7月中旬にさしかかる今日この頃。フランス人たちの1年のお待ちかね“バカンス”がやってきます。フランスでは今、街でも会社でも学校でも「今年のバカンスはどこに行く?」といった話で持ちきり。
しかしそんななか、こんなビックリニュースが仏語サイト20minutes.frより入りました。
何とJOC(キリスト教労働者青年同盟)の研究によると、人口の4分の一に当たる若者の36%は今年のバカンスはなし。さらに、22%は今まで一度もバカンスに出かけたことがないそうだ。
2年連続でパリに残るパブロ(17歳)にインタビューしてみた。
「母は専業主婦で働いていないし、義父の収入はここ最近下がり気味。友人が南仏の家に遊びに来ないかと誘ってくれましたが、新幹線のチケットは高すぎて両親にプレゼントすることもできないんです。本当は田舎に行きたいのに・・・。」
“がっかりするのには慣れている”と語るのはオーレリー(26歳)。彼女は2人の子どもを育てるシングルマザーである。
「私は今のところ、託児所でパートとして働いています。旅行するにも、そんな資金がないんですよ。最後のバカンスは2002年でした。これが何とも耐え難いことです。」
バカンス大国フランスと言えども、近年では“バカンスなし”の少数派が増加傾向にあるという。毎年バカンス休暇を取っていると答えた15歳~30歳の労働者は全体のわずか53%にとどまった。「今年は家にいる」と答えた若者にその理由を尋ねると、「資金がないから」という回答が多かった。
JOCの会長ステファン・ファールさんに話を伺った。
「若者の経済状態が悪化しているんです。働いていても収入が不安定だったり、給料が低かったり。それでレジャーや休暇のために使うお金を貯めれない。学生のときは“両親”というベースがあるわけですが、社会に出るとそうはいかなくなる。」
夏に仕事をすることも若者のバカンス出発に歯止めをかけている。2010年の夏、バカンスに出かけなかった若者の72%は“仕事”を理由にしていた。
長引く経済の低迷がフランスの若者のバカンスお預けを招いている。
しかしながら驚くべき点は、フランスでは「バカンスに行かないこと」がニュースになるということ。やはり、日本人の感覚とは少し違うなと感じる。