日本での福島原発の事故をうけて、ドイツでは現在ある原子力発電所をすべて廃止にすることが決定された。ウォールストリート・ジャーナルの記事によると、現在ドイツには17台の原子量発電所があるが、すべてを2022年までに閉鎖することがその内容である。
そのうちの8台は直ちに閉鎖するように求めており、原子力エネルギーが22%を占めるドイツにとっては大きな決断といえる。もちろん、日本同様にエネルギーの供給不足になる可能性があるが、ドイツは歴史的にも過去に大きな変革を通して産業の生産性を向上してきた経緯があり、ドイツならこの問題を乗り越えられると内閣はコメントしている。
この決断は、アメリカやそのほかの諸国が引き続き原子力エネルギーを使おうとする流れに逆らったもので、メルケル首相が先日決定した原発施設の使用延長を事実上撤回したものとなっている。
最新のドイツの原発は、1989年に作られたもので、原発施設自体がかなり老朽化しているのも事実で、今後原発を作るにしても国外の企業に発注しなければならず、それであればいっそのこと撤廃となったのかもしれない。
ドイツはこのように原発廃棄の方向へと進んでいるが、世界を見ると64其もの原発施設が建設中となっている。気になるのが、情報を日本以上に隠したがる中国やロシアが二桁の原発施設を建設していることでだ。
アメリカのオバマ大統領は、福島の経験を生かして引き続き原子力エネルギーを推進して姿勢を表明しており、電力の3/4を原子力でまかなっているドイツの隣人であるフランスでも、原子力はうまく管理していけば環境にやさしく、そして石油などに代わる将来のエネルギーであると首相などがコメントしている。
石炭がエネルギーの42%を占めるドイツで、22%の原子力なくなれば、間違いなく石炭発電がふえて環境には悪影響を与えることになるが、それでも、原子力発電所で問題が起きたときにはのほうが危険性が高いとの判断を下のかもしれない。
福島原発を基点とした世界のエネルギー問題は、今後どのように展開していくのだろうか?
アメリカ社会の内側を切る―ドイツが原発を全廃へ