑なところ”が逆に言えば、この言語の魅力なのかもしれません。

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