世界には幸福度を比べる様々な調査があるが、「地球の住人」としての幸福度が高い国はどこだろうか?
イギリスのシンクタンク会社New Economics Foundationの最新の調査によると、世界で5番目に幸せな国にベトナムがランクインした。ちなみに日本は58位、アメリカ108位、韓国80位、中国72位である。(以下、forbesより引用)
今回行った調査、地球幸福度指数では、世界140ヵ国を平均寿命、幸福度調査、オポチュニティー(機会)の格差、エコロジカルフットプリントという観点から総合評価したものである。ハッピープラネットインデックスによると、世界で最も幸せな国はコスタリカ。2位はメキシコで、コロンビア、バヌアツと続き、5位にベトナムが入り、アジアで1位となっている。
平均寿命
ベトナムの平均寿命は75.5歳。世界一長寿と言われる日本の平均寿命83.7歳(2016年調べ)にはまだ遠いが、発展途上国にしては悪くない数字である。ちなみに、先進国アメリカの平均寿命は78.8歳である。
幸福度調査
Gallup World Pollが行った幸福度調査では、国民が生活にどの程度満足しているかを10段階評価で答えたものをデータ化した。これによると、ベトナム人の幸福度は5.5、日本人は6.0である。日本人のほうが「生活に満足している人」の割合が多いという結果になった。
少し前に、ツイッターでベトナム人留学生の新聞の寄稿が話題になった。ベトナムは貧乏な国だが、困難でも楽観的に暮らし、めったに自殺は考えない…とある。
しかし、日本の低所得者より、ベトナムの低所得者のほうが幸福を感じられやすいかというと、実際はそんなに単純な話ではないようだ。確かに、ベトナムは90年代には国民の半分以上が貧困線以下の暮らしをしていたが、現在では1ケタ台までになった。貧困者数を減らすのには成功したといえるが、同時に国民の所得格差が開いてしまったのである。
オポチュニティーの格差
オポチュニティー格差調査は、平均寿命と幸福度のデータを基にして、人によってどれだけ差があるのかを割合で示したものである。格差があるほどパーセンテージが高く、ベトナムは19%、日本は9%であり、日本のほうが平等な社会なのだ。
2014年の世界銀行の調査によると、ベトナムの所得格差は他国とあまり変わりない。しかし、ベトナム国内の少数派民族は貧困層が多く、雇用機会も平等ではない。このようなベトナムの少数派民族が中等教育に進むのは13%とかなり低い割合となっている。
エコロジカルフットプリント
ここまで、ベトナムと日本を比較してきたが、平均寿命、幸福度、オポチュニティーの格差など、どれをとっても日本のほうがランクが上である。それなのになぜ、ハッピープラネットインデックスでは日本が58位、ベトナムが5位という結果になってしまっているのだろうか。
それは、エコロジカルフットプリントが原因である。エコロジカルフットプリントとは、地球の環境容量をあらわしている指標で、人間活動が環境に与える負荷を、資源の再生産および廃棄物の浄化に必要な面積として示した数値である。通常は、生活を維持するのに必要な一人当たりの陸地および水域の面積として示される。
これがベトナムが1.7ha/人と非常に低く、日本が5.0ha/人と非常に高い。地球全体のエコロジカルフットプリントは1.8ha/人だから、単純に計算して、世界中の人が日本人のような暮らしをはじめたら、地球が約2.7コ必要という計算になる。
まとめ
目先の幸せ(経済発展)ばかりが幸福ではない。人が経済発展に意識が集中している間に、環境がどんどん破壊されていっては本末転倒だ。それはいつか、私たち人間全体に返ってくる。
日本をはじめ多くの先進国では、経済的な面から見れば「幸せ」な国なのかもしれないが、幸せを求め続ける人類の持続可能性という観点から見ると、先進国は「幸せ」からはほど遠い。
地球は1つしかない。
人間の幸せが、地球を犠牲にしない世界を私たちもつくれるはずだ。
参照:http://happyplanetindex.org/
http://www.forbes.com/