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フランスで妊娠できて幸せ♪日本にはないフランス妊娠生活の良いところ5つ

前回書いた記事『これは驚き!日本に比べて大変だった7つの妊婦事情』では、これまで8カ月間のフランス妊娠生活を振り返って驚いたこと&大変だった妊婦事情をまとめました。これだけ読めば「やっぱり日本で妊娠したほうがいい!」と思われるかもしれませんが、正直なところ筆者は「フランスで妊娠できて良かったなぁ」と思うことのほうが多いです。

そこで今回は、日本ではなくフランスで妊娠出来て幸せだなぁと感じることを5つ紹介します。あなたはこんなフランス妊婦事情をどう思いますか?

どこに行っても、かなり優先してもらえる

妊娠してお腹が目立ち始めた頃(妊娠7カ月)から、どこへ行ってもフランス人に優しく接してもらえて、お出かけのたびにとてもいい気分になります。地下鉄に乗った時に席を譲ってもらえる確率は100%です。私はたまたま滞在許可証の更新と妊娠が重なったのですが、普段だと朝5時から並んでお昼にようやく窓口に入れるような長蛇の列に並ぶ必要なく、さくっと窓口に通してもらえました。スパーのレジでも、妊婦さんは並ばずにすぐに通してもらえます。

そして特に嬉しいのが、フランス人女性から優しい言葉をかけてもらえることです。これまでフランス人女性というと、日本人女性に比べて少しとっつきにくいような、ツンとした印象を持っていたのですが、妊娠してからそのイメージが変わりました。フランスの女性は若い子もおばさんも妊婦には本当に優しいです。例えば、洋服屋で棚の下の方を探っていたら「あら!私がするからいいのよー、あなたは妊婦さんなんだし」と言って取ってくれたり、黙って列に並んでいたら「あら、ごめんなさい、気が付かなくて。先に並んで。」と言われ譲ってもらえます。駅の階段で息があがったときは「大丈夫?無理しないでね。」、「手を貸そうか?」と言われることもしょっちゅうです。

こういった見ず知らずの人からの優しい言葉かけって、妊婦さんにはとっても嬉しいものです。妊娠していることを歓迎されているような気持ちになるし、何より「世間の人に守られている感」があって精神的にとても安定します。

日本でももちろんこのような対応をとってくれる人はいるのでしょうが、日本とフランスの両方で妊娠&出産した人の話を聞くと、フランスのほうが断然妊婦を優先してくれると聞きます(筆者も何となくそんな気がします)。フランス人は思ったことを言葉にする人が多いので優しい言葉かけも躊躇なくできますが、日本人の場合は思っていても言葉にしない人が多いのではないかなぁと。しかしやはり、言葉にして行動して初めて気持ちは伝わるものだと、フランスで妊婦になって改めて思いました。

出産手当てが素晴らしい

フランスは出産手当てが素晴らしいです。まず、妊娠中の検診や検査、出産に係る全てお金は社会保障で賄われます。フランスでは無痛分娩が主流なので、日本のように無痛分娩費用が別途でかかることもありません。計8回の助産婦さんとの出産準備教室も全額補償です。

幼児養育手当(妊婦&出産直後の乳幼児を持つ親に給付される各種手当)は、世帯の収入や子どもの数、どれだけ育児休暇を申請するのかにもよりますが、筆者の場合は妊娠から出産後1カ月位までの期間で合計約7000€(約87万円)支給されることになっています。うちはダメでしたが、世帯の所得が所得制限以下の場合は、さらに基礎手当として子どもが出生してから3歳になるまで、毎月180.62ユーロもらえるそうです。

日本でも出産準備金として健康保険には「出産一時金」という補助制度があり、その基本額は42万円となっていますが、これは基本的には検診や検査代、入院費で消えていくお金です。やはり先進国の中でも出生率回復に成功しているフランスは、子育てのための各種手当が非常に充実しているなぁと思います。

検査がきちんとしている

以前の記事でフランスはエコー検査が合計3回しかないと書きましたが(病院によっては毎月の検診で助産婦がちょろっとエコーを見せてくれるところもある)、その他の検査はとてもしっかりしています。

例えば、トキソプラズマ検査。母親が妊娠中に初めてトキソプラズマに感染すると、胎盤を通して胎児にうつり、脳や目に障害のある赤ちゃんが生まれることがあります。感染は、加熱が不十分な肉を食べたり、猫のふんが混じった土をいじったりすることで起きます。そのためフランスでは、毎月の検診で血液検査をし、トキソプラズマに感染していないかをチェックするようになっています。

しかし、日本では今のところ、症例が少ないとみられていることもあり、国も学会も、妊婦に必須の検査として位置づけていません。妊婦検診の項目に入れていない医療機関が多いのです。トキソプラズマの検査をしている産婦人科は、全国の半数ほどだそうです(三井記念病院産婦人科小島俊行医師)。

また、これは考え方の違いもあるでしょうが、妊娠初期の出生前診断はフランスでは無料で自動的に行われます「検査を受ける/受けない」の選択肢は妊婦にはありません。選択肢が妊婦にないおかげで、検査を受けようかと悩んだり、検査を受けると決めることの罪悪感を感じる必要もなく、変にくよくよして心配することがなかったので結果的には良かったと思います。

持論ですが、妊娠してただでさえ不安でいっぱいの妊婦さんに「赤ちゃんに障害があるかを確認するか否かを選択する」ということ自体が、酷だなぁと個人的には思います。

父親も育児休暇をとって当たり前

妊娠中は毎月毎月着々と計画を立て、準備をしていきます。特に出産予定日前後に何をするかで考えを巡らすことが多いですが、そんなとき父親も育児休暇で休みが取れることがわかっていると、心理的負担がとても軽くなります。

フランスでは父親の育休は2週間。これがあるのとないのとでは、妊婦にとっては大きいです。父親が出産直後から100%育児に係る時間を設けることで、父親の自覚や父性が生れるし、何より「夫婦で力を合わせて一緒に育てていこう」という気持ちになれます。一方、日本の場合は父親が育児休暇はおろか有給休暇すら取りにくく、夜遅くまで仕事している人も珍しくないため、育児の負担や責任感、不安感が全て母親にのしかかってきます

日本でよく「育児ノイローゼ」の話題が出てくるのも、このあたりに原因があるのではないでしょうか(フランスでは聞いたことがありません)。もう少し国が動いて、男性でも出産や育児にかかわる時間を保証してあげる制度をつくってもいいのでは?と思います。

おおらかー♪

以前の記事でも少し触れましたが、やはりフランスは何事にもおおらかです。個人主義なのも相まって、病院でも、フランス人に言われることでも「これをしちゃだめ」とか、「こうしないといけない」というような忠告をされることはほとんどありませんでした。これが個人的にはとても有り難かったです。

日本の育児&出産本やインターネット上の意見などを見ていると、フランスに比べてかなり真面目に堅く「妊婦はこうあるべきだ!」とアドバイスしているものがあり、慎重に慎重を重ねて無理をしないことが一番という考え方のように思いました。妊婦のアドバイスや禁止事項もフランスのものに比べると保守的で、加えて「母親になる自覚を持て」という手厳しい意見も目立ちます。

この真面目でお堅いアドバイスが妊婦さんを苦しめるケースもあるのではないでしょうか。それぞれが自分で「これがいい」という方法を選べばいい。母乳育児をしない、障害児だとわかったら中絶する、出産後すぐに仕事を再開する…など、世間的に「あまり良くない」とされている選択肢を選んだ場合でも、周りの人は本人のその決定を尊重してあげることが大切だと思います。

冷たい言い方をすれば「何があっても自己責任」なわけですが、「個人の決断に口出ししない優しさ」もあると思います。もう少し、妊婦にも新米お母さんにも、それぞれの自由を認めてあげてもいいのではないでしょうか。

 

おわりに
以上、筆者はフランスで妊娠出来て本当に良かったなと思うことのほうが多いです。日本のようには便利でなかったり、効率が悪かったりでイライラすることはありますが、「妊婦の環境」としてはおおらかで穏やかなフランスのほうが筆者の肌には合っていたと思います。

海外在住者で妊娠中の方、妊娠&出産の経験がある方などは、海外での妊娠生活はどうでしたか?コメント欄で教えてください。

 

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